朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

3月23日―3月31日

2017年4月2日付

23日 南極の氷が過去最小に

極地研「温暖化と断定できず」

 国立極地研究所と宇宙航空研究開発機構(JAXAジャクサ)は、南極域の海氷面積が3月1日に過去最小を記録したと発表した。JAXAの観測衛星「しずく」のデータを分析した。
 発表によると、3月1日の面積は約214.7万平方㌔。これまでの年最小面積だった1997年2月19日の約225.1万平方㌔を下回った。極地研は「地球温暖化とは時間スケールも大きく異なり、直接その影響を検討することはできない」とコメントした。

23日 日本の科学研究が失速

英科学誌ネイチャーが特集

 日本の科学研究はこの10年で失速し、科学界のエリートとしての座を追われかねない――。英科学誌「ネイチャー」が日本の科学研究の現状をうれえる別刷り特集をこの日、発行した。ネイチャーやサイエンスなど研究者が選ぶ上位68の学術誌に掲載された論文を分析。2016年の日本の論文の数は12年と比べて8.3%減っていた。
 政府の研究開発への支出が01年以降停滞しており、その結果、高水準の研究を生み出す能力に衰えが出ているなどと指摘している。

24日 道徳の教科書、初の検定

高校教科書には18歳選挙権

 文部科学省は2018年度から使われる小学校の道徳と高校の各教科の教科書の検定結果を発表した。小学校道徳は初めての検定。申請した8社の全24点(66冊)が合格したが、同省は「国や郷土を愛する」「公共の精神」などの学習指導要領の内容に従っているか、細部に至るまで意見を付けた。全点がいじめ問題を取り上げた。
 16年6月に選挙権年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられて初めての検定。特に公民で「18歳選挙権」にページを割く教科書が目立った=写真。国語や英語でも、選挙や政治を意識した記述があった。

教科書検定
 民間の出版社が出す教科書が適切か、国が審査する制度。一面的な見解を取り上げていないかなどの基準に基づき、不適切とした箇所に検定意見を付け、修正を求める。1947年に制度化され、小中高ごとにおおむね4年に1度行う。

18歳の選挙権について書かれた教科書の写真
(C)朝日新聞社

24日 セウォル号の引き揚げ完了

韓国 事故原因の調査へ

 2014年4月に韓国南西部・チン沖で沈没した旅客船セウォル号(6825㌧)について、韓国海洋水産省は船体が海面から上に13㍍出た状態まで引き揚げたと発表した。25日未明までに運搬船に搭載した。この後、約100㌔離れたモッ港に運び、行方不明者の捜索や事故原因の調査を行う予定。
 この事故では乗員・乗客計476人のうち、修学旅行中だった高校生を含む295人が死亡、9人が行方不明になった。

24日 オバマケア代替案を撤回

トランプ大統領、党内調整に失敗

 トランプ米大統領=写真=は、大統領選挙の公約に掲げた「医療保険制度改革(オバマケア)」のてっぱいを目指し、与党・共和党が出しただいたい案について、取り下げる意向を表明した。党内調整に失敗して成立の見通しが立たず、採決を断念。今後は税制改革を優先させる考えを示した。
 「オバマケア撤廃」はトランプ氏の目玉政策で、当初はオバマケア成立7周年となる23日に下院での採決を目指した。しかし、完全撤廃を求める意見や急激な改変で保険を失う人が増えるのを心配する声があがるなど、共和党内の一部が反発。トランプ氏は「成立させなければ2018年の中間選挙で議席を失う」などと議員を説得したが、失敗に終わった。

オバマケア
 日本など先進国の多くが導入する国民かい保険を米国で実現させようと、オバマ前政権時代の2010年に成立。民間より安価な公的医療保険への加入を国民に義務付ける内容で、保険に入れなかった低所得者層の加入が進んだが、一部保険料の値上がりを招いたともされる。

トランプ大統領の写真
(C)朝日新聞社

25日 ローマ条約60周年

欧州統合の原点

 欧州連合(EU)の原点となったローマ条約の制定60周年を祝う式典が、イタリア・ローマで開かれた。EU離脱を決めた英国を除く27加盟国の首脳が出席。各国首脳とEU首脳が署名した共同宣言は、「我々は、より強力な結束と連帯によって、EUをより強く、弾力性のあるものにする」と誓った。
 会場のローマ中心部カンピドリオの丘周辺ではEUに賛成、反対の両派がデモを行った。

欧州の歴史の年表
(C)朝日新聞社

25日 辺野古埋め立て、承認撤回

沖縄県知事

 米軍てん飛行場(沖縄県わん市)のへの移設計画で、ながたけ知事が辺野古の埋め立て承認を撤回する方針を表明した。移設先の米軍キャンプ・シュワブ前での抗議集会に参加し「あらゆる手法で撤回を必ずやります」と宣言した。
 埋め立て承認が撤回されれば、いったん工事は止まる。ただ政府は、2015年10月に翁長氏から承認を取り消された時と同様の対抗策を取り、工事を再開するとみられる。

普天間飛行場
 沖縄県宜野湾市にある米軍海兵隊の基地。総面積は約480㌶で、市の4分の1を占める。住宅密集地にあるため、「世界一危険な飛行場」とも呼ばれる。

辺野古を示した地図
(C)朝日新聞社

26日 稀勢の里が逆転優勝

大相撲 新横綱Vは22年ぶり

 大阪市で開かれた大相撲春場所で、新横綱のさと(30)が、単独首位に立っていた大関てるほんわり(正規の取組)、優勝決定戦ともに下し、逆転で2場所連続2度目の優勝を飾った=写真。新横綱として初めての場所での優勝は1995年初場所のたかはな以来。
 13日目に左肩付近を負傷し、出場が危ぶまれる中での優勝だった。

稀勢の里の写真
(C)朝日新聞社

27日 核兵器禁止条約、交渉開始

日本は不参加表明

 核兵器を法的に禁止する「核兵器禁止条約」の制定を目指す初の交渉会議が、米ニューヨークの国連本部で始まった。「核なき世界」の理想に向け、110カ国以上が賛同するが、「核能力の強化」を訴えるトランプ米政権や他の核保有国は交渉を拒否。唯一の戦争被爆国である日本も米国の「核の傘」に依存することから、不参加を表明した。
 条約は、メキシコやオーストリアなど非核保有国が主導する。核兵器を「非人道的」なものとし、廃棄期限や他国の領土への持ち込み禁止などを盛り込むことを目指している。

核兵器禁止条約の交渉をめぐる構図の図
(C)朝日新聞社

27日 2017年度予算が成立

5年連続で過去最大

 2017年度政府予算が参議院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。一般会計総額は97兆4547億円。社会保障費などのふくらみで5年連続で過去最大となり、国の借金であるこくさいの発行はさいにゅうの3分の1を占めた。

27日 スキー場で雪崩、8人死亡

登山講習参加の高校生と教員

 栃木県町のスキー場で雪崩なだれが発生し=写真、登山の講習会に参加していた県立おおわら高校の16~17歳の男子生徒7人と男性教員1人の計8人が搬送先の病院で死亡した。雪深い山で雪をかき分けて進む「ラッセル訓練」の途中で雪崩に巻き込まれたという。
 気象庁や専門家は、積もった雪の上層部分だけが崩れる「表層雪崩」が起きたとみている。
 県警は引率教員らの判断にミスがなかったか、業務上過失致死傷容疑で捜査を始めた。

表層雪崩
 積雪の上のほうだけが崩れ落ちる雪崩のこと。雪が時速100~200㌔で滑り落ちる。雪が降った後で寒さがゆるみ、次に降った雪と古い雪の間に、滑りやすい層ができた場合などに起きやすいとされる。

那須温泉ファミリースキー場を示した地図

那須スキー場の写真
(C)朝日新聞社

28日 高浜原発の再稼働容認

関電、安全性説明の資料用意

 関西電力たかはま原子力発電所3、4号機(福井県高浜町)について、大阪高等裁判所は大津地方裁判所が出した運転差し止めの仮処分決定を取り消し、運転再開を求める関電側の訴えを認めた。「安全性が欠如しているとはいえない」と判断した。この決定を受け、関電は運転停止中の高浜3、4号機の再稼働に向けた準備を進める。
 関電は大津地裁から多くの争点について「説明不足」と指摘されたため、高裁審理では原発の安全性に関する約5千㌻の資料を用意。今回の決定は、関電の大半の主張を認めた一方、住民側の訴えを相次いで退けた。

28日 米、温暖化対策見直し

「パリ協定」目標達成困難に

 トランプ米大統領は、オバマ前政権の地球温暖化対策を全面的に見直す大統領令に署名した。関係省庁に対し、国内のエネルギー開発の妨げになる規制の見直しを指示。火力発電所への二酸化炭素排出規制などを定めた前政権の目玉政策クリーンパワー・プランも廃止する。
 政策の転換により、昨年11月に発効した温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」で、米国が掲げた「温室効果ガスの排出量を2025年までに05年比で26~28%削減」の目標達成の見通しは立たなくなった。

29日 英国、EU離脱を正式通知

2019年にも実現

 英国のメイ首相は欧州連合(EU)にしょかんを送り、EU基本条約「リスボン条約」で加盟国の離脱手続きを定めた規定に基づく通知を正式に行った。EUから加盟国が離脱するのは初。
 条約が定める交渉期間は原則2年。EU側は来年10月ごろまでに交渉をけつさせる考えで、順調に進めば2019年3月にも離脱が実現する。交渉では、7兆円以上ともされる英国のEUきょしゅつ金の負担とEU市民の権利保障が焦点となるとみられる。

31日 韓国の朴槿恵前大統領を逮捕

賄賂受け取った疑い

 韓国検察は、サムスン電子副会長らからわいを受け取ったなどの疑いで、前大統領のパク槿氏(65)を逮捕した。韓国で大統領経験者が退任後に逮捕されたのは22年ぶり3人目。

日付は現地時間。記事の一部は朝日新聞社の提供です。

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