朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

10月12日―10月19日

2017年10月22日付

12日 米国が来年末にユネスコ脱退へ

イスラエルへの対応を問題視

 米国務省は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)から脱退すると、ユネスコ側に伝えたと発表した。ユネスコが米国の同盟国であるイスラエルに反対するような対応をとっていることなどを理由に挙げている。米国に続き、イスラエルも同日、脱退を発表した。
 米国は2018年12月31日付で正式に脱退し、その後は議決権のないオブザーバーとして関わっていく方針。ユネスコにとって米国は予算分担金の約22%を占める最大の国で、脱退は大きな打撃となりそうだ。

ユネスコ
 教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関。1946年に設立。本部はフランスのパリにある。

12日 ニホンカワウソではなさそう

対馬で発見 ユーラシアカワウソか

 環境省は、国内で38年ぶりに野生のカワウソが見つかった長崎県の対馬つしまで8~9月に本格調査した結果、ユーラシアカワウソのDNAを持つオスの生息が確認されたと発表した。専門家は「韓国から流れ着いた可能性が高く、四国にいたニホンカワウソの可能性は低い」と分析した。
 対馬のカワウソは、りゅうきゅう大学が2月に自動カメラで撮影。7月の環境省の緊急調査では、オスとメスが1匹ずついる可能性があるとしていた。

12日 菊池寛賞に浅田真央さんら

「記録以上のもの、人々の心に」

 第65回きくかん賞が発表され、元フィギュアスケート選手のあささん=写真=らが選ばれた。小説家の菊池寛の功績を記念して設けられた年1回の文化賞。広く文化的な活動で優秀な働きをした人や団体に贈られる。
 浅田さんの受賞理由は「世界選手権とグランプリファイナルで計7度優勝。記録以上のものを人々の心に刻んだ」とされた。

浅田真央さんの写真
(C)朝日新聞社

13日 神戸製鋼の不正、新たに9製品

飲料缶からミサイルまで

 神戸製鋼所は、製品に付ける検査データを書きかえたり、検査をしていなかったりした問題で、新たにグループ9社の9製品で不正があったと発表した。公表済みのものと合わせて計16製品、出荷先は国内外500社。新たな不正のうち4製品は主力の鉄鋼製品で、取締役会で把握しながら公表していなかった。製品が使われるのは飲料缶からミサイルまで多岐にわたる。

14日 熊本地震「仮住まい」4万5千人

仮設入居期限1年延長

 熊本地震の発生から、この日で1年半を迎えた。応急仮設住宅などに暮らす「仮住まい」の被災者はなお約4万5千人にのぼり、熊本県は仮設住宅の入居期限の1年延長を決めた。自宅再建を断念する人も増えており、仮設の次に入居する災害公営住宅の整備計画を増やす市町村も出ている。
 熊本地震では昨年4月14日夜と16日未明に最大震度7を2度観測。熊本・大分両県で住宅被害が約20万棟にのぼり、災害関連死を含む犠牲者は先月末までに計249人になった。

15日 福井中2自殺、担任らの叱責要因

教育長が謝罪

 福井県いけ町教育委員会は、今年3月に町立池田中学校で2年生の男子生徒(当時14)が自殺したと発表した。担任と副担任から厳しく指導され、何度も叱りつけられて、ストレスが高まったことが大きな要因だと結論づけ、教育長が謝罪した。
 男子生徒は3月14日に登校後、校舎3階の窓から転落したとみられ、遺書とみられるノートがあった。昨年10月から、宿題の提出や生徒会活動の準備が遅れたことなどを理由に叱られ続け、家族は担任に訴えたが、適切な対応はなかった。

15日 31歳クルツ氏、首相濃厚

オーストリア総選挙

 オーストリアで総選挙(国民議会、定数183)が行われた。中道右派・国民党が第1党となり、「反移民・難民」を訴えた31歳の党首、クルツ外相=写真=の首相就任が濃厚になった。「反イスラム」を掲げる右翼・自由党の得票も過去最高水準に。2015年の難民危機が社会に与えた影響が色濃く出た選挙となった。
 選挙は比例代表制。不在者投票分を除いた開票結果は、国民党が得票率31.4%。自由党は27.4%。ケルン首相の中道左派・社会民主党は26.7%となった。

クルツ外相の写真
(C)朝日新聞社

16日 「中性子星」合体、観測に成功

重力波と光で

 地球から約1億3千万光年離れた二つの「中性子星」(質量は太陽の1.2~1.6倍)が合体した様子を、重力波と光で観測することに成功したと、米欧の研究グループが発表した。中性子星とは、原子核を構成する中性子がつまった天体で、質量の大きい恒星が一生を終えるときに圧縮されてできる。重力波は米の観測施設「LIGOライゴ」とイタリアの「Virgoバーゴ」で検出した。
 宇宙のかなたから地球に届いた重力波を手がかりに、発生源からの光を望遠鏡などでとらえたのは世界で初めて。天文観測の新たな手法として期待される。

重力波
 物が加速しながら動いた時に時間や空間が伸び縮みする「時空のひずみ」が、水面のさざ波のように宇宙空間で広がる現象。19世紀生まれの物理学者アインシュタインが存在を予言した。

中性子星合体による重力波の観測を説明したイラスト
(C)朝日新聞社

16日 トランプ大統領、11/5に来日

拉致被害者の家族と面会

 米ホワイトハウスは、トランプ大統領が11月5日に訪日すると発表した。しんぞう首相と会談するほか、北朝鮮による被害者の家族と面会する。安倍首相は、トランプ氏がよこめぐみさんの両親のしげるさん(84)、さん(81)夫妻と会う意向であると明らかにしていた。
 トランプ氏の来日は大統領就任後、初めて。6日は首脳会談を行う予定。

16日 各地でグリーンライトアップ

臓器移植法施行から20年

 臓器移植法の施行から20年になった。病気や事故で心臓や肺などの臓器が働かなくなった人に、脳の機能がすべて失われた「脳死」と判定された人から臓器を提供できるようにした法律。命や臓器移植について考えるきっかけにしてほしいと、お台場・パレットタウンの大観覧車(東京)や名古屋テレビ塔(愛知)、太陽の塔(大阪)=写真=などが緑色にライトアップされた。日本臓器移植ネットワークなどが企業から協力を得て全国約40カ所で実施した。
 緑はドナー(臓器提供者)と移植された患者の「いのちのつながり」を表すシンボルカラー。

グリーンライトアップされた太陽の塔の写真
(C)朝日新聞社

16日 日米FTA 隔たり鮮明

麻生副総理、TPPの重要性強調

 麻生あそうろう副総理とペンス米副大統領による日米経済対話の第2回会合が、米ワシントンで開かれた。ペンス氏は日米間の自由貿易協定(FTA)に強い関心を示した。これに対し、麻生氏は、米国が離脱を表明した環太平洋経済連携協定(TPP)の重要性を強調。二国間交渉を重視する米国との溝が改めて浮き彫りになった。
 米国が求める冷凍牛肉に対するセーフガード(緊急輸入制限措置)の見直しについても、日本側は運用の変更で理解を求めたとみられるが、今回は合意には至らず、引き続き協議することになった。

17日 シリア民主軍、ISの「首都」制圧

シリア北部のラッカ

 内戦下のシリアで、少数民族クルド人の軍事組織を主力とする連合部隊「シリア民主軍」(SDF)は、過激派組織「イスラム国」(IS)が「首都」と称してきた北部ラッカを制圧した。ただ、一部が抵抗を続けるとみられる。
 ISは独自のイスラム教解釈に基づく疑似国家の「カリフ(げんしゃムハンマドの後継者)制国家」実現を目指したが、「国土」の大半は制圧され、今回「首都」もかんらくした。

ラッカの位置を示した、シリアの地図
(C)朝日新聞社

17日 井山さん、2度目の七冠独占

囲碁・将棋界で初

 囲碁のプロ棋士、やまゆうさん(28)=写真=が、囲碁の世界で2度目の七冠独占を達成した。昨年4月、ほんいんぼうせいせい、名人、王座、てんげんの六つに加えて、最後の「十段」のタイトルを獲得。11月に名人位を奪われて六冠になっていた。
 8月から始まった第42期名人戦で、たかしん名人に4勝1敗で勝利し、名人位獲得が決まった。囲碁・将棋を通じて2度の七冠達成は初めて。

井山裕太さんの写真
(C)朝日新聞社

18日 「社会主義現代化強国」を宣言

中国共産党大会が開幕

 中国共産党の第19回党大会が、キンの人民大会堂で開幕した。シーチンピン総書記(国家主席)=写真手前=は政治報告で、2035年までに「社会主義の現代化」を実現し、建国100周年を迎える49年ごろには総合的な国力や国際的な影響力を高めた「社会主義現代化強国」を実現すると宣言した。
 習氏は経済発展を成し遂げ「反腐敗闘争」を展開してきた5年間を評価し、「中華民族の偉大な復興という中国の夢のためにたゆまず奮闘する」と述べた。

中国共産党大会
 正式名は中国共産党全国代表大会。5年に1度開く。中国が目指す共産主義やどんな社会にしたいかを決め、国民に示すことが目的。党の憲法にあたる党規約の改正や、党幹部の人事を行う。

中国共産党大会での習近平総書記の写真
(C)朝日新聞社

19日 日産、国内工場の新車出荷停止

無資格従業員の検査問題で

 日産自動車が無資格の従業員に新車の検査をさせていた問題で、9月に国から指摘を受けた後も国内の完成車工場全6工場のうち4工場で、検査に無資格者が関わっていた。同社はこの日までに全6工場で新車の出荷を停止した。
 在庫車を含めた約3万4千台の再検査が必要になり、うち顧客に渡った約4千台は、すでに届け出た約116万台に加えてリコール(回収・無償修理)する。
 4工場のうち3工場では18日まで、完成検査の一部を規定の「検査ライン」の外側で実施していた。
 自動車メーカーは、検査ラインの設計を国土交通省に届け出て厳格に管理することが求められているが、日産では設計の一部を無断で変更していた。

日付は現地時間。記事の一部は朝日新聞社の提供です。

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