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2016年5月15日付
日本や米国、ドイツなどの首脳が集まる主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)が26、27日、三重県で開かれる。世界的に行き詰まりつつある経済をいかに伸ばしていくか。過激派組織「イスラム国」(IS)や、軍事力を強める中国にどう対応するかなどを話し合う。
国際的な経済や政治問題について話し合うG7サミットは今回で42回目になる。日本で開かれるのは8年ぶりで、安倍晋三首相が議長を務める。
英国、フランス、イタリア、カナダ、欧州連合(EU)の首脳らが出席する。サミットに前後する4~9月には国内10カ所で、外務大臣や財務大臣らが集まるG7関係閣僚会合も開かれる。
中東アジアの紛争で石油価格が上がるなど、世界経済が混乱したことを受け、1975年に第1回サミットが開かれた。先進国が一緒になって対応するためだった。その後、政治や安全保障、地球温暖化などさまざまなテーマについても話し合うようになった。
安倍首相は「今回の伊勢志摩サミットで、G7がリードして世界経済の力強い成長への道筋を示す」と意気込んでいる。世界2位の経済大国となった中国がこのところ不調だったり、石油が余って価格が下がりすぎたりして、世界経済が悪化していることが背景にある。
日本は今後、公共事業などを増やして経済を活性化したい考えだ。安倍首相はこうした「財政出動」をG7の他国にも求めていく方針だ。
一方、ドイツのメルケル首相や英国のキャメロン首相は、国の財政を悪くする財政出動には慎重な姿勢だ。今回のサミットで、どれだけ前向きな経済対策をまとめられるかが注目されている。
経済以外ではISなどのテロ対策や難民問題が主なテーマになる。フランスやベルギーで同時多発テロが起きたり、難民が欧州に押し寄せたりしているためだ。
サミットではテロ防止のため、テロリストの情報管理の徹底を確認し合うほか、難民を生み出している中東や北アフリカの紛争をどのように抑えていくか議論する。
日本にとっては沖縄の尖閣諸島付近や南シナ海で軍事的な力を広げている中国について、どう抑え込んでいくかも重要な議題だ。核実験や弾道ミサイル発射を繰り返している北朝鮮問題とあわせて、アジアで高まる危機感を欧州の国々と共有していく。
また、サミットに合わせて、米国のオバマ大統領が広島市への訪問を予定している。太平洋戦争で原爆を落とした米国の大統領として、初めての被爆地訪問となる。オバマ氏は核兵器のない世界を訴えてノーベル平和賞を受賞しており、訪問は世界の核兵器を減らす流れを後押しするかもしれない。
どちらも(C)朝日新聞社
解説者
小林豪
朝日新聞政治部
記事の一部は朝日新聞社の提供です。