朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

11月12日―11月19日のニュース

2020年11月22日付

12日 ノーベル物理学賞受賞、小柴昌俊さん亡くなる

 2002年にノーベル物理学賞を受賞した東京大学特別栄誉教授のしばまさとしさん=写真=が亡くなった。94歳だった。
 岐阜県のかみおか鉱山の地下に巨大な観測装置「カミオカンデ」を設置。物質のもとになるりゅうの一つで、超新星爆発にともなって放出される「ニュートリノ」の観測に1987年、世界で初めて成功した。

15日 RCEP、15カ国が署名

 日本と中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、東南アジア諸国連合(ASEANアセアン)の15カ国は、自由貿易圏構想「地域的包括的経済連携(アールCEPセップ)」をめぐる首脳会合で正式に合意し、協定に署名した。発効すれば、世界人口の約3割、国内総生産(GDP)の約3割を占める巨大な経済圏ができる。
 RCEPは2013年から交渉が始まり、約8年を経てようやく合意した。発効後は、域内で関税をなくして輸入品が安くなったり、輸出しやすくなったりする。
地域的包括的経済連携(RCEP)とは
 東アジアを広くカバーする自由貿易協定。参加国の人口やGDPの合計は、発効済みの環太平洋経済連携協定(TPP)や、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)より大きい。

15日 野口さんISSへ 3度目の宇宙

 宇宙航空研究開発機構(JAジャXAクサ)のぐちそういち飛行士(55)ら4人を乗せた米国の新型民間宇宙船「クルードラゴン」が、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた。日本時間17日午後1時ごろ、国際宇宙ステーション(ISS)に到着。4人は半年ほど滞在する。クルードラゴンは、ISSへ飛行士を往復させられる初の民間宇宙船だ。
 野口さんの飛行は10年ぶり3度目。米スペースシャトル、ロシアのソユーズ宇宙船に続き、3機種目の宇宙船となった。
 

15日 ソフトバンク、日本シリーズへ

 プロ野球のパ・リーグのクライマックスシリーズの第2戦がペイペイドーム(福岡市)であり、リーグ優勝のソフトバンクが2位のロッテに2試合続けて勝ち、4年連続の日本シリーズ進出を決めた。
 21日開幕の日本シリーズでは、ソフトバンクと巨人が2年連続で対決する。

16日 GDP前期比5%増

 7~9月期の日本の国内総生産(GDP)は、4~6月期より5.0%増えた。内閣府が、季節による物価の動きの影響を除いた速報値を発表した。このペースが1年続くと仮定した年率換算では21.4%増える。
 新型コロナウイルスの流行による緊急事態宣言が5月に解除された後、経済活動の再開が進み、大きな伸びとなった。個人消費は前期比4.7%増。外出自粛で消費が控えられたことからの反動に、1人10万円の給付金の効果も重なり、自動車や家電などの売れ行きが回復した。


16日 カプコンにサイバー攻撃

 ゲームソフト会社のカプコン(大阪市)が、サイバー攻撃を受け、社外の個人情報が最大約35万件流出した可能性があると発表した。ゲーム利用者や株主の氏名や住所、採用応募者の顔写真などが含まれているおそれがあるという。
 同社はパソコンやサーバーのデータを暗号化するランサムウェア(身代金ウイルス)による攻撃を受けた。犯罪グループは自らのウェブサイトで、同社から盗んだデータとして60ギガバイト超のファイルを公開。この約17倍に当たる1テラバイトのデータを盗んだとしている。17日には新たなファイルが公開された。
ランサムウェア(身代金ウイルス)とは
 パソコンを強制的にロックして使えない状態にしたり、パソコン内にあるファイルを暗号化して閲覧できない状態にしたりするウイルス。ランサム(ransom)は英語で「身代金」。元の状態に戻すことと引き換えに、仮想通貨などを支払うよう求めてくることがある。

16日 IOCバッハ会長来日

 すがよしひで首相は、来日していた国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長と首相官邸で会談した。来年の夏に延期された東京五輪・パラリンピックを開催するため、協力することを確認。観客を入れた形をめざし、準備を進めることで一致した。

17日 核のごみ処分場 初の文献調査

 原子力発電所から出る「核のごみ」(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場をめぐり、かじやまひろ経済産業相は、国の選定プロセスの第1段階である「文献調査」を、北海道の寿すっ町ともえない村で始めるための計画を認可した。文献調査が実施されるのは、3段階の選定プロセスを定めた最終処分法が2000年に施行されてから初めて。
 2町村はそれぞれ2年で最大計20億円の交付金を得られるが、地元には反対の声も多い。

17日 木造建築の技、無形文化遺産へ

 木造の歴史的建築遺産に欠かせない保存修理を支えてきた「伝統建築こうしょうの技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」が、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録される見通しとなった。事前審査をしていた評価機関が「登録」を勧告したと、文化庁が発表した。
 「建造物木工」「わだぶき・こけら葺」「かん(日本壁)」など、木造建造物の修理にかかわる17件が含まれる。
 12月中旬に、フランスで開かれる政府間委員会で正式に決まる見通しだ。
無形文化遺産とは
 人から人へと伝えられる無形の文化を守り伝えるため、ユネスコが2003年の条約で設けた制度。芸能や祭り、社会的慣習、伝統工芸技術などが対象。

18日一票の格差3.00倍に「合憲」最高裁

 選挙区ごとに有権者の数が違うため、一人ひとりが投じる票の価値に差が生まれる「一票の格差」。最大3.00倍だった2019年7月の参議院議員選挙は憲法に反するとして、弁護士らが選挙のやり直しを求めた裁判で、最高裁判所大法廷は、「合憲」とする判決を出した。
 国会が格差を小さくするための取り組みについて「大きな進展を見せていない」と批判しつつ、16年の参院選で導入した「ごう」を続けたことなどを評価し、原告側の訴えを退けた。
 19年の選挙で、議員1人を選ぶ有権者が最も多い宮城の人の一票の価値は、最も少ない福井に対して「0.33票」という状態だった。

18日 柳美里さんに「全米図書賞」

 米国で最も権威ある文学賞の一つ、全米図書賞が発表され、翻訳文学部門にゆうさん(52)=写真=の「JR上野駅公園口」(英題Tokyo Ueno Station、モーガン・ジャイルズさん訳)が選ばれた。2011年の東日本大震災をきっかけに関わるようになった福島県みなみそう市から生まれた物語。
 現在、南相馬市に暮らす柳さんは、受賞発表後のオンライン会見で「(福島で)出会った方の体験や声が地層となって自分の中にある。そこから生まれた物語です」と話した。

19日 熊本県知事、川辺川にダム容認

 7月の記録的豪雨ではんらんした熊本県南部の川。その治水対策をめぐり、同県のかばしまいく知事は、最大支流であるかわ川への治水専用ダム建設を認める考えを、県議会全員協議会で表明した。
 蒲島知事は2008年に川辺川ダム計画の「白紙てっかい」を表明。ダム以外の治水策を考えてきたが、豪雨災害を受けて方針を転換した。

新型コロナ関連ニュース

●GoToイート4人までを検討
 菅義偉首相は16日、新型コロナウイルスの感染者が増えている地域の都道府県知事に対し、5人以上の会食を飲食店支援策「Go To イート」の対象から外すことを検討するよう求めた。
 旅行支援策「Go To トラベル」でも、代金の15%分が配布される地域共通クーポンについて、観光庁は17日、感染が広がっている地域では原則5人以上(子どもは除く)の食事での使用を禁止するとの方針を発表した。
●札幌・東京、感染急拡大で警戒
 感染が急拡大している北海道は17日、札幌市内での不要不急の外出や、札幌市と道内の他の地域との往来の自粛を求めると発表した。道が独自に定めた5段階の「警戒ステージ」は現在「3」だが、札幌市に限り「4」相当の対策を行う。27日まで実施する。
 東京都内の感染状況について、都は19日、警戒レベルを4段階のうち最も深刻な「感染が拡大している」(レベル4)に引き上げた。11月に入って増加傾向が強まり、15日以降は週平均の感染者が1日あたり300人を超える状況が続いている。
●米・独企業、ワクチン治験終了
 米国のバイオ企業モデルナは16日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、発症を防ぐ効果が「94.5%あった」とする最終の臨床試験(けん)のざんてい結果を公表した。数週間以内に、米食品医薬品局(FDA)の緊急時使用許可を申請するとしている。
 新型コロナのワクチンを開発している米国の製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックも18日、最終の臨床試験を終えた、と発表した。症状を防ぐ有効性は95%だったとし、数日内にもFDAに緊急時の使用許可を申請する。
●グーグル、日本でも感染予測
 米国のグーグルは16日、日本での今後28日間の新型コロナウイルスの感染予測の公表を始めた。米国で8月に公表を始めたもので、2カ国目として日本でも提供する。予測サイト(https://datastudio.google.com/s/nXbF2P6La2M)は毎日更新され、誰でも無料で見られる。

 世界の感染者は約5682万人、死者は約135万人。
 日本国内で確認された感染者はクルーズ船の723人を含め12万6791人。うち退院者は10万7613人(19日現在)。

日付は現地時間。記事の一部は朝日新聞社の提供です。
 



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