朝日小学生新聞
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■安浪京子先生が、中学受験への親の関わり方をQ&A形式で答える連載です■

Q.子どもに志望校がなく、勉強のモチベーションが上がりません。

A.「どうしても○○に行きたい!」というお子さんは、(それが可能ラインか不可能ラインかは別にして)勉強する動機を持つことができます。しかし、意外に多いのが
「みんなが受験するから」
「最初からそうと決まっているから」
という、本人に強いモチベーションがないケースです。勉強しない姿に業を煮やして「受験やめる?」と聞いても、大抵の場合「受験はする」と返してくるので、どのように勉強に向かわせれば良いのか困る、という相談をよく受けます。

私が指導に入っている場合は、テストの点数は一旦横に置き、「解けた喜び」「達成感」をできるだけ持たせるようにしています。
家庭で「解けた喜び」を実感させるには、親から「どう解いたの? 教えて欲しいなぁ」と、子どもに解き方を説明してもらう事です。
解いた過程を説明する事によって子どもにとって解法が腑に落ちるだけでなく、親に「へぇ?!」と感心され、褒めてもらう事が何より喜びに繋がります。

テストの点数はバロメーターにはなりますが、こと復習テストにおいては実力を反映していないケースも多々あります。また、「わかった!」が即点数に結びつくわけではありません。
「わかったって言っていたのに、どうして点数が取れてないの! 本当にちゃんと解いたの!?」と親が叱る場面に沢山遭遇してきましたが、「わかった事」と「テストで正解させる事」は全く別の能力です。

「解けた喜び」「達成感」は、本来の学びの姿です。目先のテストに追われて理解もしないままに出題範囲を丸暗記してその場をこなす学習スタイル(特に復習テストに顕著です)より、はるかに学力は盤石になります。
それをコツコツと積み上げ、その上で頑張れば、手の届きそうなラインナップから学校を選べば良いのではないでしょうか?

「中学受験のためにこれだけ投資しているのに、何を悠長な事を」と思われるかもしれませんが、志望校を持っていない子どもの成長を待てず、どうしても周囲と比較してしまうならば、中学受験は辞められる方が賢明です。
そして何より、学ぶ喜びを得る事は一生の財産です。中学受験で燃え尽きる事なく、高校受験、大学受験、何より社会に出ても学び続ける姿勢を持ち続けられるのではないかと思います。

【プロフィール】
安浪京子先生
安浪京子(やすなみ・きょうこ)
1976年、岐阜県生まれ。中学受験算数専門プロ家庭教師「(株)アートオブエデュケーション」代表として、受験算数の指導および中学受験メンタルサポートに力を入れ、毎年多数の合格者を出している。著書に『きょうこ先生のはじめまして受験算数』(朝日学生新聞社)他、連載、講演、セミナーなど多数。毎月第2,4木曜10~12時に、中学受験の悩みをざっくばらんに話し合う「中受カフェ」を開催中。
きょうこ先生のブログ http://ameblo.jp/prestige-partner/

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