朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

5月31日―6月7日

2018年6月10日付

31日 佐川氏ら38人全員不起訴

大阪地検 森友文書改ざんなど

 学校法人・森友学園への国有地売却をめぐる問題で、前財務省理財局長のがわのぶ寿ひさ氏や財務省の職員ら38人が、取引に関わる文書を改ざんした虚偽有印公文書作成などの疑いで告発されていたのに対し、告発を受けた大阪地方検察庁特別捜査部は、38人全員を不起訴処分とした。
 財務省は14件の文書を改ざんしたと認めている。しかし特捜部は「文書の効用を失ったとは言えず、うその文書を作ったとは認められない」などとした。

31日 理研 ニホニウムの次へ

119番元素の合成実験開始

 113番元素「ニホニウム」を発見した理化学研究所などの研究チームは、まだ見つけられていない119番元素を合成する実験を本格的に始めると明らかにした。元素は現在118番まで見つかっている。今回の実験では、原子番号96番のキュリウムと23番のバナジウムをぶつけて119番元素を作る。

ニホニウム
 日本の理化学研究所などのチームが発見した113番目の元素。日本にちなんで名づけられた。元素は物質の基本要素。93番以降は自然界にはなく、世界の研究機関が二つの原子核を超高速で衝突させ、合成してきた。ニホニウムは30番の亜鉛と83番のビスマスから合成された。

31日 「勤務間インターバル制度」推進

2020年に導入企業10%超目標 厚労省

 厚生労働省は、新たな「過労死防止大綱」の最終案を公表した。仕事を終えてから次に働き始めるまでに一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」について、導入する企業の割合を2020年までに10%以上とする数値目標の新設が柱だ。
 インターバル制度は長時間労働を防ぐ手段の一つ。既に義務化されている欧州では、休息時間を最低11時間としている。過労死の遺族らが広めていくべきと訴えてきたが、労働時間の管理が複雑になることなどから、厚労省の17年の調査では、導入企業は1.4%にとどまる。

過労死防止大綱の図
(C)朝日新聞社

31日 東京五輪のマラソンコース決定

雷門、皇居…観光名所めぐる

 2020年東京五輪のマラソンコースが決定した。大会組織委員会が発表した。新国立競技場がスタート、ゴール地点となり、東京タワー、せんそうかみなりもん、皇居など東京の観光名所をめぐる。折り返し点が雷門、ぞうじょう、二重橋と3カ所あるのも特徴。終盤3キロの上り坂が勝負を分けるポイントになりそうだ。
 五輪を招致した時の立候補ファイルによると、女子マラソンを8月2日、男子は同9日に行う計画。暑さを避けるため、ともに午前7時スタートを軸に検討されている。

2020年東京五輪のマラソンコースの地図画像
(C)朝日新聞社

6月1日 日本版・司法取引制度始まる

他人の犯罪解明に協力し、処分軽く

 他人の犯罪を明かして自らの刑罰を軽くしてもらう司法取引制度が日本で始まった。組織犯罪の解明につながると期待される一方、うその供述が無実の人をえんざいに巻き込む危険性も指摘されている。
 取引が成立するためには、検察官と容疑者・被告、弁護人が協議し、合意することが必要だ。冤罪を防ぐため、協議の開始から合意の成立まで弁護人が一貫して立ち会うほか、虚偽供述罪が新たに設けられた。

司法取引
 容疑者・被告が他人の犯罪を捜査機関に明かす見返りに、検察が起訴をやめたり求刑を軽くしたりする制度。対象は主に暴力団などの組織犯罪のほか、企業などがからむぞうしゅうわいや談合、脱税といった経済犯罪なども含まれる。

1日 最高裁、「不合理な格差」認定

非正社員の待遇

 正社員と、契約社員など非正社員の待遇の差が適切かどうかが争われた二つの訴訟の判決が、最高裁判所であった。一つの訴訟では、正社員に支払われる5種類の手当が、同じ仕事をする非正社員に支払われないのは「不合理」と判断した。一方、定年後に再び雇われた非正社員が起こした訴訟では、正社員との待遇差の大半を認めた。
 最高裁が、労働契約法の禁じる「不合理な格差」について判断を示したのは初めて。今後、正社員と非正社員を抱える企業は、対応が迫られそうだ。

1日 羽生結弦選手、国民栄誉賞決定

個人では最年少

 フィギュアスケート男子の羽生はにゅうづる選手(23)=写真=に国民栄誉賞がおくられることが決まった。個人では最年少の受賞で、フィギュア選手では初めて。表彰式は7月2日に首相官邸で行われる。
 羽生選手は、2月の韓国・ピョンチャン冬季五輪で優勝し、2大会連続の金メダルに輝いた。2011年3月11日の東日本大震災で被災した宮城県仙台市の出身。「この賞が被災地やスケート界にとって明るい光になることを願っております」とコメントした。

羽生結弦選手の写真
(C)朝日新聞社

1日 昨年の出生数、最少94.6万人

2年連続100万人割れ 厚労省

 2017年に国内で生まれた日本人の子どもの数(しゅっしょうすう)は94万6060人で、統計がある1899年以降、最も少なくなった。前年より3万918人少なく、2年連続で100万人を下回った。厚生労働省が発表した。
 親になる世代の人口が減っていることが原因の一つ。女性が一生に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」は1.43で、前年から0.01ポイント下がり、前年の人口を保つのに必要とされる2.07を大きく下回った。

1日 米 EUなどへ高関税発動

貿易摩擦激化へ

 安い輸入品が自国の安全保障を損なうとして、米国は欧州連合(EU)、カナダ、メキシコに対し、鉄鋼・アルミニウム製品に高い関税をかける措置に踏み切った。トランプ政権は3月、中国や日本などからの輸入品に高関税の適用を始めたが、EUなどは除外していた。鉄鋼には25%、アルミニウム製品には10%それぞれ関税を上乗せする。
 EUは、米国を世界貿易機関(WTO)に提訴する手続きを開始。カナダもWTOに提訴した。EU、カナダ、メキシコは報復として米国からの輸入品に高い関税をかける方針で、貿易摩擦が激しくなりそうだ。

3日 金井さん、地球に帰還

ISSに滞在168日

 国際宇宙ステーション(ISS)に滞在していた宇宙飛行士のかなのりしげさん(41)が、約半年ぶりに地球に帰還した。ロシアのソユーズ宇宙船でカザフスタン中央部に着陸。スタッフに抱きかかえられ宇宙船から出た金井さんは笑顔で手を振った=写真。「多くの人が宇宙に行く先駆けとして仕事ができて、幸運に感じる。白いご飯とみそ汁が食べたい」と話した。
 日本人のISS長期滞在は7人目で、計8回目。金井さんの滞在期間は168日で、1回の滞在ではわかこういちさんの188日に次ぐ長さだった。

金井宣茂さんの写真
(C)朝日新聞社

3日 いじめメモ隠ぺい、市教委が指示

神戸・中3自殺 国が指導

 神戸市立中学校3年の女子生徒(当時14)が2016年に自殺し、いじめをうかがわせる他の生徒からの聞き取りメモが学校内にあったにもかかわらず、市教育委員会の首席指導主事が当時の校長に指示して、メモを隠ぺいしていたことが、弁護士の調査でわかった。市教委が発表した。遺族にも内容を伝えていなかった。
 文部科学省は5日、担当者を市教委に派遣し、経緯を聞き取り再発防止を求めた。

3日 ボルダリングW杯 野口選手3連勝

東京五輪の新種目

 ボルダリングのワールドカップ(W杯)第5戦の最終日、東京都八王子市で男女決勝などがあり、女子はぐちあき選手(29)=写真=が優勝した。今季W杯3連勝となった。
 ボルダリングは、ホールドという手がかりをたよりに、体一つでかべを登る「スポーツクライミング」の花形種目。スポーツクライミングは2020年東京五輪の新競技で、ボルダリングを含む3種目の合計点で競う。

野口啓代選手の写真
(C)朝日新聞社

3日 グアテマラで噴火 死者99人に

行方不明200人近く

 中米グアテマラで、首都グアテマラ市から約40キロ南西にあるフエゴ山(標高3763メートル)が噴火した。近くの村などが溶岩流に襲われ、逃げ遅れた住民が巻き込まれた。報道によると、6日時点での死者は99人に達し、200人近くが行方不明。
 フエゴ山の噴火は今年2回目。今回の噴火では、首都でも火山灰が降り、国際空港も閉鎖されるなどの影響が出た。

4日 森友文書改ざん、調査結果を公表

財務省 職員20人処分

 財務省は、学校法人・森友学園への国有地売却をめぐって、取引に関わる文書を改ざんした問題で、調査結果と関係職員計20人の処分を発表した。文書を改ざんしたり交渉記録を捨てたりしたのは、国会でさらなる質問を防ぐためだったとする。
 佐川宣寿・前理財局長が方向性を決めたとして、「停職3カ月相当」の処分にあたる約500万円を退職金から減額。麻生あそうろう財務大臣は閣僚給与1年分を自主返納するが、辞任はしない。

4日 米朝会談、12日にシンガポールで

当初の予定通り 米発表

 米国のトランプ大統領と北朝鮮のキムジョンウン朝鮮労働党委員長との首脳会談が、予定通り6月12日にシンガポールで開かれることになった。米ホワイトハウスのサンダース報道官はこの日、会談の開始は午前9時(日本時間午前10時)になると明らかにした。北朝鮮への経済制裁による「最大限の圧力」については、北朝鮮が非核化を実現しない限り、維持する考えを強調した。

5日 大学入試解答の公表、強く促す

出題ミスが相次いだため 文科省

 文部科学省は、大学に対し入試問題や解答を原則として公表するよう求める通知を出した。各大学が公表に「努める」ことがルールだったが、これからは公表するよう大学に強く促した。
 昨年、大阪大学や京都大学などで、入試問題の出題ミスが相次いだため。一部の大学は「解答や解法を暗記する受験対策につながる」などとして、これまで解答を公表していなかった。

6日 ホンダジェット、日本でも販売

最大7人乗り 5億7700万円

 ホンダは、小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」=写真=を日本でも販売すると発表した。最大7人乗りで、航続距離は2661キロ。価格は約5億7700万円。ホンダは2012年に小型ジェット機の製造を始め、15年から欧米を中心に販売。日本でも企業の幹部などの利用を見込む。

ホンダジェットの写真
今井尚撮影

7日 北朝鮮への対応方針を確認

日米首脳会談

 しんぞう首相とトランプ米大統領が、米ワシントンのホワイトハウスで会談した。12日の米朝首脳会談に向け、対応方針をすり合わせた。
 共同記者会見では、北朝鮮が核・ミサイル廃棄に向けた具体的な行動を取るまで国連安全保障理事会の制裁決議を解除しない方針を表明した。安倍首相は問題解決に向け、日朝首脳会談の開催に意欲を示した。トランプ氏は北朝鮮との国交正常化に向けて話し合うという。

日付は現地時間。記事の一部は朝日新聞社の提供です。

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