朝日中高生新聞
  • 日曜日発行/20~24ページ
  • 月ぎめ967(税込み)

まとめてわかる!ニュース1週間

1月17日―1月23日

2019年1月27日付

17日 日立、英での原発計画を凍結

損失3千億円 国の輸出政策失敗

 日立製作所は、英国での原発建設計画を凍結すると発表した=写真は原発の建設予定地。2020年代半ばの稼働をめざしていたが、着工の条件としていた他社からの資金協力が得られず、想定した収益が見込めなくなったため。19年3月期に3千億円の損失を計上する。
 政府が企業と一体になって進めてきた「原発輸出」は事実上全滅し、政策の失敗が明らかになった。東芝、三菱重工業を含めた国内原発メーカー3社は、原発事業の見直しを迫られる。

英国の、原発の建設予定地の写真
(C)朝日新聞社

18日 2度目の米朝首脳会談、2月下旬に

焦点は非核化交渉

 米ホワイトハウスは、トランプ大統領=写真上=と北朝鮮のキムジョンウン朝鮮労働党委員長=同下=による2回目の米朝首脳会談を2月下旬に開くことを明らかにした。具体的な日時や場所はこれから決めるという。
 昨年6月のシンガポールでの歴史的な初会談以降、北朝鮮の非核化のための交渉は停滞している。北朝鮮は経済制裁をゆるめることなどを米側に求めている。トップ同士による再会談で交渉の進展をねらう。

トランプ大統領の写真
どちらも(C)朝日新聞社

金正恩朝鮮労働党委員長の写真

18日 イプシロン4号機打ち上げ成功

JAXA 「流れ星」作る衛星など搭載

 固体燃料ロケット「イプシロン」4号機が、宇宙航空研究開発機構(JAXAジャクサ)のうちうら宇宙空間観測所(鹿児島県きもつき町)から打ち上げられた=写真。高度約500キロで、搭載した小型衛星など計7機を全て分離し、予定の軌道への投入に成功した。
 イプシロンは全長26メートル、重さ95.7トン。打ち上げ費用は約55億円。搭載された衛星は、金属球を落下させて人工的に「流れ星」を作る「ALEエール-1」のほか、次世代衛星用の機器を宇宙空間で調べる「RAPISラピス-1」、太陽電池やアンテナに応用できる薄膜の展開試験をする「OrigamiオリガミSatサット-1」など。

「イプシロン」4号機の打ち上げの写真
(C)朝日新聞社

19日 センター試験、57万人が挑む

2日間6教科 昨年より6千人少なく

 大学入試センター試験が全国で始まった=写真は試験の開始を待つ受験生ら。試験会場は693カ所で、昨年より5841人少ない57万6830人が志願。20日までの2日間で、地理歴史、公民、国語、外国語、理科、数学の計6教科が行われた。
 センター試験に参加したのは703大学(国立82、公立90、私立531)で昨年より6大学(公立1、私立5)増えた。短大は149大学(公立13、私立136)で、2大学減った。
 志願者の内訳は、現役生が80.6%(前年比0.7ポイント減)、浪人生を中心とする既卒者が18.5%(同0.7ポイント増)、高卒認定試験合格者らが0.9%。
 1990年から始まったセンター試験は今回で30回目。来年が最後となり、2021年からは「大学入学共通テスト」が始まる。

センター試験会場で、試験の開始を待つ受験生らの写真
(C)朝日新聞社

19日 岩手・大槌町旧庁舎 本格的に解体

震災遺構として保存か議論

 2011年3月の東日本大震災の津波で、当時の町長や職員計28人が亡くなった岩手県おおつち町旧庁舎の解体が本格的に始まった=写真。津波の脅威を伝える震災遺構としての保存か、「見るのがつらい」という被災者の思いに沿った解体か。町を二分した議論は住民訴訟にまで発展したが、17日の盛岡地方裁判所の判決で解体工事の差し止め請求は退けられた。

解体される大槌町旧庁舎の写真
(C)朝日新聞社

20日 伊藤選手、女子初の2年連続3冠

卓球・全日本選手権

 全日本卓球選手権最終日、大阪市で男女シングルスの準決勝と決勝があり、女子は高校3年生のとう選手(18)=写真=が、史上最年少の14歳5カ月で決勝に進んだ中学2年生のはらゆう選手を破り、2連覇を達成した。伊藤選手はダブルス、混合ダブルスを含め、女子では史上初となる2年連続の3冠。
 男子は、みずたにじゅん選手(29)が男女通じて史上最多となる10度目の優勝を決めた。連覇をねらった中学3年生のはりもとともかず選手(15)は準決勝で敗れた。

伊藤美誠選手の試合中の写真
(C)朝日新聞社

21日 86歳三浦さん、下山を決断

南米最高峰の登頂に挑戦

 南米大陸最高峰アコンカグア(標高6961メートル)の登頂とスキー滑降をめざしていたプロスキーヤーうらゆういちろうさん(86)=写真=が、登頂を断念し、下山した。
 三浦さんは2日、アコンカグアのあるアルゼンチンに向けて日本を出発し、現地時間の18日から20日まで標高約6千メートルの地点に滞在。チームドクターが、これ以上高い標高での登山活動は心不全をおこす危険があると判断した。
 三浦さんは下山後に「残念です。今までの応援をしみじみと感じた」と話した。一方で「鍛え直せば、不可能に近い夢である90歳でエベレストに登れるのでは、という感覚になった。さらにチャレンジを続けたい」と前向きな思いも語った。

三浦雄一郎さんの写真

21日 中国「ゲノム編集の子」は事実

安全・倫理性に問題

 中国カントン省にある大学の科学者が昨年11月に「ゲノム編集で遺伝子を改変した受精卵を使い、双子の女の子を誕生させた」と発表して問題となり、同省の調査チームはこの主張は事実だと認め、違法行為と判断した。国営しんしゃ通信が伝えた。
 ゲノム編集された子どもが生まれたのは世界で初めて。さらに別の1組が妊娠中だという。ゲノム編集は研究段階の技術で、健康被害など安全性が心配されている。さらに、親が望む能力や容姿を持つ「デザイナーベビー」を作り出すことにつながらないかと、中国や国外の専門家らは批判している。

ゲノム編集
 思った通りの特徴を出すために遺伝子情報を書きかえること。生き物の特徴は親から子へ遺伝子を通じて受け継がれる。すでにこの技術を使って、筋肉の量を増やした魚や腐りにくいトマトなどが作り出されている。

ゲノム編集を利用した遺伝子改変について説明したイラスト
(C)朝日新聞社

21日 トランプ氏の「ウソ」8158回

就任2年、米紙が発言をチェック

 トランプ米大統領が就任してからの2年間で、虚偽の発言や誤解を招く主張が計8158回に及んだと、米紙ワシントン・ポストが報じた。2年目に入ってペースが上がり、1日平均16.5回、ウソや間違いを言っているという。
 同紙は、トランプ氏の就任以来、発言のファクトチェックを続けている。集計によると、1年目は1日平均5.9回だったが、2年目は3倍近いペースに跳ね上がった。
 政策分野別では、移民問題が1433回で一番多かった。

ファクトチェック
 文書や発言の中で「事実」として述べられていることが、間違っていたり大げさになっていたりしないか確認すること。

21日 富裕上位26人の資産、下位38億人分

国際NGO報告 格差対策呼びかけ

 2018年に世界で最も裕福な26人の資産の合計は、世界人口の貧しいほうから半分(約38億人)の資産合計とほぼ同じ――。こうした報告書を国際NGO「オックスファム・インターナショナル」が発表した。格差の拡大に歯止めをかけるには富裕層への課税強化が欠かせないと、ダボス会議で対策を呼びかけた。
 同団体は、世界人口の下位半分の資産合計は約150兆円(18年4~6月期)と推計。米経済誌フォーブスの長者番付と比べた結果、上位26人の資産合計とほぼ同じだった。また、下位半分の資産合計は前の年に比べて11%減ったのに対し、超富裕層約1900人の資産合計は1年間で12%増えていた。

ダボス会議
 民間の団体である世界経済フォーラム(本部スイス・ジュネーブ)が、スイスのダボスで開く年次総会。今年は22日から25日まで。世界の企業経営者や政治家、学者、市民活動家などが集まり、経済を始め、さまざまな問題を話し合う。

22日 北方領土問題の交渉進まず

日ロ首脳会談

 しんぞう首相=写真左=はロシアのプーチン大統領=同右=と、モスクワで会談した。首脳会談は約3時間に及んだが、北方領土の返還についての交渉は進まなかった。
 北方領土ははぼまい群島、しこたん島、くなしり島、えとろふ島の4島。このうち歯舞群島と色丹島は、1956年の日ソ共同宣言で日本に引き渡すと明記されている。今回は事実上、この2島の返還に限って話し合う方針で臨んだが、進展はみられなかった。

握手する安倍晋三首相とプーチン大統領の写真
どちらも(C)朝日新聞社

北方四島の位置を示した北海道の地図

22日 統計不正、組織的隠ぺいは否定

厚労省・特別監察委中間報告 22人処分

 「毎月勤労統計」の不正調査の問題で、厚生労働省が設置した特別監察委員会が、検証結果の中間報告書を発表した。
 報告によると、この統計は従業員500人以上の事業所はすべて調べるルールだが、厚労省は2004年から東京都分を勝手に約3分の1にしぼっていた。担当部署の職員らは間違ったやり方だと知りながら、その方法を続けてきた。部長級や局長級の職員は実態をきちんと把握していなかった。一方で、組織的に事実を隠そうとするような点は認められなかったとした。
 厚労省は報告を受けて、事務次官ら22人を処分した。

23日 映画「ボヘミアン」100億円突破

興行収入「美女と野獣」以来

 英ロックバンド「クイーン」のボーカル、フレディ・マーキュリーの人生を描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」が、日本国内の興行収入100億円を突破した。配給する20世紀フォックス映画が発表した。昨年11月9日の日本公開から1月22日までに観客727万人を集め、興行収入は100億4千万円となった。
 興行通信社によると、100億円を超えたのは、2017年公開で、124億円だった米映画「美女と野獣」以来。

23日 貿易収支、3年ぶり赤字

18年 原油高、米中摩擦も影響

 2018年の貿易統計(速報、通関ベース)で、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆2033億円の赤字となったと財務省が発表した。赤字は3年ぶり。
 1年を通してみると、原油高による輸入額増加の影響が大きい。年の後半は自然災害で工場の停止や物流の停滞の影響を受けたことに加え、米国と中国の貿易摩擦で中国経済が低迷したため、輸出の伸びが鈍った。景気の先行きがはっきりしないことを示す内容となった。

2007年から18年までの輸出入額の折れ線グラフと、貿易収支の棒グラフ
(C)朝日新聞社

23日 スバル3車種に不具合のおそれ

操業停止の1週間後に公表

 スバルが群馬県おお市の工場で生産した主力3車種に、ハンドル操作を助けるパワーステアリング(パワステ)機能が停止する不具合が出るおそれがあると発表した。不具合の可能性があるのは、小型車「インプレッサ」、SUV(スポーツ用多目的車)「フォレスター」、小型SUV「XV」の3車種。
 部品メーカーから調達した電動パワステ装置の不良が原因という。群馬の工場の操業を16日からすべて停止していることも発表した。
 自動車メーカーが主力工場の操業を止めてから1週間公表しないのは異例。

日付は現地時間。記事の一部は朝日新聞社の提供です。

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