朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

3月16日―3月24日

2017年3月26日付

・覚えておきたい言葉には色をつけ、下の「KEYWORD」で説明しています。

16日 いじめ防止法の基本方針を改定

学校内の情報共有を徹底へ

 2013年に施行された「いじめ防止対策推進法」に基づく基本方針を文部科学省が改定した。新たに、東京電力福島第一原子力発電所の事故で避難生活をする子どもや、性的少数者(LGBT)への対応を盛り込んだ。また、学校内での情報共有不足が子どもの自殺につながる例が相次いだため、情報共有を怠れば同法に「違反し得る」と明記。学校にマニュアルなどを定めるよう求めた。
 今回の改定では、発達障害を含む障害▽外国人の子ども▽性同一性障害や性的指向・性自認▽東日本大震災での被災や原発事故による避難――に関するいじめについて「特に配慮が必要」と指摘。教職員の理解や必要な支援、周囲の生徒らへの指導を求めている。

17日 事故「防げた」 国と東電に賠償命令

避難住民集団訴訟 前橋地裁

 東京電力福島第一原発事故で群馬県内に避難した住民ら45世帯137人が、国と東電に総額約15億円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が前橋地方裁判所であった。裁判長は、国と東電はともに津波を予見できたと指摘。事故は防げたのに対策を怠ったと認め、62人に計3855万円を支払うよう命じた=写真は判決を受け旗を掲げる弁護士ら。
 原告弁護団によると、原発事故をめぐる訴訟で、国の違法性や、国や東電が津波を予見できた可能性を認めた判決は初めて。福島や大阪など全国18都道府県で約30件ある同様の集団訴訟で初めての判決だったが、今後の判決や賠償政策に影響を与える可能性がある。

一部勝訴と書かれた旗を掲げている写真
(C)朝日新聞社

17日 北朝鮮ミサイルに備え避難訓練

秋田・男鹿半島

 領海への北朝鮮のミサイル落下を想定した住民避難訓練が秋田県の鹿半島であり、小学生や高齢者ら110人が参加した=写真。北朝鮮が相次いでミサイルを発射しているため、政府や男鹿市が実施した。内閣官房によると、政府が武力攻撃を想定して住民避難訓練をするのは戦後初。
 ミサイル発射と領海への落下を想定した第一報が、内閣官房から全国瞬時警報システム「Jアラート」と緊急情報ネットワークシステム「エムネット」で秋田県と男鹿市に送られた。市が防災行政無線できたうら地区に伝えると、参加者は公民館と小学校の体育館に避難した。

避難訓練の様子の写真
どちらも(C)朝日新聞社

6日にミサイルが落下した海域を示した地図

17日 陛下退位、「特例法」で与野党合意

皇室典範の付則に明記へ

 天皇陛下の退位について、与野党は特例法の制定によって退位を可能とする衆議院と参議院両院の正副議長の「議論のとりまとめ」に合意した。しんぞう首相は「直ちに法案の立案に取りかかり、速やかに国会に提出するよう全力を尽くしたい」と表明。政府は5月の大型連休後に提出し、今の国会会期中に成立する見通し。
 とりまとめは、特例法の名称を「天皇の退位等に関するこうしつてんぱん特例法」とし、皇室のさまざまな決まりを定めた皇室典範の付則に、退位の文言を明記。特例法は典範と「一体をなす」との根拠規定を置き、今回が将来の「先例となり得る」とした。

17日 H2Aロケット打ち上げ成功

成功率97%に

 情報収集衛星「レーダー5号機」を載せたH2Aロケット33号機が、鹿児島県のがしま宇宙センターから打ち上げられた=写真。約20分後、衛星を予定通り分離し、打ち上げは成功した。H2Aの成功は27回連続。成功率は97%となった。
 レーダー5号機は、2011年12月に打ち上げられ、設計寿命の5年を過ぎたレーダー3号機の後継。夜間や曇り空でも地上を撮影できる。

H2Aロケットが打ち上げられた様子の写真
(C)朝日新聞社

17日 五輪野球・ソフト、福島で開幕戦

「被災地域に五輪精神を」

 国際オリンピック委員会(IOC)は韓国・ピョンチャンで理事会を開き、2020年東京五輪の野球・ソフトボールで、福島県営あづま球場(福島市)=写真=を会場に追加することを承認した。野球とソフトボールで1試合ずつ、それぞれの開幕戦となる日本戦を行う見通し。主会場はすでに横浜スタジアム(神奈川県)に決まっている。
 東日本大震災で被災した福島県での開催は、IOCのバッハ会長が昨年10月に訪日した際、復興支援の一環として提案していた。バッハ会長は理事会後の記者会見で「津波で大きな被害を受けた地域に五輪の精神を持って行く素晴らしい機会になる」と述べた。

福島県営あづま球場の写真
(C)朝日新聞社

18日 G20声明から「反保護主義」消える

米国に配慮か

 ドイツで開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、共同声明を採択して閉幕した。これまでの声明に盛り込まれていた「保護主義に対抗する」という文言が削除された。今回のG20はトランプ米大統領就任後初めての開催で、保護主義的な姿勢を強める米国に配慮した可能性がある。

19日 豊洲で再び基準超の有害物質

地下水管理システムが影響か

 東京都のとよ市場の安全性を検証している都の専門家会議は、市場敷地内の地下水から環境基準の最大100倍のベンゼンなどの有害物質が検出されたことを公表した。複数地点で基準超の有害物質が出た1月公表のざんていとほぼ同じ結果で、1月の数値が確定した。
 専門家会議は有害物質が突然検出された理由について、都が昨年8月以降に本格どうさせた「地下水管理システム」の影響で、水の流れが変わったことなどを指摘した。つき市場からの移転を延期しているいけ知事は「(結果を)非常に重く受け止める。今後どうするかは専門家会議などに判断材料をいただく」と述べた。

20日 石原氏、証人喚問で「記憶にない」

東京都議会 解明進まず

 東京都の豊洲市場をめぐる都議会の調査特別委員会(百条委員会)で、いしはらしんろう元都知事(84)の証人喚問が行われた。石原氏は築地市場からの移転を決めた責任を認めたが、「記憶にない」「部下に一任した」など従来通りの説明に終始。土壌汚染が残る土地に市場を造った詳しい経緯の解明は進まなかった。一方、石原氏は豊洲移転を延ばす小池百合子都知事を「不作為の責任がある」と批判した。
 都議会で元都知事が証人喚問されたのは初めて。石原氏は約1時間20分、7人の都議からじんもんされた。

20日 日本とロシア2+2会合

3年4カ月ぶり

 日本とロシアの外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が東京都内で開かれた。核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対し、日ロ両国が連携して挑発行動の自制や国連安全保障理事会の決議順守などを求めていくことで一致した。
 日ロ2プラス2は3年4カ月ぶりで、きしふみ外相、いなとも防衛相とロシアのラブロフ外相、ショイグ国防相が出席=写真。2014年3月のクリミアへいごう後、ロシアが他国と安全保障問題を話し合う2プラス2を開催するのは初めて。

岸田文雄外相、稲田朋美防衛相とロシアのラブロフ外相、ショイグ国防相が手を合わせている様子の写真
(C)朝日新聞社

20日 五輪ゴルフ場、女性も正会員に

IOC「五輪憲章に反する」

 2020年東京五輪のゴルフ競技会場「かすみせきカンツリー倶楽部」(埼玉県川越かわごえ市)は、女性を正会員として認めていない規則を変えると決めた。国際オリンピック委員会(IOC)は、男女平等の実践などを掲げる五輪憲章に反するとして規則の変更を求め、現状では会場変更の可能性も示していた。
 1929年に開場し、日本で初めてゴルフの国際大会を開いた名門クラブ。総会などで議決権のある正会員が約1250人いるが、すべて男性だった。

21日 朴前大統領、検察に出頭

「誠実に調査に臨む」

 韓国検察は、サムスン電子副会長らから総額433億ウォン(約44億円)のわいを受け取ったなどの疑いで、パク槿前大統領(65)を事情聴取した。
 朴氏は検察の庁舎に到着した後、記者団に対し、「国民の皆さまに申し訳なく思う。誠実に調査に臨む」と述べた。
 朴氏は国会からだんがいついを受けて今月10日、憲法裁判所からめんを宣告され、失職。韓国では大統領は在職中は刑事訴追されない決まりだが、失職でその特権も失った。これまで、朴氏は一連の疑いについて否定してきた。
 韓国の大統領経験者が退任後に事情聴取を受けたのは氏、チョンドゥファン氏、ヒョン氏に続き4人目。

21日 「共謀罪」法案を閣議決定

6月18日までに成立目指す

 政府は、犯罪を計画した段階で処罰する「きょうぼうざい」の考え方を盛り込んだ組織的犯罪処罰法の改正案を閣議決定した。政府と与党は4月中に法案の審議に入り、今の国会の会期末(6月18日)までの成立を目指す。
 「組織的犯罪集団」が犯罪を計画し、実行に向けた「準備行為」があったときに処罰するという内容。「共謀罪」は過去3回、廃案となっている。目的について政府は「テロ対策」を強調するが、野党や日本弁護士連合会などは、市民が対象になるおそれや監視社会につながる心配があると反対する。

21日 サムライ決勝進出ならず

WBC準決勝 米国に敗れる

 野球の国・地域別対抗戦、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は米ロサンゼルスで準決勝が行われ、日本(2次リーグE組1位)は米国(F組2位)に1―2で敗れた。日本は今大会初の黒星。2大会ぶりの優勝はならなかった=写真は米国の先制ヒットの場面。
 22日の決勝では、米国が前回大会準優勝のプエルトリコに8―0で快勝し、初優勝した。

米国先制ヒットの場面の写真
(C)朝日新聞社

23日 森友学園理事長が国会で証人喚問

「首相夫人に相談」と明かす

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、学園理事長のかごいけやすのり氏に対する証人喚問が衆議院と参議院両院の予算委員会で行われた=写真は参院予算委で質問に答える籠池氏。安倍晋三首相の妻あき氏に国有地の借り受けについて相談し、財務省への問い合わせ結果を首相夫人付の政府職員からファクスで受け取っていたと明かした。すがよしひで官房長官は職員が籠池氏側の依頼で照会に動いたことを認めたが、昭恵氏の関与は否定した。
 国有地の売却価格が大幅に減額されたことについては「想定外の大幅な値下げでびっくりした」と語ったが、格安になった経緯については「弁護士に土地取引に関する一切の交渉をお願いしていて、詳細を承知していない」と述べるにとどめた。
 野党は昭恵氏の証人喚問を求めるなど攻勢を強めている。

参院予算委で質問に答える籠池氏の写真
(C)朝日新聞社

日付は現地時間 記事の一部は朝日新聞社の提供です

KEYWORD

いじめ防止対策推進法
 滋賀県大津市の中2男子が2011年にいじめで自殺した事件を機につくられ、13年9月に施行された。被害者が苦痛を感じるものをすべて「いじめ」と定義。複数の教職員や専門家が情報共有して対応する「対策組織」の常設、自殺や不登校などは第三者委員会で調べることなどを義務づけた。

Jアラート
 人工衛星と市町村の防災無線を利用する「全国瞬時警報システム」の通称。総務省消防庁が整備し、2007年に運用開始。震度5弱以上の地震や津波、弾道ミサイル発射などが発生した際、住民に直接、速やかに情報を知らせる。

エムネット
 国と地方公共団体の間で緊急情報を通信するシステム。行政専用のネットワークを利用して、首相官邸の危機管理センターと各自治体との間で情報をやりとりする。内閣官房が2006年から整備。

G20
 20カ国の財務相・中央銀行総裁が、世界的な経済の安定と成長をはかる国際会議。1999年に始まり、2008年からは首脳会議も開いている。
 参加国・地域はアルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、韓国、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国、米国、欧州連合(EU)。

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