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2020年1月1日付
2020年の最大イベントは11月の米国大統領選挙だ。トランプ大統領が再選を果たすかが焦点。アジアでは、「自由」を求める香港市民に中国政府がどう向き合うかが注目されている。欧州では英国が欧州連合(EU)から離脱する予定だ。
米大統領選の勝敗の行方は、投票日の11月3日までわからない。世論調査によると、トランプ大統領を支持する人はだいたい4割、支持しない人は5割で固定されている。トランプ大統領が再び選ばれるには、国民に強くアピールできる成果が必要だ。
選挙でのライバルは誰か。野党の民主党が、自分たちの候補を決める手続きを進めている。最初はこれまでで最も多い25人以上が立候補したが、運動を続けるお金がなかったり、支持する人が増えなかったりして、徐々に減った。
先頭集団は、バイデン前副大統領、ウォーレン上院議員、サンダース上院議員の3人。いずれも70歳以上の白人で、「この人ならトランプ氏に勝てる」と自信を持って言えないのが、民主党のつらいところだ。
トランプ大統領には「ウクライナ疑惑」がある。トランプ大統領がウクライナの大統領に電話して、ライバルのバイデン氏に関連する疑惑を調べるよう圧力をかけた疑いだ。民主党が過半数を占める下院は弾劾訴追する決議を可決したが、トランプ大統領を辞めさせるかどうかを決める裁判を開くのは、与党の共和党が過半数の上院。無罪になれば、民主党は逆に批判されるかもしれない。
アジアでは、昨年6月から大規模なデモを続ける香港の人々に対して、中国政府がどう対応するかが注目される。
香港は英国の植民地だったが、1997年に返還された際、中国政府は2047年まで「一国二制度」を維持すると約束した。香港の人々には高度な自治と法の下の平等が保障され、繁栄を築いた。しかし、47年以降の政治体制は白紙だ。中国政府は「一国一制度」にするのではと心配する多くの市民が、デモに参加して反対を表明した。
デモが終わる兆しはない。中国政府や香港政府が強い姿勢で取り締まりを続ければ、多くの市民がけがをしたり、死亡したりするかもしれない。こうした事態を防ぐために、国際社会は香港の情勢を注視しなければならない。
欧州では、英国が1月末、EUから離脱しそうだ。昨年12月12日にあった総選挙で、離脱をめざすジョンソン首相の与党・保守党が議会の過半数を獲得した。
ただ、離脱しても、通商などのEUとの話し合いは長引く可能性がある。また、英国を構成する四つの地域のうち、スコットランドではEU残留派が大勝した。今後、英国から独立してEUに加盟する動きが出てきそうだ。展開次第では、英国は「連合王国」としてのまとまりがなくなる恐れがある。
■解説者
春日芳晃
朝日新聞
国際報道部次長
支持者を前に演説するトランプ米大統領=2019年11月1日、米ミシシッピ州トゥペロ
どれも(C)朝日新聞社
声を上げながら歩くデモの参加者たち=19年12月1日、香港
スコットランド独立をめざす集会に、青と白のスコットランド旗を持って集まった人たち=19年11月2日、英国・グラスゴー
英国のジョンソン首相
記事の一部は朝日新聞社の提供です。