朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

12月10日―12月17日のニュース

2020年12月20日付

10日 小中学校のバリアフリー、車いす用トイレ7割、エレベーター3割

 全国の公立小中学校で、3割以上に車いす利用者用の多機能トイレがなく、7割以上にエレベーターがない――。文部科学省の調査(5月1日時点、速報値)で、そんな実態がわかった。
 災害時の避難所になる学校が多いこともふまえ、文科省は2025年度までに、多機能トイレは95%、スロープなどによる段差解消は原則100%、エレベーターは校舎で40%といった整備目標を定めた。自治体への補助も拡充する。

10日 上野動物園のシャンシャン、来年5月まで返還延期

 中国への返還期限が今月末に迫っていた上野動物園(東京都たいとう区)のジャイアントパンダ「シャンシャン」(メス3歳)が、来年5月末まで在園することが決まった。
 上野動物園で生まれたシャンシャンは、所有権を持つ中国側との協定で返還されることになっていた。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、輸送に関わる日中の専門家の渡航が困難になったなどとして、滞在の延長が決まった。両親のリーリー(オス15歳)とシンシン(メス15歳)も、来年2月の返還期限が5年間延長される。

11月 ゲノム編集トマト、流通へ

 全遺伝情報(ゲノム)を編集する技術を使って品種改良したトマトが「ゲノム編集食品」として国に届け出され、受理された。昨年10月に届け出制度がつくられて以来、届け出は初めて。
 筑波大学のづらひろし教授が取締役を務めるベンチャー企業が届け出た。今年のノーベル化学賞の授賞対象となった「CRISPRクリスパーCasキャス9ナイン」というゲノム編集技術によって、ストレス軽減や血圧上昇を抑える効果があるとされる「GABAギャバ」の量を通常より約5倍高めたトマトを開発している=写真。
ゲノム編集
 生物の遺伝情報をピンポイントで変えられる技術。人為的に動植物の変異を起こし、効率的な品種改良が可能になる。


11日 水虫薬に睡眠剤混入で2人死亡

 爪水虫などに効く飲み薬に睡眠導入剤の成分が混入したことがわかり、製造した小林化工(福井県あわら市)は、服用した70代の女性が10日に死亡したと発表した。1錠に混入した睡眠導入剤の成分は、通常の最大投与量の2.5倍にあたるという。16日時点で健康被害を訴えた人は157人。同社は17日、服用した80代男性が11月23日に死亡したと発表した。


12日 パリ協定から5年の会合、脱炭素化に意欲

 温暖化対策の国際ルール「パリ協定」ができて5年になるのを記念して、オンライン形式の会合が開かれた。80カ国近い首脳をはじめ、企業のトップや環境活動家らが参加し、脱炭素社会への取り組みを誓い合った。
 国連と、来年開かれる第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COPコップ26)議長国の英国などが主催した。国連のグテーレス事務総長は「すべての国、都市、金融機関、企業は、2050年までに(温室効果ガスの)排出実質ゼロを達成するための計画を採用し、明確な短期目標も含め、すぐに実行する必要がある」と訴えた。
パリ協定
 2020年以降の温暖化対策の国際ルール。産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指す。

13日 柔道の阿部一二三選手、五輪行き決める

 東京五輪の柔道男子66キロ級日本代表決定戦が東京・講道館で開かれた。2017、18年世界選手権王者の選手(23)が計24分間の熱闘の末、19年世界王者のまるやまじょうろう選手(27)を破った。妹の阿部うた選手(20)も女子52キロ級の日本代表に内定していて、きょうだいそろって初の五輪出場を決めた。

14日 バイデン氏、選挙人投票で勝利

 米大統領選挙で、各州などに割り当てられた538人の「選挙人」による投票が一斉に行われた。民主党のジョー・バイデン前副大統領(78)=写真=が306人、共和党のドナルド・トランプ大統領(74)が232人を獲得し、バイデン氏の勝利が事実上、確定した。バイデン氏は投票結果を受け、「民主主義が勝利した」と演説し、公正な選挙を経て自身が勝利したと強調したが、トランプ氏は敗北を認めない姿勢を崩していない。
 選挙人の投票結果は来年1月6日に連邦議会で確認され、正式に確定する。次期大統領の任期は1月20日から始まる。

14日 高齢者の医療負担増・児童手当縮小 22年度後半から

 政府の全世代型社会保障検討会議(議長・すがよしひで首相)が、最終報告となる「全世代型社会保障改革の方針」をまとめた。75歳以上の医療費の自己負担割合について、単身世帯は年間の年金収入200万円以上(夫婦2人世帯は計320万円以上)を対象に、2022年度後半から2割に引き上げることなどを明記した。
 また、児童手当のうち、高所得者向けの「特例給付」を縮小する。子ども2人で専業主婦の家庭の場合、22年10月分以降は年収1200万円以上だと、特例給付が支給されなくなる。待機児童対策として、この資金を保育の受け皿の整備にあてる。

14日 沖縄・辺野古、土砂投入から2年

 米軍てん飛行場(沖縄県わん市)の移設計画で、政府がの埋め立てのための土砂投入を始めて、2年が経った。現場海域の地盤が緩いため、完成時期は見通せない。
 この日、工事車両が出入りする辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前や、埋め立てが進む海上では、埋め立てに反対する人たちが抗議の声を上げた。

15日 はやぶさ2のカプセルに砂を確認

 宇宙航空研究開発機構(JAジャXAクサ)は、小惑星探査機「はやぶさ2」のカプセルを本格的に開封した。小惑星「リュウグウ」へ1回目に着陸した際に採取した砂が収納されている場所に、小さじ1杯ほどの黒い砂があるのを確認した。数㌘はあるとみられる。
 最大で数㍉の砂もあるといい、地球外物質研究グループのうすともひろグループ長は「溶液に溶かしたり、有機物をちゅうしゅつしたりといった分析ができそうだ」と語った。内部にあったガスも小惑星に由来すると判明した。

15日 洋上風力発電、2040年に原発30~45基分

 再生可能エネルギーとして期待される洋上風力発電について、政府は2040年までに3千万~4500万㌔ワットとする目標を決め、国内9地域ごとの導入の目安を示した。発電能力は原子力発電所30~45基分。北海道と東北、九州で多くの発電を見込むが、つくった電気をどうやって消費地に運ぶかが課題だ。

15日 座間9人殺害に死刑判決

 神奈川県市のアパートで2017年、15~26歳の男女9人の遺体が見つかった事件で、東京地方裁判所たちかわ支部は、強盗殺人などの罪に問われた被告(30)に対し、死刑を言い渡した。自殺願望を表明するなど、精神的に弱っている被害者をSNSを通じて誘い出し、所持金を奪い、性的暴行も加える目的で命を奪ったとされる。
 判決は被害者全員について殺害の承諾はなかったと認め、「9人もの若く尊い命が奪われた結果は極めて重大。犯罪史上まれに見る悪質な犯行だ」とした。

15日 国債、今年度112兆円に

 政府は、新型コロナウイルス対策など総額21兆8353億円の追加歳出を盛り込んだ今年度第3次補正予算案を閣議決定した。コロナによる経済の低迷で税収も予想を下回り、国の借金にあたる「国債」を追加で22兆3950億円発行して、まかなう。今年度の国債の新規発行額は112兆5539億円に達する。
 新規の国債発行額はリーマン・ショックの影響を受けた2009年度の51兆9549億円が過去最大だったが、2倍以上に。今年度は歳出の64.1%を借金に頼ることになる。

新型コロナウイルス関連ニュース

●Go To トラベル、全国で停止
 菅義偉首相は14日、政府の観光支援策「Go To トラベル」をめぐり、28日から来年1月11日にかけて全国一斉に停止する、と表明した。東京都や愛知県名古屋市での停止や自粛要請を検討していたが、年末年始について、新型コロナウイルスの感染拡大を集中的に抑える期間と位置づけ、一気に対象地域を広げた。
 政府は、北海道札幌市と大阪市を目的地とする旅行を停止し、両市発の旅行は自粛するよう求めてきた。東京都でも高齢者らに自粛を要請していた。最終的に全国での停止を判断したため、それまでの間、東京都と名古屋市では、全住民を対象とした札幌・大阪両市と同様に停止措置・自粛要請を実施。札幌・大阪はこれまでの措置を延長する。
 東京都や大阪府などは14日、飲食店などへの営業時間の短縮要請を延長することを決めた。岐阜や高知、沖縄の各県も新たに営業時短を要請すると明らかにした。菅首相は同日、営業時短の要請に協力した事業者に払う協力金について、現在、月額換算で最大60万円の単価を年末年始の期間は倍増させて支援すると表明した。
●ドイツ、都市封鎖を強化
 ドイツ政府は13日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ロックダウン(都市封鎖)を強める方針を決めた。16日からスーパーや薬局、銀行など日常生活に必要な店を除く大半の商店を1月10日まで閉鎖。学校も原則として閉じる。
 ドイツはフランスなどと比べて緩やかな制限策をとっていたが、新型コロナの感染者数や死者数がこれまでで最も高いレベルで推移しており、方針転換を迫られていた。
●全米でワクチン接種開始
 新型コロナウイルスのワクチンの接種が14日、米国各地で始まった。米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが開発したワクチンは、米食品医薬品局(FDA)に11日に緊急時使用を許可された。初回出荷されたワクチンは290万人分で3日間かけ、全米636カ所に届けられる。来年前半に米国の大部分の人に接種を終えることを見込む。
 米国は死者数が31万人を超え、感染者数も1700万人にのぼる。
      ◇
 世界の感染者は約7486万人、死者は約166万人。日本国内で確認された感染者はクルーズ船の723人を含め19万1797人。うち退院者は15万8946人(17日現在)。

日付は現地時間。記事の一部は朝日新聞社の提供です。

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