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2018年9月16日付
北海道胆振地方を震源とする最大震度7の地震が起きてから13日で1週間がたちました。被害の大きかった地域でも、学校が次々と再開しています。ただ、避難生活を強いられている人たちは多く、支援の動きが本格化しています。(今井尚)
最大震度7を観測した北海道厚真町。12日、避難所となっている厚南会館に、自衛隊による給水やお風呂を目当てに人々が集まってきました。
厚真町立厚南中の2年生は、地震が起きたとき自宅の2階で寝ていました。テレビが倒れてきましたが、けがはなく、キャンプ用のランタンなどをともして朝を待ちました。その後は避難所の小学校で過ごし、「落ち着かず、焦るような気持ちでした」。断水が続いているといいます。10日に自宅に戻り、14日の学校再開を前に「バドミントンをするのが楽しみ」と話していました。
震度6強を観測した安平町では13、14日にすべての小中学校が再開。追分中学校では、避難指示区域に指定されている追分小の子どもたちが間借りしています。追分中も体育館は損傷が激しく、避難所としては使えません。追分中の2年生は「小学生の見本にならなければ。中学生にとっても、いい経験にしたい」。
揺れの大きかった地域では、1階部分が押しつぶされた建物があちこちで見られます。「何もなくなってしまった……」「今後の住まいがどうなるか、めどが立たない」と肩を落とす人もいます。
厚真町内ではボランティア活動が本格化。13日、支援物資の整理などを手伝った苫小牧市の松井雅宏さん(58)は「少しでもできることはないかと考え参加しました。可能な限り続けたい」。
震度6強を観測したむかわ町では、災害ボランティアセンターが1日100人程度のボランティアを募集。おもに室内の処分品の運び出しや清掃などをしてもらいます。
避難所の一つ、「むかわ温泉 四季の館」に12日、スキーの葛西紀明選手(北海道下川町出身)ら土屋ホームスキー部のメンバーが救援物資を持って訪れました。「レジェンド」の登場に、避難所で過ごしていた子どもたちが笑顔を見せました。同町の小中学校は18日に再開される予定です。
むかわ町にある法城寺は、子どもたちの活動の場を提供しています。住職の舛田那由他さん(37)は「心のケアが最優先。建物などは、何年かがんばればいつか建てられます。でも、がんばれなければ建て直すこともできません」。今後は災害派遣精神医療チーム(DPAT)の専門家とも連携し、心のケアに取り組みたいといいます。
北海道胆振東部地震で亡くなった人は41人。けが人は680人ほど、住宅の被害は1100戸以上とみられます。一時は約1万3千人いた避難者は、14日朝には6市町の1440人になりました。断水は震源付近の厚真町など4市町。一時、北海道全域に広がった停電は、厚真町と安平町の90戸まで減りました。
後片付けをする人たち。倉庫は1階部分が押しつぶされていました=12日、北海道むかわ町
大規模な土砂崩れが起きた現場=13日、北海道厚真町
スキージャンプの葛西紀明選手(右)が避難所を訪問=12日、北海道むかわ町
記事の一部は朝日新聞社の提供です。