朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

10月9日―10月16日

2015年10月18日付

9日 ノーベル平和賞、チュニジアの組織に

 2015年のノーベル平和賞に、北アフリカ・チュニジアの「チュニジア国民対話カルテット」が決まった。
 同国では10年末からの民主化運動「ジャスミン革命」で独裁政権がほうかい。イスラム圏に広がった「アラブの春」のさきけとなった。その後、宗教に基づく政治を目ざすイスラム勢力と、政治と宗教の分離を重んじる勢力が対立。チュニジア国民対話カルテットは両者の仲介役となり、議会再開に道筋をつけた。
 ノーベル委員会は授賞理由について「ジャスミン革命後の民主化への道が崩壊の危機にひんし、国家が内戦の危機にあるとき、それに代わる平和的な政治プロセスを確立した」と説明した。賞金は800万スウェーデンクローナ(約1億1600万円)。授賞式は12月10日にオスロである。
【チュニジア】
アフリカ大陸の最北端に位置する。人口約1100万人。1956年にフランスから独立。イスラム教スンニ派が多数を占める。主力産業は観光などのサービス業。地域間の経済格差が広がっており、2013年の失業率は15.3%。
【チュニジア国民対話カルテット】
2013年に発足。最大労組チュニジア労働総連盟(UGTT)や経営者団体である産業商業手工業連合、人権擁護連盟、全国弁護士会の4者でつくる市民社会の枠組み。

チュニジアの地図
(C)朝日新聞社

10日 「東寺百合文書」「舞鶴への生還」 世界記憶遺産に

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は歴史的に貴重な文書や絵などを対象とした「世界記憶遺産」に、京都のとうに伝わる「東寺ひゃくごうもんじょ」=写真上=と、「まいづるへの生還 1945~1956シベリアよくりゅう等日本人の本国へのげの記録」(申請・京都府舞鶴市)を登録したと発表した。「舞鶴への生還」には抑留生活の様子を和歌にしたためしらかばじゅにつづった「白樺日誌」=写真下などが含まれる。
 国宝の東寺百合文書は、東寺で守り伝えられた奈良~江戸時代の約2万5千通もの古文書で、「舞鶴への生還」は第2次世界大戦後、ソビエト連邦(今のロシア)東部のシベリアで働かされるなどした人たちが持ち帰ったメモ帳などの記録570点。
 一方、中国が申請していた2件のうち、日中戦争のさなかに起きた旧日本軍によるナンキン事件に関する「南京大ぎゃくさつの記録」が登録された。これについて日本外務省は「完全性やしんせい性に問題があることは明らか。中立・公平であるべき国際機関として問題」と非難。すがよしひで官房長官は13日、日本政府としてユネスコへの分担金支払い停止を検討する考えを示した。

東寺百合文書の写真

白樺日誌の写真
どちらも(C)朝日新聞社

10日 トルコで連続爆破テロ、97人死亡

 トルコの首都アンカラ中心部で、大規模な爆発が連続して起き、97人が死亡、240人以上が負傷した。トルコ当局は自爆テロとみて捜査を進めている。
 同国では少数民族のクルド人の勢力と政府の間で衝突が続いており、この日は政府に批判的な労働組合などが和平を求めるデモ行進をする予定だった。

トルコの地図
(C)朝日新聞社

11日 日本、過去最高の3勝 ラグビーW杯

 ラグビーのワールドカップイングランド大会で、1次リーグB組の日本は最終戦の米国戦で勝利。3勝1敗で南アフリカ、スコットランドと並んだがボーナスポイントの差でB組3位に終わり、決勝トーナメントに進めなかった。ただ、W杯では過去最高の成績で、2019年に開催される日本大会に弾みをつけた。

13日 辺野古埋め立て承認取り消し 沖縄県知事

 米軍てん飛行場(沖縄県わん市)の移設計画をめぐり、ながたけ知事は、移設予定地の同県の埋め立て承認を取り消した。移設計画は法的根拠を失うため、国は作業続行に向けた対抗措置として、14日に行政不服審査法に基づく不服審査請求を行った。移設計画をめぐる国と県の対立は決定的となり、法廷闘争に持ち込まれる公算が大きくなった。
 翁長知事は記者会見で「辺野古に新基地は造らせないという公約の実現に向け全力で取り組む」と話した。
【米軍普天間飛行場移設問題】
普天間飛行場は沖縄県宜野湾市中央部にある米海兵隊基地。1995年、米兵による少女暴行事件を機に反米軍基地の県民世論が高まり、日米両政府は翌96年、県内移設を条件として返還に合意。2006年には名護市辺野古沿岸を埋め立て、V字形の滑走路を造る現在の計画がまとまった。
 09年、はとやま政権は「最低でも県外」を掲げて県外・国外移設を模索したが、翌10年に断念。13年末、当時のなかひろかず知事から埋め立て承認を得た政権は、14年8月に辺野古で海底ボーリング調査を開始。沖縄防衛局は今年秋にも本体工事に着手したいとしており、ボーリング調査が終了した地点から始める方針だ。

辺野古埋め立て予定区域の地図
(C)朝日新聞社

13日 マレーシア機「ミサイルで撃墜」 調査委

 ウクライナ東部上空で昨年7月にマレーシア機が撃墜された事件で、原因の調査を主導するオランダ安全委員会は最終報告書を発表した。ウクライナ東部から発射されたロシア製ミサイルに撃墜されたと結論づける一方、誰が発射したかは特定しなかった。今後は、刑事的な責任追及に焦点が移る。

14日 東洋ゴム、性能試験の結果改ざん

 東洋ゴム工業(大阪市)は、船や電車などに使うぼうしんゴム製品の一部で、性能の試験結果を改ざんして出荷していたと発表した。過去10年分を調べたところ、鉄道車両メーカーや造船関連企業など18社に計189種類、8万7804個の不正な部品を納めていたことがわかった。
 鉄道車両では数千両分、船では数百せき分に相当するという。国土交通省は「安全性に直結する部品ではなく運行に影響はない」としている。東洋ゴムは今年3月に建物のめんしんゴムでも性能そうが発覚している。

15日 川内原発2号機が再稼働 九州電力

 九州電力のせんだい原発2号機(鹿児島県さつ川内市、89万キロワット)が再稼働した。東日本大震災後の新規制基準下で8月に初めて再稼働した川内1号機に続き、全国2番目となる。



日付は現地時間 記事の一部は朝日新聞社の提供です

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