朝日中高生新聞
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民主と維新が合流、民進党が発足

2016年4月17日付

 民主党と維新の党が3月27日に合流し、民進党が結成された。新たな名前で野党結集の軸となることをめざし、政権との対決をアピールする。夏の参院選に向けては他の野党とも連携し、昨年成立した安全保障関連法の廃止を掲げる。再び政権交代をめざすが、どんな理念や政策を掲げるかはまだ定まっていない。

衆参議員156人、20年続いた「民主」の名を変える

自・公に対抗、負のイメージふっしょくも狙う

 民進党は3月、民主を中心に維新などの26人が加わり、衆参議員156人で発足した。20年続いた「民主」の名前を変えてでも結成に動いたのは、衆院議員の3分の2、参院でも過半数を抑える自民・公明の与党に対抗するためだ。
 きっかけの一つは昨年9月の安保法成立だ。安倍(晋三)政権は憲法の解釈を変えて、他国を守るために自衛隊が武力を使えるようにする「集団的自衛権」の行使を認める法律を作り、数の力で成立させた。
 数が少ない野党がばらばらでは、与党ペースで政策が次々と進められるうえ、選挙でも支持が分散して与党に有利に働いてしまう。そんな危機感が民主と維新を結びつけた。
 民進結成のもう一つのねらいは、3年余の民主政権時代についた「マイナスイメージ」を消すことだ。
 民主は2009年の衆院選で自民に圧勝。政権交代を果たしたが、選挙の「マニフェスト」(政権公約)で約束した政策の多くを実現できなかったり、消費税率の引き上げをめぐって党内対立を繰り返したりして国民の支持を失い、再び野党に転落した。
 12年の衆院選で政権に返り咲いた自民の安倍首相は、アベノミクスを掲げて「経済第一」を強調。政権が安定した支持率を保つなか、逆に民主は14年の衆院選でも大敗するなど、低迷が続いていた。

小選挙区中心の選挙制度の下、簡単ではない政権交代

具体的な政策を示せるかが試金石

 とはいえ、民進党が政権交代を果たすのは簡単ではなさそうだ。
 政権の座を決める衆院選は、1人だけしか当選しない小選挙区で295人、政党ごとの得票割合で決まる比例区で180人を選ぶ仕組み。小選挙区中心の制度は元々、二大政党が競い合って政権交代をしやすくするねらいで1996年の衆院選から導入された。
 手本とした英国の議会選も同様だが、小選挙区制では、与野党双方がどんな政策を掲げ、有権者の支持や関心を集められるかがカギになる。
 民進は結成に際し、政策の柱に「自由、共生、未来への責任」を掲げた。安倍政権のもとで、「憲法で権力を縛る」という立憲主義を軽んじられ、貧富の格差が広がり、将来世代の負担になる国の借金も増えていると主張する。
 だが、消費増税に対する考え方も含め、具体的な政策を十分に示しているとは言えない。選挙に向けて、与党に対抗する明確な方針を打ち出せるかが今後の試金石になりそうだ。

気勢を上げる民進党の国会議員らの写真
結成大会で気勢を上げる民進党の国会議員ら=3月27日、東京都港区どちらも(C)朝日新聞社

民進党の新体制と政権への対抗軸の表

村松真次さんの写真
解説者
むらまつしん
朝日新聞政治部

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