朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

1月30日―2月7日

2020年2月9日付

中国・湖北省からの来日を拒否

政府、新型肺炎の拡大阻止で 「指定感染症」にも

 中国の湖北省かん市を中心に新型コロナウイルスによる肺炎が広がっている問題で、しんぞう首相は1月31日、2週間以内に湖北省に滞在していた外国人と、湖北省発行の中国旅券(パスポート)を持つ外国人は、特別な事情がない限り当面、入国を拒否すると発表した。さらに、政府が新型肺炎を「指定感染症」とする政令の施行日を6日間早め、2月1日に施行した。世界保健機関(WHO)が1月30日に出した「緊急事態宣言」を受けての措置。
 2月5日から7日朝にかけて、横浜港沖に停泊中の大型クルーズ船の乗客・乗員3711人のうち、計61人が新型コロナウイルスに感染していることが確認された。61人は下船し、医療機関に運ばれた。この船には新型肺炎を発症したホンコンの男性(80)が乗っていたため、再検疫をしていた。男性は1月25日に香港で下船し、30日に発熱。感染が確認された。クルーズ船の乗客・乗員は14日間、船内にとどまる予定。国内の感染者は7日朝の時点で86人。
 中国では、2月2日までの大型連休「しゅんせつ」の期間中、移動が規制された中でも延べ10億人が動いたとされる。中国政府は7日、新型肺炎による中国本土の死者が636人になったと発表。2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARSサーズ)による中国本土の死者数349人を上回っている。湖北省以外でも、住民の外出を制限する都市が増えている。

指定感染症
 感染症法に基づいて、ある病気が指定感染症に指定されると、1年間の期限付きで、感染者を強制的に入院させたり、働かないよう求めたりできるようになる。

上海の駅の改札前で体温検査を実施している写真
中国・上海の駅では、鉄道の改札前で乗客の体温検査を実施=2月2日
どちらも(C)朝日新聞社

ダイヤモンド・プリンセス号の写真
横浜港沖で停泊中の大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号=2月5日

30日 化学物質、海鳥の体内を汚染

プラからとけ出す

 化学添加剤を含んだプラスチックを食べた海鳥の脂肪や肝臓に、食べたプラ由来の化学添加剤がたまることを、東京農工大や北海道大などの国際研究チームが実証し、米国の専門誌に発表した。世界的な問題になっている海洋プラスチックを海鳥がのみ込むことで、体内組織が化学物質で汚染されることを示す研究成果だとしている。
 魚介類でも同じ汚染が起こりうると、東京農工大の研究者は指摘している。

海鳥の体内組織が化学物質で汚染される様子を説明した図
(C)朝日新聞社

31日 英国がEUを離脱

年末まで移行期間

 英国が欧州連合(EU)から離脱した。前身の欧州共同体(EC)時代から47年にわたる加盟国としての関与を終えた。第2次大戦後に進められた欧州統合の歴史で、加盟国の離脱は初めて。
 2016年の国民投票で離脱派が残留派をわずかな差で上回り、離脱の手続きを進めてきた。ジョンソン英首相は「新時代の夜明け」と国民に呼びかけたが、なお、離脱への賛否は分かれている。
 今年末までの「移行期間」で、英政府はEUとの自由貿易協定などの交渉を終え、EUとの新しい関係を築く考え。年内は引き続きEUの貿易ルールや法律に従う。

欧州連合(EU)
 欧州の国々が協力し合う組織。1993年の設立で、英国が離脱して現在は27カ国が加盟している。2001年に共通通貨「ユーロ」が導入され、域内での人やモノの移動の自由が保障された「単一市場」となっている。

喜びの声を上げる離脱支持者の写真
1月31日午後11時、英国議会前の広場の大型画面に「WE’RE OUT!」(離脱した!)と表示されると、離脱支持者が喜びの声を上げた=どちらも英ロンドン
どちらも(C)朝日新聞社

ボードを持って立つ離脱反対派の人たちの写真
「EU離脱の代償を市民に払わせるな」と書かれたボードを持つ離脱反対派の人たち=1月31日午前

31日 ナイキの厚底靴、五輪で使用可

世界陸連、条件付きで認める

 スポーツ用品大手ナイキの「厚底シューズ」=写真右=の使用について、「靴底の厚さは4センチまで」などの条件付きで認めると、世界陸上競技連盟が発表した。東京五輪でも使える。
 このシューズは、足への負担を減らしながら「前に進む力を生む」とされる。使用した選手の好記録が続いたことから、一部だけが使えるのは不公平などの声が上がり、世界陸連が規制すべきか議論していた。

ナイキの厚底シューズとそうでないシューズをそれぞれ両手に持つ写真
(C)朝日新聞社

2月2日 国枝、上地選手が全豪優勝

車いすテニス

 テニスの4大大会の一つ、全豪オープンがオーストラリア・メルボルンで開かれ、車いす部門の男女シングルス決勝で、くにえだしん選手=写真上=とかみ選手=同下=がそれぞれ優勝した。
 国枝選手は2年ぶり10度目の優勝。上地選手はダブルスと合わせて全豪で自身初の2冠を達成した。

国枝慎吾選手の写真
どちらも(C)朝日新聞社

上地結衣選手の写真

2日 パラ代表・道下選手が世界新

別府大分毎日マラソン

 第69回別府大分毎日マラソン大会(大分市)の視覚障害の部で、東京パラリンピック代表に内定している女子T12クラスのみちしたさと選手が、2時間54分22秒で2連覇を果たした=写真。自らが持つ世界記録を1分52秒更新した。

記録が表示された電光掲示板の横に立つ道下美里選手の写真
(C)朝日新聞社

2日 護衛艦「たかなみ」、中東に出発

日本関係の船舶安全へ情報収集

 政府が昨年12月に閣議決定した中東海域への自衛隊派遣で、海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」(約200人)が海自よこ基地(神奈川県横須賀市)を出発した=写真。日本に関係する船の安全を確保するための情報収集が目的で、今月中に活動を始める予定。
 1月20日からは海自のP3Cしょうかい機2機が現地で活動を始めている。派遣期間は今年12月26日までで、延長する場合は再度、閣議決定が必要。

中東での自衛隊の活動範囲のイメージを表した地図
どちらも(C)朝日新聞社

たかなみの写真

2日 東京都心で低空飛行テスト

羽田の新ルート使用前に

 東京・羽田空港の新しい飛行ルートが3月29日から使われるのを前に、乗客を乗せた旅客機で東京都心を低空飛行する初の試験があった=写真。手順の確認や騒音の測定が目的。
 新ルートで、早朝・深夜を除く国際線の発着数は、年間で約1.5倍に増える。周辺の住民は騒音を心配している。

東京都心を低空飛行する試験をする旅客機の写真
(C)朝日新聞社

3日 東京・日本橋にパラミュージアム

初のIPC公式 開幕と同時に

 東京パラリンピック開幕の8月25日に合わせて、国際パラリンピック委員会(IPC)公式の「パラリンピックミュージアム」が、東京・日本橋にオープンすることがわかった。約1カ月間、大会の歴史や選手の進化などを紹介する。
 IPC公式のミュージアム開設は世界初。

3日 トランプ氏への挑戦者は誰に?

米大統領選が本格スタート

 11月にある米大統領選挙に向けて、共和党のトランプ大統領に挑戦する民主党の候補者を選ぶプロセスが、アイオワ州の党員集会から始まった。4年ごとに行われる大統領選の本格スタートだ。
 集計トラブルから結果の公表が遅れるハプニングがあり、4日公表の集計率約71%の結果では、38歳の「新星」ピート・ブダジェッジ・前インディアナ州サウスベンド市長=写真=がトップに立ち、バーニー・サンダース上院議員(78)が小差で続いた。全米の世論調査ではトップだったジョー・バイデン前副大統領(77)が苦戦する展開で、「本命不在」の状況が浮かんだ。
 6月まで各地で行われる党員集会や予備選を経て、7月の全国大会で指名された候補者がトランプ氏と争う。

ピート・ブダジェッジ・前サウスベンド市長の写真
(C)朝日新聞社

アイオワ州の位置を示したアメリカの地図

4日 新パスポートに「富嶽三十六景」

葛飾北斎の浮世絵

 江戸時代の浮世絵師・かつしかほくさいの代表作「がく三十六けい」をページにあしらった新しい型のパスポートを外務省が作った。この日以降、申請を受け付けたものから、このパスポートになる。
 富嶽三十六景は46の図からなる。この中から、10年用パスポートには見開き2ページごとに24の図、5年用には16の図が背景に描かれている=写真。

新パスポートの写真
(C)朝日新聞社

4日 国連事務総長、8月6日に広島へ

平和式典参列

 国連のグテーレス事務総長=写真=が、原爆投下から75年となる今年8月6日に、広島市で開かれる平和記念式典に参列する考えを明らかにした。「(参列は)広島との連帯を示すだけでなく、核軍縮や不拡散への私の強い決意を示している」と語った。
 現職の国連事務総長の同式典参列は2010年のパンムン氏以来で、10年ぶりとなる。

グテーレス事務総長の写真
(C)朝日新聞社

5日 トランプ大統領に無罪判決

弾劾裁判 ウクライナ疑惑押し切る

 トランプ米大統領=写真=の「ウクライナ疑惑」をめぐる上院のだんがい裁判で、陪審員を務める上院議員による評決があり、「権力の乱用」などについて、与党・共和党の多数票で無罪判決が下された。トランプ大統領は辞めさせられずに済んだ。
 トランプ大統領は前日の4日、今年の内政や外交の基本姿勢を示す「一般教書演説」を米議会で行った。11月の大統領選を見すえ、経済政策の実績をアピールしながら民主党を批判する内容だった。

ウクライナ疑惑
 トランプ大統領が昨年7月、ウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談の際、大統領選で争う可能性のある民主党のバイデン前米副大統領の疑惑を調べるよう求めたなどとする疑惑。

トランプ大統領の写真
(C)朝日新聞社

日付は現地時間。記事の一部は朝日新聞社の提供です。

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