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2019年3月31日付
ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさん(21)が今月、初めて来日し、23日には東京都内で開かれた国際女性会議 WAW!/W 20 で基調講演を行いました。女子教育の大切さを訴えるとともに、各国の首脳に、女子教育への経済支援を強く呼びかけました。(八木みどり)
講演の冒頭、マララさんは前日にあった安倍晋三首相との夕食会で、間違ってワサビを食べてしまったエピソードを披露。「アボカドだと思った」などと話し、会場の笑いを誘いました。
マララさんは2013年、「マララ基金」を立ち上げ、女子教育の支援に取り組んでいます。
講演では、世界にはまだ1億3千万人の子どもが学校に通うことができていない現状を説明しました。「私はその代表として、ここにいる」と話し、「人生に教育がなければ、豊かな人生を送ることはできません。また、社会に対して貢献することもできません」と、教育の必要性を訴えました。
大阪では今年6月、20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれることから、マララさんは各国の首脳に、女子教育への経済支援を呼びかけました。人工知能(AI)時代を見すえ、「すべての女性が中等教育まで受けることができたならば、30兆ドルの経済効果が得られる」と指摘。「女子教育に投資することで、(社会に対して)想像を超える大きな成果を生み出すことができる」などと話しました。
マララさんが生まれ育ったパキスタン北部では、イスラム武装勢力が「女子が教育を受けるのはイスラムの教えに反する」として女性の登校を禁じ、学校を破壊しました。マララさんは11歳のとき、おびえながら小学校に通う日々をブログにつづり始めました。
15歳だった12年10月、スクールバスで下校中に武装勢力に銃で撃たれ、一時は意識不明の状態になりました。英国で治療を受けることができ、奇跡的に回復しました。
13年には、米国・ニューヨークの国際連合本部で「一人の子ども、一人の教師、1冊の本、そして1本のペンが、世界を変えられるのです」と演説しました。このスピーチが世界中で話題となり、マララさんは14年、史上最年少の17歳でノーベル平和賞を受賞しました。
現在は、英国の名門・オックスフォード大学に通いながら、世界各地で女子教育の大切さを訴え続けています。23日の講演では「教育を失うことは、未来を失うことに等しい」と、学校に通うことをあきらめなかった時の気持ちを振り返りつつ、「襲われてもなお、(女子への教育を訴える)私の声は大きくなっている」と、活動への強い決意をあらためて述べました。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。