朝日小学生新聞
  • 毎日発行/8ページ
  • 月ぎめ2,100(税込み)

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2回に分けて「自己教育力」「独習力」について考えてみます。さて、「この国の2人に1人は、もう一度、学び直したいと考えています」。これはある新聞に、通信トップ企業が、全面広告に使った前文での最初のフレーズだ。昨年の9月の新聞である。
広告面での言葉だが、気になった私は、その部分だけを切り取って手帳に挟んでおいた。授業中の箸休め(?)に「この国の2人に1人は、もう一度、学び直したいと考えている」「君たちのお父さんお母さんを含めた、社会人の2人に1人だよ」「もっと勉強しておけばよかった、今からでも勉強しなければマズイ、と思っているんだ」。
少し不思議そうな顔をする生徒もいるが、うなずく生徒もちらほらいた。

「ところで、“学び直し”が実際に出来る人がどれくらいいるのだろうか?」と続ける。学び直したいとは思っても、何をどのように学ぶかを明確にしなければ始まらない。生徒たちに「一緒に考えてみよう」と問いかけた。箸休めどころか、いわゆる脱線である。算数の難問の解説を聞く眼とは明らかに違う眼になっている。

学校時代はやらなければならない事をあえて考えなくてもよかった。ライバルは同級生だけだ。その中で勉強が出来るようになって、少しでも偏差値の高い学校へ合格すれば、誰からも認めてもらえる。ほとんどの生徒たちはそれが目標である。ましてや授業料を払えば、その勉強を手取り足取り、懇切丁寧に教えてくれる人はたくさんいる。実はそこが問題なのだ。…と。
子どもたちは、常に教えてもらえる。親は、手取り足取り教えてくれるところを探す。塾・予備校は個別化に向かい、傾向と対策もメニュー化されている。合格への早道を教えてくれる学校や塾・予備校は良い評価を得る。このような中で、「学ぶ力」は育っていたのだろうか。「教えてもらう」と「学ぶ」は違うはずだ。

はたして、教えてもらい続けてきた大人たちは、学び直しが本当に出来るのか、心配になるのだ。そこで、君たちには“自分で自分を教育する力”つまり「自己教育力」や「独習力」ということを考えながら勉強してもらいたい。気が利く生徒たちはメモをとり始めた。

東京都練馬区の塾『受験 松井塾』 松井光裕(まつい みつひろ)
松井塾 http://www.matuijuku.com

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