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2019年10月20日付
JR東京駅に近い皇居(東京都千代田区)で22日、「即位礼正殿の儀」が行われる。5月に即位した天皇陛下が広く国内外からお祝いを受ける儀式だ。この日は今年に限って祝日となった。台風19号の被害への配慮で、天皇陛下と皇后雅子さまのパレードは延期される。
天皇陛下は5月1日午前0時に即位し、元号は平成から令和に変わった。この日はさまざまな儀式があり、天皇陛下は「皇位のしるし」として歴代天皇に伝わる宝物を受け継いだほか、「即位後朝見の儀」で「日本国および日本国民統合の象徴としての務めを果たす」と決意を語った。
それから5カ月以上がたった。天皇陛下は忙しい日々を過ごしているが、改めて天皇になったことをアピールするのが「即位の礼」だ。中心的な行事は10月22~31日と10日間にわたって行われ、最も重要な行事と言えるのが即位礼正殿の儀。天皇陛下が自ら即位したことを宣言し、国内外のお客からお祝いを受ける儀式となる。
この儀式が開かれるのは、皇居・宮殿で最も格式が高いとされる「松の間」。首相や最高裁長官の親任式、文化勲章の親授式などが行われる広間だ。
儀式は午後1時に始まる。天皇陛下は「黄櫨染御袍」と呼ばれる束帯姿。天皇のみが着用する装いで、淡く赤みがかった茶色が特徴だ。皇后さまは十二単姿。他の皇族方も男性は原則として束帯、女性は十二単を身にまとう。
松の間には「高御座」という舞台(高さ約6.5メートル、重さ約8トン)が置かれ、この上で天皇陛下が即位を宣言する。隣には皇后さまがのぼる「御帳台」も置かれる。夜には、国内外のお客をもてなす祝宴「饗宴の儀」がある。
午後3時半から予定されていた両陛下のパレード「祝賀御列の儀」は延期される。台風19号で東日本の広い範囲に被害が出ているため、被災者に配慮した。
即位礼正殿の儀をめぐっては、問題点も指摘されている。儀式では天皇陛下と安倍晋三首相が向かい合うが、天皇陛下が立つ高御座と、首相が立つ床の高さの差は約1.3メートルになる。首相が天皇陛下を見上げる形となるため、「天皇が国民の上位にあるのは、国民主権を定めた憲法になじまない」という批判がある。
また、即位に関する儀式は国の行事と位置づけられ、国費が使われるが、「一連の儀式や行事は宗教色が明らかで、国費の支出は憲法が定める政教分離に違反する」との指摘もある。
これらは昭和から平成への代替わりでも議論になったが、今回は十分に検討されることなく「前例踏襲」となった。
政府側は「平成の代替わりで十分検討された」と説明するが、専門家の間では「再度検討すべきだ」という声も根強い。
解説者
島康彦
朝日新聞東京本社社会部次長
10月22日午後1時
天皇陛下が正殿・松の間に入り、高御座にのぼる
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剣と璽などが案という机上に置かれる
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皇后さまが正殿・松の間に入り、御帳台にのぼる
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天皇陛下がおことばを述べる
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首相が祝辞「寿詞」を述べる
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首相が万歳三唱。参列者が唱和する
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両陛下が退出する
(C)朝日新聞社
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