朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

10月2日―10月9日

2015年10月11日付

5日 TPP大筋合意 環太平洋に巨大経済圏

 環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐる交渉が、米アトランタでの閣僚会合で大筋合意した。これにより国内総生産(GDP)で世界の4割近くを占める巨大な経済圏がアジア太平洋地域に生まれる道筋がついた。関税が下がることで、輸入食品が安くなったり、日本の輸出車を海外で売りやすくなったりするなど、日本の食卓や産業にも影響しそうだ。
 交渉は2010年3月に始まり、日本は13年7月から参加。足かけ5年半に及ぶ交渉の末、ようやく大筋合意に至った。参加12カ国は大筋合意を受け、議会の承認など協定の発効に向けた国内手続きに入るが、発効(効力が発生すること)は早くても来年春以降になる見通しだ。
 TPPは、モノの貿易に限らず、投資や知的財産、環境、労働など幅広いルールを日米主導でつくり、成長するアジア太平洋地域で経済の主導権を握る狙いがある。あまあきらTPP相は閣僚会合後の共同会見で「TPPのルールは21世紀の世界のルールになる」と、TPP中心の経済圏が今後広がることに期待を示した。
 TPPは、太平洋を囲む国々がつくる巨大な経済圏の中で、企業が国境を越えて投資し、より自由に動けるようにすることも目指す。今回の大筋合意は海外進出に積極的な日本企業にとって、関税の撤廃や投資ルールの統一がプラスに働きそうだ。

「聖域」撤廃、国内農家守れるか

 一方、TPPにより、日本は10年以内に95%の輸入関税をなくすことになる。日本が過去に結んだ自由貿易の協定では最も高い割合で、日本が「せいいき」(例外)として高い関税で守ってきた牛や豚、コメなどの農産物についても関税が大幅に下げられたり、新たな輸入枠が設けられたりする。安く輸入できる外国の農産品が大量に流入し、日本国内の農家が打撃を受ける可能性は今まで以上に高まる。
 また、世界の一大消費地であり製造基地でもある中国を今後どう巻き込んでいくかも課題として残る。さらに、TPPでは参加国にしゅが課され、交渉の詳しい内容は明らかにされていない。このため、日本政府にはTPPが国民にどんなメリットとデメリットをもたらすのか、具体的な情報開示が求められている。

TPP交渉に参加する12カ国の地図と交渉のこれまでの年表

食品への影響を予想した図
どちらも(C)朝日新聞社

2日 147カ国・地域が「削減目標」 COP21向け

 地球温暖化対策の新たなわくみを議論する国連気候変動枠組み条約ていやくこく会議(21、今年末にパリで開催)に向け、排出量第3位のインドを含む147の国・地域が温室効果ガスの削減目標を提出した。排出量は世界の9割近くを占める。100カ国以上がこれまで削減義務を負わなかった途上国だ。
 このうちインドは、国内総生産(GDP)あたりの排出量を、2030年までに05年に比べて33~35%減らす目標を掲げた。

2日

 プロ野球セ・リーグは、ヤクルトが阪神を延長十一回の末、2―1で破り、14年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。

3日

 ラグビーの第8回W杯ワールドカップイングランド大会1次リーグB組は、日本がサモアに26―5で完勝。W杯で初の1大会2勝。

3日 米軍が病院誤爆、22人死亡 アフガン

 国際医療NGO「国境なき医師団」は、アフガニスタン北部のクンドゥズで運営する病院が3日未明に空爆を受け、患者やスタッフら計22人が死亡したと発表した。
 現地では反政府勢力タリバーンとアフガン治安部隊が交戦中で、アフガン駐留米軍が政府側を支援して空爆を続けていた。 オバマ米大統領は7日、病院を誤爆したことを受け、同医師団のジョアンヌ・リュー会長に電話し、謝罪。アフガンのガニ大統領にも電話し「悲劇的な事件に対する遺憾の意」を伝えた。

アフガニスタンの地図
(C)朝日新聞社

4日 名張事件の奥西死刑囚が死亡 再審請求中

 三重県ばり市で1961年、農薬入りのブドウ酒を飲んだ女性5人が死亡した「名張毒ブドウ酒事件」で、第9次の再審請求中だったおく西にしまさる死刑囚(89)が収容先のはちおう医療刑務所(東京都八王子市)で肺炎のため、死亡した。法務省や弁護団らが明らかにした。
 奥西死刑囚は35歳で逮捕された後、一審で無罪、二審で死刑判決を言い渡され、最高裁で死刑が確定。2005年に再審開始決定を受けたが、その後、取り消されるという異例の経緯をたどった。
 72年の死刑確定後もえんざいを訴え、裁判のやり直しを求める再審請求を9回にわたって繰り返し、確定死刑囚としての収容期間は43年に及び、国内で2番目に長かった。

5日 マイナンバー法が施行 中旬から通知

 住民一人ひとりに12けたの番号を割り振るマイナンバー(社会保障・税番号)法が施行された。政府には税や社会保障の実務を効率化する狙いがある。役所に出す書類が減るなど住民側の利点もありそうだが、個人情報れなどの不安も指摘される。
 10月中旬から11月にかけて番号を知らせる「通知カード」が各世帯に届き、来年1月以降は、希望者にマイナンバーが記された「個人番号カード」が無料で配られる。

5日

 プロ野球の巨人は、ふくさと投手(32)がプロ野球選手が禁じられている野球ばく行為に関わっていたと発表した。

6日 五輪エンブレム再公募 18歳以上、グループも可

 2020年東京五輪・パラリンピックの新しいエンブレムを選び直す組織委員会のエンブレム委員会は、再公募する際の応募要項案をまとめた。
 受賞歴は問わず、個人参加なら日本国籍を持つ18歳以上の誰もが応募でき、国内在住の外国人にも門戸を開く。18歳以上の代表者を置けば10人以内のグループでの応募も可能で、小さな子と親や職場の仲間での参加もできる。今月中旬に公募を始め、締め切りは12月7日正午。応募要項案は、組織委のホームページで公開している。

7日

 第3次改造内閣が発足。全19閣僚のうち9人が留任し、交代した10人中9人が初入閣。党4役も留任した。

8日 FIFA会長、90日間の資格停止に

 国際サッカー連盟()の幹部に絡む汚職疑惑で、FIFAの倫理委員会は、FIFA会長のゼップ・ブラッター氏(79)=写真、欧州サッカー連盟(UEFA)の会長でFIFA副会長のミシェル・プラティニ氏(60)らをざんていてきに90日間の資格停止処分にすると発表した。
 資格停止の期間中は場所を問わず、あらゆるサッカー関係の活動ができない。報道によると、ブラッター氏は2005年9月、ワールドカップ(W杯)のテレビ放映権について、カリブ海サッカー連合と不当に安い契約を結び、FIFAに損害を与えた疑いがあるほか、11年2月にFIFAの金を不正に支出し、プラティニ氏に200万スイスフラン(約2億4千万円)を支払った疑いがある。

ミシェル・プラティニ氏の写真
(C)朝日新聞社




日付は現地時間 記事の一部は朝日新聞社の提供です

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