朝日中高生新聞
  • 日曜日発行/20~24ページ
  • 月ぎめ967(税込み)

まとめてわかる!ニュース1週間

4月8日―4月16日

2020年4月19日付

新型コロナ 緊急事態宣言、全国に拡大

GWの移動抑止/国民に一律10万円給付

 しんぞう首相は16日、新型コロナウイルス対応の特別法に基づき、緊急事態宣言の対象区域を全国に拡大した=写真。各地で感染者数が増加しているうえ、対象区域からの人の移動で感染が広がっていることなどを理由に挙げた。5月の大型連休(ゴールデンウィーク)の間、人の移動を抑えるのが目的。
 宣言の対象区域になると、都道府県知事は住民への外出自粛要請のほか、学校・老人福祉施設などに対する使用制限の要請・指示、臨時の医療施設開設のための土地・建物の強制使用などが可能になる。期間は5月6日までとした。
 また、すでに宣言が出ている7都府県に北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都の6道府県を加えた計13都道府県を特に重点的な取り組みが必要な「特定警戒都道府県」と位置づけた。

 首相は新型コロナウイルスに対する経済対策として、所得が減少した世帯向けに30万円を給付する当初の案を見直し、所得制限を設けず国民に一律10万円を給付する考えを表明した。国会に提出する直前だった補正予算案を修正する。

緊急事態宣言の対象区域を全国に拡大した安倍晋三首相の写真
(C)朝日新聞社

●中国・武漢、77日ぶり封鎖解除(8日)

 世界で最初に新型コロナウイルスの感染が拡大した中国・湖北省かん市で8日、1月23日から続いていた「都市封鎖」が77日ぶりに解除された。市民らが市外に出ることができるようになり、各地に向かう高速鉄道、飛行機などの運行が再開した。高速道路の封鎖も解除された。
 武漢市では都市封鎖後、住民の移動が厳しく制限された。8日までの市内の感染者は累計で5万人余り、死者は2572人。それぞれ中国本土の感染者の6割、死者の8割近くを占める。

検温を受けて武漢市内の駅に入る人たちの写真
検温を受けて武漢市内の駅に入る人たち=8日
(C)朝日新聞社

中国・湖北省武漢市を示す地図

●東京都、休業対象を明示(10日)

 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言を受け、東京都は10日、休業要請などの対応策を公表した。ネットカフェやパチンコ店、映画館など幅広い業種で休業を求めるほか、飲食店には午前5時~午後8時の短縮営業を要請。理美容業、百貨店やホームセンターの生活必需物資売り場などは対象外とした。11日から適用した。
 あわせて、協力した事業者に「感染拡大防止協力金」を支払う制度もつくり、2店舗以上を持つ事業者に100万円、1店舗の事業者には50万円を支払う方針を明らかにした。

行き交う人もまばらな東京・渋谷のスクランブル交差点の写真
行き交う人もまばらな東京・渋谷のスクランブル交差点=12日
(C)朝日新聞社

●首相、7都府県に「出勤者7割減」要請(11日)

 安倍晋三首相は11日、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、緊急事態宣言が出ている7都府県のすべての企業に対し、職場への出勤者を最低7割減らす要請を出すよう、閣僚らに指示した。繁華街の接客を伴う飲食店などの利用自粛要請については、7都府県だけでなく、全国に広げることも決めた。
 政府は感染の収束に向け、人と人の接触機会を「最低7割、極力8割」減らすことを目標に掲げている。

●3月の訪日客、前年比93%減(15日)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ水際対策が強化され、3月の訪日外国人客数は前年の同じ月より93.0%減り、19万3700人になった。観光庁が15日、発表した。下げ幅は、東日本大震災直後の2011年4月(62.5%減)を上回り、いまの調査方法となった1964年1月以来最大。訪日客に支えられてきた各地の観光業者は深刻な打撃を受けている。

●世界の感染者200万人超す(15日)

 新型コロナウイルスの世界の感染者が15日、200万人を超えた。米国の大学が集計した。死者は12万8千人以上。
 日本国内で確認された感染者の総数は1万19人(16日時点)。

8日 楽天、携帯電話サービス開始

大手3社の顧客切り崩しねらう

 「らくてん」が第4の事業者として携帯電話のサービスを本格的に始めた。昨年10月から無料で試行的に始め、今月、正式なスタートを切った。13年ぶりの新規参入として、大手3社の半額以下の価格できゃくの切り崩しをねらう。ただ通信網はまだ弱く、新型コロナウイルスの感染拡大で休業する店舗もあり、逆風下でのスタートとなった。
 自社で通信網を整備した東京や大阪、名古屋などのエリアは、月2980円でデータ通信を無制限で使えるプランひとつにしぼった。ただ、他のエリアはKDDIの通信網を借りるため、データ通信は無制限にはならない。

10日 映画監督・大林宣彦さん死去

「時をかける少女」など

 「時をかける少女」「転校生」などで知られ、「映像の魔術師」と称された映画監督のおおばやしのぶひこさんが、肺がんのため東京都内の自宅で死去した。82歳だった。
 広島県おのみち市生まれ。学生時代から実験映画を自主制作し、1982年、中学生の男女の心が入れ替わる「転校生」を発表。83年には、はらともさんの映画デビュー作「時をかける少女」を尾道などで撮影。この2本と「さびしんぼう」は「尾道3部作」と呼ばれ、多くのファンが尾道を訪れる契機となった。
 戦争の記憶を伝えることにも力を入れた。

大林宣彦さんの写真
大林宣彦さん
(C)朝日新聞社

10日 探査機みお、地球スイングバイ

水星目指す軌道へ

 水星を目指して飛行している探査機「みお」が、地球の重力を利用して進路を変える「地球スイングバイ」に挑み、水星への軌道にかじを切った。地球の撮影に成功したほか、地球からも上空を飛び去る姿が確認された。2025年12月に水星を回る軌道に入る予定だ。
 みおは地球に約1万2600キロメートル(地球の直径とほぼ同じ)まで近づき、大きく方向を変えた。地球スイングバイはこれが最初で最後。この後、さらに金星で2回、水星で6回スイングバイする。

12日 過去最大の石油減産合意

OPEC 1日970万バレル減

 石油輸出国機構(OPECオペック)は、ロシアなど非加盟国を交えた臨時会合を開き、5月と6月に世界全体で協調して1日970万バレルの原油を減産することで合意した。過去最大の削減幅。新型コロナウイルスの影響で低くなった原油価格が、さらに下がらないようにする。
 世界最大の産油国の米国はこの枠組みに入っていないが、需要が減ったため供給量が減っていると主張。世界の原油供給量はさらに減る可能性がある。

石油輸出国機構(OPEC)
 中東の産油国を中心に1960年に5カ国で結成。本部はオーストリアの首都ウィーン。石油の産出量を調整し、価格を保つことなどを目的としている。現在はイラク、サウジアラビア、ベネズエラなど13カ国がメンバー。

14日 世界恐慌以来、最悪の不況に

IMF 異例のマイナス予測

 国際通貨基金(IMF)が最新の世界経済見通しを発表した。2020年の世界全体の成長率は、前の年に比べて3.0%減とした。1月に予測した3.3%増から大幅に引き下げた。新型コロナウイルスの感染拡大で、世界経済は1920~30年代のだいきょうこう以来、最悪の同時不況に直面している。
 IMFの統計でさかのぼれる80年以降、世界経済のマイナス成長はリーマン・ショック直後の2009年(0.1%減)だけで、その水準をはるかに上回る経済の収縮が起きている。IMFによると、大恐慌期の1929~32年、当時の先進国の経済は約16%減、世界全体は約10%減だった。

世界恐慌
 1929年、米ニューヨークの株式市場で起きた株価の大幅な落ち込みから広がった世界的な不景気。第2次世界大戦を引き起こす大きな原因になった。

世界全体の実質国内総生産(GDP)のグラフ
(C)朝日新聞社

14日 熊本地震から4年、再建半ば

仮住まい、なお3122人

 熊本地震のぜんしん発生から4年を迎え、熊本県庁で犠牲者のついとう式が営まれた。応急仮設住宅などで仮住まいをなくされる被災者は1296世帯3122人(3月末時点)に上る。
 おお(大津町)―(阿蘇市)間で不通になっていたJRほう線は、8月に運転が再開される見通し。南阿蘇村で一部不通になっている国道57号と、代わりに阿蘇市と大津町を結ぶ新ルート(約13キロ)は10月の開通を予定している。

熊本地震
 2016年4月14日午後9時26分の「前震」と16日午前1時25分の「ほんしん」で最大震度7を観測。熊本・大分両県での住宅の被害は20万棟以上。災害関連死220人(うち大分県で3人)を含む計275人が亡くなった。

全線開通に向け整備が進むJR豊肥線の線路の写真
全線開通に向け整備が進むJR豊肥線の線路
(C)朝日新聞社

14日 日本の総人口、9年連続減

減少率は過去最大

 総務省が昨年10月1日現在の人口推計を公表した。外国人も含めた総人口は、前の年より27万6千人減の1億2616万7千人で、9年連続の減少となった。減少率は0.22%で、減少数とともに、比較可能な1950年以降で過去最大となった。
 年齢別の人口割合では、15歳未満は12.1%(1521万人)、15~64歳は59.5%(7507万2千人)と、いずれも過去最低となった。
 一方で、外国人の人口は前の年より21万1千人増の243万6千人と、過去最多になった。外国人労働者の受け入れを拡大する制度が昨年4月に始まったことも影響していると、同省の担当者はみている。

日本の総人口のうつり変わりを表すグラフ
(C)朝日新聞メディアプロダクション

14日 記録的暖冬、インド洋に一因

海水温の異常 気象庁

 この冬の記録的な暖冬について、気象庁の異常気象分析検討会は、インド洋で起きた海水温の大きな変化が一因と発表した。この影響で偏西風が北に曲がり続け、寒気の流れ込みが弱くなったという。
 海水温の異常は、アフリカでのバッタ大量発生やオーストラリアの森林火災拡大にもつながったとされる。
 気象庁によると、昨年12月~今年2月の平均気温は東日本では2.2度、西日本では2.0度、平年を上回り、1947年の統計開始以降、最も高かった。

14日 米、WHOへの拠出金を停止

「中国寄り」批判 トランプ大統領

 トランプ米大統領が、新型コロナウイルスをめぐる世界保健機関(WHO)の対応に問題があるとして、検証を終えるまでの間、きょしゅつきんの支払いを停止すると明らかにした。
 WHOが「中国寄り」と主張し、「最多の拠出金を支出している当事者として、説明責任を求める義務がある」としている。検証期間について「60~90日」との見通しを示した。
 WHOの予算は2年単位で組まれ、2018~19年は総額約56億ドルのうち、米国が約15%にあたる約8億9千万ドルを出した。
 米国内では最近、トランプ氏が対応をおこたったことが感染拡大の一因だったとの指摘が増えている。トランプ氏は批判をかわそうとWHOの責任追及を強めているとみられる。

トランプ大統領の写真
トランプ大統領
(C)朝日新聞社

15日 韓国総選挙、与党が圧勝

文政権の新型コロナ対応評価

 韓国の総選挙(定数300、任期4年)で、ムンジェイン政権を支える与党が6割の議席を確実にして圧勝した。政権の新型コロナウイルスへの対応が評価され、残り2年の任期を残す文大統領は安定した政治基盤を得た。
 韓国で感染者の増加が鈍くなった3月下旬以降、文氏は20カ国近くの首脳と防疫対策を議題に電話協議を重ねた。そのたびに、外国首脳から韓国の取り組みが称賛されたとアピールしてきた。

文在寅大統領の写真
文在寅大統領
(C)朝日新聞社

15日 富士フイルム、アビガン増産

新型コロナ治療薬として臨床試験

 富士フイルムは、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬として期待される「アビガン」を増産すると発表した。7月には現在の2.5倍の月10万人分、9月には月30万人分を生産。新型コロナ対策として200万人分を備蓄する政府方針への対応を急ぐ。
 アビガンは、ほかの薬が効かない場合にだけ使える新型インフルエンザへの薬として2014年に国内で承認を受け、政府が備蓄する。
 新型コロナに対する治療薬としての臨床試験(けん)が日米で始まっており、日本の治験は6月末に終わる見込みだ。

日付は現地時間。記事の一部は朝日新聞社の提供です。

関連記事

最新の記事

    記事の一部は朝日新聞社の提供です。

    • 朝学ギフト

    トップへ戻る