朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

4月22日―4月29日

2016年5月1日付

・覚えておきたい言葉には色をつけ、下の「KEYWORD」で説明しています。

22日 神戸で1350㌧の橋げた落下

高速道工事中、2人死亡

 神戸市北区で新名神高速道路の延伸工事中に、鋼鉄製の橋げた(長さ約120㍍、重さ約1350㌧)が、約15㍍下の国道に落下した=写真。2人が死亡し、8人が重軽傷を負った。
 西日本高速道路(NEXCO西日本)関西支社によると、事故当日、完成した橋げたを東西に渡して仮設の台に置いていた。西側は4個のジャッキで支えてあり、橋げたをつり上げる設備を組み立て中だった。東側はすでに専用設備でつってあり、前日から仮設の台の解体作業中だった。その最中にバランスが崩れたとみられる。

落下した橋げたの写真
(C)朝日新聞社

22日 温室ガス削減へ175カ国署名 パリ協定

 新たな地球温暖化対策の国際ルールである「パリ協定」の署名式が、米ニューヨークの国際連合本部であった。欧州連合(EU)を含む175カ国の代表者が出席し、協定書に署名した。
 署名は正式なじゅん(最終的な確認)に向けた国としての意思表示で、今後は各国が批准の手続きをする。55カ国以上が批准し、温室効果ガス排出量の合計が世界全体の55%を上回れば、発効される。

22日 宇野選手、世界初4回転フリップ

フィギュア男子

 米国で開かれたフィギュアスケートのコーセー・チームチャレンジ・カップの男子ショートプログラムで、しょう選手(18)=写真=が4回転フリップジャンプを決めた。国際スケート連盟の公認大会では世界で初めて。自己最高記録の105.74点をマークした。23日のフリーでも成功した。
 フリップは左足の内側の刃で踏み切るジャンプで、6種類のジャンプの中で3番目に難しいとされる。

宇野昌磨選手の写真
(C)朝日新聞社

22日 野生トキのペア、40年ぶりにひな

 新潟県市で、ともに自然界で生まれ育ったトキのペアから、ひなが生まれたと環境省が発表。2008年にトキの放鳥が始まって以来、「純野生」の両親からひなが誕生したのは初めてで、自然界でひなが生まれたのは40年ぶり。
 環境省は28日、この両親がひなの子育てをやめたと発表した。一方、市内の別の場所で同日、自然界で生まれた別のペアから新たに1羽が生まれたことを確認した。

23日 サンウルブズ初勝利 スーパーラグビー

 世界最高峰のリーグ「スーパーラグビー」に今シーズンから参戦している日本のサンウルブズが、東京・ちちのみやで行われたアルゼンチンのジャガーズとの試合で、リーグ初勝利を飾った=写真。開幕からの連敗を7で止めた。

初勝利を喜ぶ選手たちの写真
(C)朝日新聞社

24日 衆院補選、北海道は自民が勝利

 衆議院議員の補欠選挙が投開票され、北海道5区では自民党が公認したよしあき氏(44)が、野党の統一候補を破り、初当選した。与野党ともに、夏の参議院議員選挙に向けた戦いと位置づけて総力戦で臨み、接戦となったが、与党が支持を得る形となった。
 京都3区では民進党公認で前衆議院議員のいずみけん氏(41)が、おおさか維新の会の新顔らをおさえて圧勝した。与党は候補を立てなかった。投票率は30.12%で、衆院補選での戦後最低記録を更新した。

25日 ネパール地震から1年

政府の復興支援進まず

 9千人近くが亡くなったネパールの大地震から1年となった。
 政府が昨年6月に発表した調査では、地震で約50万棟が全壊し、約26万棟が損害を受けた。
 復興庁は、家が大きな被害を受けた住民には、1世帯あたり20万ルピー(約21万円)を支給すると発表しているが、その一部を受け取ったのは641世帯にとどまる。被害の調査や被災者登録などの手続きが遅れているためだという。
 住民が自力で建て直した家は約3万棟。多くの被災者は壊れたままの家や、あり合わせの素材でつくった小屋やテントで暮らす。

25日 ハンセン病特別法廷、最高裁が謝罪

違憲とは認めず

 かつてハンセン病患者の刑事裁判などを、かくされた療養施設などに設けた「特別法廷」で開いていた問題で、最高裁判所は調査報告書を公表した。「社会の偏見や差別の助長につながった。患者の人格と尊厳を傷つけたことを深く反省し、おわびする」と謝罪した。
 大災害で裁判所が使えない場合などは、最高裁判所が必要と認めれば別の場所で法廷を開くことができると、裁判所法に規定されている。特別法廷は1948~77年に113件開かれた。うち72年までの95件は、ハンセン病患者が出廷するという理由で、国の政策で隔離されていた療養施設などで開かれた。
 今回、最高裁は、この運用が違法であったと認めた。一方で、憲法違反とは認めなかった。

25日 日本遺産に「伊達」や「海賊」 19件認定

 文化庁は、昨年度始めた「日本遺産」に「まさむねが育んだ“”な文化」や「“日本最大の海賊”の本拠地:げい諸島」など新たに19府県(80市町村)の19件を認定した。
 昨年度と合わせた認定数は計37件となった。2020年度までに100件程度まで増やす方針だ。

25日 新エンブレムは市松模様

東京五輪・パラリンピック

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は、旧エンブレムの白紙撤回を受けて改めて選考していた新しいエンブレムを、最終候補の4作品の中から作品Aの「くみいちまつもん」に決定したと発表した。
 制作者は東京都在住のアーティスト野老ところあささん(46)=写真。市松模様を藍色の四角形の組み合わせで表現し、日本らしさを描いた。

野老朝雄さん写真
(C)朝日新聞社

26日 三菱自、燃費不正は25年前から

 三菱自動車は軽自動車4車種の燃費偽装問題で、社長らが記者会見した。燃費性能の基となるデータの測定について、1991年から、国の定める方法と異なる方法で続けていたと明らかにした。一部の車種では実測せず、机上で算出していた。
 競合他社を意識して、社内の会議で燃費目標が引き上げられ、その目標を達成するためだったという。偽装によって、燃費性能が5~10%つり上げられていた可能性がある。

26日 広島・新井選手が2千安打

 プロ野球、広島のあらたかひろ選手(39)が、通算2千安打を達成した=写真。プロ野球史上47人目となった。東京・神宮球場でのヤクルト戦で、三回に二塁打を放って決めた。
 新井選手は広島市出身で、こまざわ大学から1998年秋のドラフト6位で広島に入団。2008年に阪神に移籍したが、15年に広島に復帰した。

新井貴浩選手の写真
(C)朝日新聞社

28日 X線天文衛星「ひとみ」復旧断念 

JAXA 3月から通信とだえる

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、通信がとだえていたX線天文衛星「ひとみ」の復旧をあきらめると発表した。衛星からの電波が確認できない状況が続き、今後も回復が見込めないと判断した。X線を観測してブラックホールなどの様子を詳しく調べる計画だったが、研究も大きく停滞することになる。
 ひとみは、2月17日にがしま宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられた。地上575㌔の軌道を周回し、5月にも本格観測に入る予定だった。ところが、3月26日から地上と通信ができなくなり、米国防総省の観測で衛星が分解した可能性が指摘されていた。

熊本地震 関連の動き

22日 庁舎被災、5市町が使用不能

 一連の地震で倒壊の危険があり、本庁舎が使用できない自治体が、熊本県内で5自治体にのぼることがわかった。震度7だったまし町や市のほか、ひとよし市も、余震で倒壊するおそれがあるとして、本庁舎を閉じると発表した。
 市内の公共施設に場所を移して、住民票や戸籍の事務手続きなどを続ける自治体もあるが、役場の機能がまひし、行政サービスができない例も出ている。

24日 避難所に布の仕切り、テント村も

 熊本市立おびやま西にし小学校の体育館に、布の間仕切りができた=写真。避難生活を送る人が、できるだけプライバシーを守れるようにと、NPO法人「ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク」(東京)が設置した。
 NPO代表は建築家のばんしげるさん。1995年の阪神・淡路大震災を教訓に、2004年の新潟県中越地震の際、間仕切りを開発した。1区画2㍍四方で、紙の管をつなげ、布を垂らす。
 益城町の町総合運動公園には、125張りの「テント村」が完成した。車中泊をする人が多く、避難生活が長引くにつれ、はいそくせん症(エコノミークラス症候群)が心配されている。登山家のぐちけんさんが「ゆっくりと横になってもらいたい」と呼びかけ、実現した。

体育館にできた間仕切りの写真

25日 政府、激甚災害に指定

 政府は熊本地震を「げきじん災害」に指定することを閣議決定した。被災した地域の自治体が道路や農地を復旧する際、国からの補助がかさ上げされる。
 政府によると、被害額は公共・土木施設などで2811億円、農地などが50億円、中小企業関連が約1600億円の見込み。

25日 被災学校施設 134棟が「危険」

 熊本市は幼稚園や学校など163施設を調査し、施設内の1267棟のうち、校舎や武道場など134棟が「危険」と判定されたと発表した。
 判定は「危険」「要注意」「調査済み」の3段階。熊本市立ひがし中学校は全15クラスが入る北校舎が「危険」とされ、立ち入り禁止になった=写真。校舎の耐震改修はしてあった。

立ち入り禁止になった中学校の写真

27日 九州新幹線、全線復旧

 地震の影響で運休していた九州新幹線は、はか(福岡市)―鹿児島中央間の全線で営業運転を再開した=写真。全線の運転再開は、地震発生の14日以来、13日ぶり。
 熊本―しんやつしろ(熊本県)間は速度を落として走る。

ホームに入ってくる九州新幹線の写真
写真はどれも(C)朝日新聞社

27日 熊本県、仮設4200戸確保へ

 熊本県は、被災者向けの応急仮設住宅2100戸を建てると発表した。民間の住宅を借り上げる「みなし仮設住宅」2100戸も確保。28日、みなし仮設住宅の受け付けが始まった。
 県によると、家屋被害は3万棟以上。地震による死者は49人、災害関連死の疑いは16人(28日現在)。

日付は現地時間 記事の一部は朝日新聞社の提供です

KEYWORD

パリ協定
 地球温暖化対策の国際的なルールで、温室効果ガスの排出を今世紀後半までに「実質ゼロ」にすることを目指す。昨年12月に開かれた国連気候変動会議(COPコップ21)で、参加した国々が合意した。
 1997年に決めた京都議定書では、先進国だけに温暖化対策を義務づけた。パリ協定では2020年以降、途上国をふくむすべての国が参加する枠組みを目指す。

温室効果ガス
 地球をくるむ毛布のように、太陽からの熱を閉じ込めて保温する働きのある気体。メタンや一酸化二窒素、だいたいフロンなどがあるが、人間が出している8割近くは化石燃料の燃焼や森林破壊に伴う二酸化炭素。

ハンセン病
 らい菌に感染して皮膚やまっしょう神経が侵される病気。日本では1931年の「らい予防法」ですべての患者が強制隔離された。戦後に治る病気となってからも、53年の「らい予防法」で隔離政策は続き、96年3月末まで廃止されなかった。2001年、熊本地方裁判所が国の隔離政策を違憲とする判決を出し、確定した。

日本遺産
 文化庁が地域の活性化をねらって2015年から認定している。歴史や文化を国内外に発信するため、地域の有形・無形の文化財を織り込んだ「物語性」が重視される。

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