朝日中高生新聞
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東京2020 来年へ

2020年3月29日付

新型コロナの影響で五輪初の延期

 新型コロナウイルス感染が世界的に広がるのを受け、この夏開催の東京五輪・パラリンピックが来年以降に延期されることが24日、決まりました。近代五輪では1940年の「幻の東京大会」を含め、二つの世界大戦期に開催の返上や中止がされたことはありますが、延期は初めて。開催までには今後も難しい道のりが待ち受けます。(松村大行、小貫友里)

日程調整 人員確保 選手選考

先が見えにくく 課題山積み

 国際オリンピック委員会(IOC)は3月中旬、予定通り今夏の開催を目指す方針を確認しました。これに対し、各国の選手や国際競技団体などが健康面での不安から、次々と延期を求めました。
 今回の延期の判断には「とても賢明な決定」(男子マラソン世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ選手)など、歓迎する声があがっています。
 新たな開催時期について、IOCは26日時点で「遅くとも来年夏までに」としています。IOCのトーマス・バッハ会長は夏開催にこだわらない考えも示し始めました。なお、来年開催でも大会名は「東京2020」のままとなる見込みです。
 開催するには、新型コロナウイルス感染がある程度、収束するのが大前提。他にも次のような課題があります。
 ①予定がびっしり 来年の夏は競泳や陸上競技の世界選手権が予定されています。五輪会場や関係者の滞在先などとして使われる施設の多くは、数年先まで先約がびっしり。その予定を変更して開催する場合、経済的な補償の問題が持ち上がりそうです。
 ②人を集められるか 今夏開催を前提に募集した約11万人のボランティア、1万人以上の警備員などを延期後も集められるかが見通せません。
 ③選手選考どうなる 東京五輪に出場する日本代表選手は総勢約600人になる見込みで、約100人が代表内定や代表確実となっています。選考は、昨年の国際大会での成績や今年時点での世界ランキングなどが基準となっています。
 卓球や陸上競技のマラソンなど、再選考をしない方針の競技がある一方、現時点で選考会を開催できる見通しが立たないなど、方針転換を迫られそうな競技もあります。

聖火ランナーの声

残念だけれど団結して成功へ

 今月26日に福島県からスタートする予定だった聖火リレーも実施が見送られました。ギリシャのアテネから運ばれた聖火は、このまま日本にとどまることになりました。
 聖火ランナーとして神奈川県横須賀市内を走る予定だった神奈川の中学1年生は「延期は目に見えていたけれど残念」と話します。
 五輪種目のエアライフルで全日本大会の中学生部門で優勝する腕前。自身も五輪を目標にしています。「五輪にピークを合わせてきた選手や、支える人たちの努力がむだになってしまうけれども、健康が一番。団結して五輪に臨むといういい面もある。来年は絶対に成功させてほしい」

五輪マークの巨大モニュメントの写真
東京・お台場海浜公園の海に浮かぶ五輪マークの巨大モニュメント。延期が決まっても展示は続いていました=25日、東京都港区、猪野元健撮影

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