朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

10月13日―10月21日

2016年10月23日付

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13日 在位70年、タイのプミポン国王死去

「安定の要」失い国内動揺か

 タイのプミポン・アドゥンヤデート国王(88)=写真、1991年撮影=が死去した。王位は長男のワチラロンコン皇太子(64)が継承する。今年6月で即位70年を迎え、現役君主としては世界最長の在位記録を持っていた。近年は肺の炎症や血液の感染症などで入退院を繰り返していた。
 「国王を元首とする民主主義制度」を統治原則とするタイで、国王は不可侵の存在。その権限と影響力で、プミポン国王はタイ政治の「超越した調停者」となってきた。タイでは、タクシン元首相派と反タクシン派の対立が深まっている。「社会の安定の要」である国王の死去で、社会に動揺が広がる可能性がある。

プミポン・アドゥンヤデート国王の写真
(C)朝日新聞社

13日 出光と昭和シェル、合併延期

 石油元売りのいでみつ興産と昭和シェル石油は、来年4月に予定していた合併を延期する、と発表した。国内2位の出光興産と5位の昭和シェル石油は昨年7月に経営統合で基本合意したが、出光の大株主である創業家が反対し、間に合わせるのは難しいと判断した。
 出光の経営陣は、合併が遅れて他社との競争で不利になることを心配する系列販売店の声などを創業家側に伝え、説得する考えを示した。創業家は社風の違いなどを理由に合併反対を表明。合併で創業家の影響力が低下しかねないため、との見方もある。

14日 参院選、一票の格差で「違憲状態」

広島高裁岡山支部 選挙無効は認めず

 7月にあった参議院議員選挙の「一票の格差」が最大3.08倍になったのは憲法違反だとして、弁護士グループが選挙の無効を求めた裁判で、広島高等裁判所(高裁)岡山支部は、憲法違反の一歩手前にあたる「違憲状態」と判断した。選挙の無効は、格差が縮小されていることなどから認めなかった。
 今回の参院選については、二つの弁護士グループが14高裁・支部で提訴。20日までに名古屋高裁金沢支部や東京高裁、仙台高裁秋田支部、大阪高裁などでも判決が出て、「違憲状態」が5件、「合憲」が4件となった。11月8日までにすべての判決が出そろう。その後、最高裁判所が統一の見解を示す。

参院選「一票の格差」の倍数の推移を表した折れ線グラフ。92年、2010年、2013年に、最高裁が違憲状態と判断した旨が書かれている。
(C)朝日新聞社

14日 英検3級からライティング導入

 「英検」を実施する日本英語検定協会は、来年度から準2級と3級にライティング(書く)テストを導入すると発表した。2020~22年度に小中高校で始まる新学習指導要領は「読む・聞く・話す・書く」の4技能の育成を重視する方向で、これに対応した。協会は今年度から2級にライティング、4級と5級にスピーキング(話す)を導入。これで3級以上は4技能のテストが行われることになる。

15日 北朝鮮、ミサイル発射失敗

米韓合同演習への反発か

 北朝鮮は、北西部の飛行場近くからミサイル1発を発射し、失敗した。米軍と韓国軍合同参謀本部が発表した。射程3千㌔以上で日本全域と米領グアムまで届く新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられる。
 発射台付きの車両で運用されるムスダンは事前に発射の兆候をつかむのが難しく、日米にとって脅威となっている。米韓が10~15日に行った朝鮮半島周辺海域での合同軍事演習に北朝鮮は反発していた。
 国連安全保障理事会は17日、北朝鮮のミサイル発射を「強く非難する」という報道機関向けの声明を出した。
 北朝鮮は20日にもムスダン中距離弾道ミサイルとみられるしょうたい1発を発射したが、失敗したようだ。

15日 広島、日本シリーズ進出25年ぶり

黒田投手、今季引退を表明

 プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)は、セ・リーグの最終ステージ(6回戦制)第4戦が広島市のマツダスタジアムであり、リーグ優勝の広島が25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた=写真。DeNAを8―7で破った。
 広島の躍進を支えたくろひろ投手(41)は18日、今季限りでの現役引退を表明した。「2、3年前から毎年そういう気持ちでシーズンを迎えていた。リーグ優勝して日本シリーズに進出できたことが、一つの大きな要因」と語った。

リーグ優勝して喜ぶ広島の選手たちの写真
(C)朝日新聞社

15日 代替フロン85%削減

モントリオール議定書 締約国が合意

 オゾン層を破壊するフロンの使用を規制するモントリオール議定書の締約国会議が、アフリカ・ルワンダで開かれた。エアコンや冷蔵庫の温度を下げるために使われ、地球温暖化に悪影響を及ぼす代替フロンの生産を規制する議定書の改正案を採択した。日本も法改正し、対策を強化する。
 規制される代替フロンはハイドロフルオロカーボン(HFC)。二酸化炭素(CO2)の数百~数千倍の温室効果がある。先進国は2019年に生産規制を始め、36年までに11~13年の平均と比べ、CO2で換算して85%にあたる量を減らす。中国や途上国は20~22年を基準に、45年までに80%減らす。

16日 BRICS 共同宣言にテロ対策

 中国やロシアなど新興5カ国で作るBRICSブリックス脳会議が、インド西部ゴアで開かれた。採択された共同宣言には、新興国の経済協力を進める方針と共に、「国際的なテロ対策で、国連が果たす中心的な役割を強調」との内容が盛り込まれた。しかし、何を「テロ」と見なすかなど、各国の思惑は異なっている。

16日 新潟県知事に「慎重派」の米山氏

原発再稼働が争点 3氏破る

 新潟県知事選が投開票され、無所属新顔の医師のよねやまりゅういち氏(49)が、同県ながおか市の前市長のもりたみ氏(67)ら無所属新顔3氏を破って初当選した=写真。東京電力かしわざきかり原発(同県柏崎市、刈羽村)の再稼働が争点となった選挙。米山氏は再稼働に慎重姿勢で、原発が立地する道県では鹿児島県に続く「慎重派知事」の誕生となる。
 柏崎刈羽原発は全7基が停止しており、原子力規制委員会が適合審査中。知事に再稼働を止める法的権限はないが、知事の同意が得られなければ、原発停止が長期化する可能性もある。

花束を受け取る米山隆一氏の写真
(C)朝日新聞社

16日 日ハム、日本シリーズへ

大谷投手が最速更新

 プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズ最終ステージ第5戦が、札幌ドームであり、日本ハムがソフトバンクを7―4で破り、4年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。
 この試合で日本ハムのおおたにしょうへい投手(22)が、プロ野球最速となる165㌔を計測した=写真。これまでは、自身が9月13日のオリックス戦(札幌ドーム)で記録した164㌔が最速だった。

振りかぶる大谷翔平投手の写真
(C)朝日新聞社

16日 熊本地震本震から半年

犠牲者を思い黙禱

 熊本地震本震の発生から半年を迎えた。大きな被害を受けた熊本県みなみ村では、地元住民らがとうろうにあかりをともし、もくとうを捧げた=写真。
 熊本、大分両県によると、被害状況は死者110人、被害を受けた家屋は計18万472棟。熊本県で一時18万人を超えた避難者は188人に減った。熊本県内に建設された応急仮設住宅は4052戸、自力でアパートなどを探して申請する「みなし仮設」は1万553戸になった。避難所は熊本県内7市町村に9カ所が残るが、今月末までに7カ所が閉鎖の見込み。

灯篭流しの写真
(C)朝日新聞社

17日 中国、有人宇宙船の打ち上げ成功

実験室「天宮」に30日間滞在へ

 中国の有人宇宙船「しんしゅう11号」が、中国北西部のしゅせん衛星発射センターから打ち上げられた=写真。予定された軌道に投入され、センターの責任者が打ち上げ成功を宣言した。
 9月に打ち上げた実験室「てんきゅう2号」とドッキングし、宇宙飛行士2人が30日間滞在して実験に取り組む。22年の完成をめざす中国独自の宇宙ステーション運用に必要な技術を蓄える狙いがある。

神舟11号の打ち上げの写真
(C)朝日新聞社

17日 イラク、IS一掃作戦

第2の都市、モスル解放めざす

 イラクのアバディ首相は、過激派組織「イスラム国」(IS)の国内最大拠点、北部モスルを解放する軍事作戦を始めたと発表した。政府は年内に作戦を完了し、国内からISを一掃したい考えだ。イラクでの対IS作戦は重要な局面を迎えた。
 モスルは首都バグダッドに次ぐイラク第2の都市。2014年6月にISの前身組織が占拠して以来、「首都」と称するシリアのラッカと並ぶ拠点としてきた。モスルにいるIS戦闘員は5千人あまりという見方がある。政府軍側は総勢10万人超の部隊編成になる見通し。

18日 五輪会場、4者協議へ

IOC会長提案 都・国・組織委と

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長と東京都のいけ知事が会談し、2020年東京五輪の会場にかかる費用削減に向けて、都、大会組織委員会、日本政府、IOCの4者による作業部会を設けることで合意した。東京大会のボート・カヌー会場は、都が東京湾岸に計画している「海の森水上競技場」がIOC理事会で承認されている。しかし、施設整備費が491億円と高額のため、都の調査チームは宮城県市のながぬまボート場への変更を提言。水泳とバレーボール会場も、既存施設の改修や代替施設での実施などを提言している。小池知事は月内に都としての結論を出す意向だ。
 バッハ会長は19日、しんぞう首相と会談し、野球・ソフトボールを念頭に複数の競技・種目を、東日本大震災の被災地で開くことを提案した。一方、ボート・カヌーの会場を長沼ボート場へ移す案については慎重な姿勢を示している。

19日 安倍首相、3選可能に

自民総裁任期の延長決定

 安倍晋三首相(自民党総裁)が2018年の総裁選に、3選をめざして立候補できることになった。党・政治制度改革実行本部が役員会で、現行の「連続2期6年」からの延長を決めた。来年3月の党大会で党則の改正を正式決定する。
 自民党政権下では、総裁任期が事実上、首相の任期だ。仮に18年総裁選で安倍首相が勝利し、任期いっぱい務めた場合、第1次政権と合わせた在任期間は3500日を超える。明治から大正にかけ3度首相になったかつらろうを超え、歴代最長となる。

在職期間が長い歴代首相の順位を表した棒グラフ。
(C)朝日新聞社

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KEYWORD

一票の格差
 選挙区ごとに議員定数と有権者数が異なることから生じる一票の重み(投票価値)の違い。格差を縮小するため、昨年7月に改正公職選挙法が成立。隣接する人口が少ない鳥取と島根、徳島と高知をそれぞれ一つの選挙区とする「合区」や定数是正を導入した。

代替フロン
 有害な紫外線をさえぎるオゾン層を壊す特定フロンのクロロフルオロカーボン(CFC)の代わりに開発された。当初、CFCよりオゾン層への影響が小さいハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)が使われたが、先進国で2020年、途上国で30年に全廃されることになり、現在はオゾン層を壊さないハイドロフルオロカーボン(HFC)が主に使われる。

BRICSブリックス
 高い経済成長率を誇ったブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国の英語の頭文字を並べた名称。2009年以降、毎年首脳会議を開催。新興国の発言力を増すため、欧米中心の国際金融システムの見直しなどを求めてきた。

7月の参院選の1票の格差の表。差の大きい3県と少ない3県を記載している。

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