朝日小学生新聞
  • 毎日発行/8ページ
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■教育にかける時間とお金の有効活用術■

とある生徒のお母さまから、「ほぼ毎回、塾に遅れて行くんです」という相談を受けました。本人が行くというから通い始めたのに、時間通りに行かない。
「嫌なら辞めていい」と言っているのに、辞めるとは言わない。お子さんが何を考えているのか分からない、というお話でした。

ただ、本人と直接話してみると、遅れていた理由は「児童館で漫画を読んでいる」ということでした。児童館が閉まる時間になったら塾に行く、という流れになっていたのです。
そして、その漫画というのは、以前自宅にあったものだそうで、「宿題をやらずに漫画ばかり読んでいる」とお母さんに捨てられたものでした。

お母さまとしては、塾に行かせたくて、勉強してもらいたくて、時間とお金がもったいないから漫画を捨てたのでしょうが、この方法では漫画を読む場所や時間が変わっただけで、
根本的な解決にはならなかったことがわかりました。

私は本人にいくつかアドバイスをしました。
「隠れて児童館に行くと、母親が余計な心配をして締め付けがさらに厳しくなるよ。だから堂々と漫画を買ってもらい、自宅で読んでから塾に来る」
「児童館で堂々と漫画を読んでから塾に行きたいなら、今までより早い時間に家を出る」
本人の「漫画を読みたい」気持ちを前提に外堀を埋めてから、「塾に行く」というお母さまの希望も合わせた作戦会議をしました。

大人からすれば当たり前の話も、子どもからするとどうしたら良いか分からないまま安直な行動に出ているだけだと考え、冷静に話し合えば、解決は早いものです。
後日、お母さまから連絡があって、今のところは早く家を出て児童館に寄ってから塾に行く、というサイクルになっているようです。



【プロフィール】
安浪京子先生
沖山賢吾(おきやま けんご)
1977年東京都八丈島生まれ。東大難関大受験専門永田塾で英語講師・校舎長、リソー教育グループで新規顧客営業を担当。「塾の先生」とは異なる経験から包み隠さず助言がもらえると「コア」なファンが多い。現在は沖山教育研究所を構え、先を見据えた研究・提案を重ねている。
沖山教育研究所FB https://www.facebook.com/okiyamakengo/

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