朝日中高生新聞
  • 日曜日発行/20~24ページ
  • 月ぎめ967(税込み)

NEWS WATCHER

8月22日―8月29日

2019年9月1日付

22日 韓国、軍事情報協定を破棄

GSOMIA 米国は「失望」

 韓国大統領府は、2016年から結んでいる日韓の軍事情報ほうかつ保護協定(GSOMIAジーソミア)を破棄することを決めた。11月の満期で効力がなくなる。
 第2次世界大戦中に日本の工場などで働かされた人々「ちょうようこう」をめぐる問題がきっかけとなった日韓関係の悪化が、安全保障協力にまで及ぶことになった。協定維持を求めてきた米国政府は、韓国の判断に「失望」を表明した。北朝鮮などの脅威を前に、日本と米国、韓国が協力してきた安全保障体制がゆらぐ心配がある。

軍事情報包括保護協定(GSOMIA)
 政府間の防衛に関する秘密情報の交換をスムーズにする協定。守るべき秘密は軍事技術に限らず、研究開発、訓練情報、作戦情報に及ぶ場合もある。情報を管理する人や情報にアクセスできる人、保管の方法などについても定める。日本は米国やフランス、オーストラリアなどと結んでいる。

安全保障をめぐる日米韓の関係の図
(C)朝日新聞社

22日 AIの自律型兵器に指針

国連 人を介さず判断させない

 スイスのジュネーブで開かれた国連の「自律型致死兵器システム」に関する政府専門家会合は、兵器の使用には人間が責任を持つなどの考えを含む報告書を全会一致で採択した。人工知能(AI)が、人間が間に入ることなく判断する自律型の「ロボット兵器」を認めないという考えに各国が合意。規制につながる国際基準の第一歩となる。
 報告書では、各国が基準作りをさらに検討するとし、今回の指針はその土台となる。だが、各国の立場の違いは大きく、条約など法的こうそく力のある規制に向けた交渉に進むのは、現状では難しそうだ。
 AIの判断で自律的に標的を選んで攻撃する兵器は米国、ロシア、イスラエルなどが開発中とされる。

22日 東京・港区に日本一高いビル計画

330メートル 2023年3月末

 日本一高いビルが2023年3月末、東京都港区に建つ見込みだ。森ビルは、港区の虎ノ門とあざだい地区で進める再開発事業で、高さ330メートルの超高層ビルを建設すると発表した。
 大阪市の「あべのハルカス」(300メートル)を超えて日本一の高さのビルになるという。
 再開発の区域は約8.1ヘクタールで、事業費は約5800億円。

23日 中国、米に対抗し追加関税

報復の連鎖止まらず

 中国政府は、米国からの計750億ドル(約8兆円)分の輸入品5078品目に、9月1日と12月15日の2回に分けて、10%と5%の追加関税をかけると発表した。対象は農産品や工業原料、日用品など。米国が9月1日と12月15日に中国に行う予定の追加関税「第4弾」への対抗措置だ。
 これを受けて、米国のトランプ大統領も23日、中国からの輸入品計2500億ドル(約26兆円)分にかけている25%の追加関税「第1~3弾」について、10月1日から税率を30%に引き上げると表明した。第4弾も10%から15%に改める。
 仕返しの連鎖に歯止めがかからず、世界経済への影響も心配されている。

23日 安倍首相の在任、戦後最長

計2798日 11月20日で歴代1位に

 しんぞう首相の2回の首相在任期間を合わせた日数が計2798日となり、立憲政治が始まってから2位になった。戦後最長のとうえいさくと並んだ。11月20日まで政権を維持すると、計2886日の歴代最長のかつらろうも超える。
 安倍首相は2006年に首相に就任。第1次政権は1年で終わったが、12年の総裁選に勝利、同年末に政権に復帰した。15年総裁選は無投票で再選、18年はいししげる氏を破って3選。6年8カ月にわたり政権を続けている。

23日 リュウグウ、2種の岩石が分布

小型着陸機撮影の画像を解析

 小惑星探査機「はやぶさ2」が着陸した小惑星「リュウグウ」は、主に2種類の岩石で覆われていることがわかった。はやぶさ2が昨年の秋、リュウグウに投下した小型着陸機が撮影した地表の画像を調べた。大昔に、まったく性質の異なる岩石が集まってできた可能性があるという。ドイツ航空宇宙センターなどが、この日付の米科学誌「サイエンス」に論文を発表した。
 着陸したのは、縦横約30センチ、高さ約20センチ、重さは約10キロの「MASCOTマスコット」。地表には暗く粗い岩と明るくなめらかな岩の2種類が、ほぼ同じぐらいに広がっていたという。

25日 日米貿易交渉、大枠で合意

米の農産物の輸入増えそう

 安倍晋三首相と米国のトランプ大統領が会談し、日米貿易交渉について大枠で合意した=写真は握手する安倍首相(左)とトランプ大統領。2人は主要7カ国首脳会議(ジー7セブンサミット)のためフランスを訪れていた。
 日本側は、日本が米国から輸入する際に牛肉や豚肉などの農産品にかかる関税を環太平洋経済連携協定(TPP)で認めた水準まで下げる。これで米国産の農産物が、日本でより多く取引されるようになる見込み。
 米国側は、自動車部品を含むさまざまな工業製品で、日本から輸入する時にかかる関税を減らす。

環太平洋経済連携協定(TPP)
 太平洋を取り囲む国々による、関税の撤廃やサービス・投資の自由化を進める協定。当初、12カ国で話し合っていたが、トランプ米大統領が自国の産業を優先する「保護貿易」を掲げて離脱した。日本、オーストラリアやメキシコ、シンガポール、カナダなど11カ国が参加している。

安倍首相とトランプ大統領の写真
(C)朝日新聞社

25日 桃田選手、永原・松本組が2連覇

バドミントン世界選手権 日本6メダル

 スイスで開かれたバドミントンの世界選手権は、各種目の決勝があり、男子シングルスは世界ランキング1位のももけん選手=写真=が2―0でデンマークの選手を下し、2連覇を果たした。女子ダブルスでも、ながはら選手、まつもと選手の組が2連覇した。
 日本勢は最多だった前回大会に並ぶ計6個(金2、銀3、銅1)のメダルを獲得した。

桃田賢斗選手の写真
(C)朝日新聞社

25日 脳死の子からの臓器提供増加

今年すでに13人 初の2けた台

 脳の働きがすべて失われた「脳死」と判定された18歳未満の子どもからの臓器提供が増えている。今年は、この日までに13人と昨年1年間の7人を大きく上回り、初めて2けた台になった。ほかの人に臓器を移す脳死移植が保護者や小児科医に受け入れられるようになってきたのが増加の理由の一つのようだ。
 脳死による臓器提供は、15歳以上が1997年、15歳未満は2010年から可能になった。日本移植学会などによると、提供数は16年まで4人以下だったが17年に6人、18年には7人となった。

18歳未満の脳死臓器提供の推移のグラフ画像
(C)朝日新聞社

26日 就職サイト「リクナビ」に勧告

内定辞退率予測し、個人データ販売

 就職情報サイト「リクナビ」が、就職活動中の学生が内定を辞退する確率を予測し、本人には十分説明しないまま企業に販売していた問題で、政府の個人情報保護委員会が、運営するリクルートキャリアに個人情報の取り扱いを改善するよう勧告と指導を実施したと発表した。本人の同意を得ず、個人データを第三者に販売したことが個人情報保護法に違反しているとして、2016年1月に保護委が設置されて以来初めて、勧告に踏み切った。
 同社は8月5日、リクナビの閲覧履歴を元に就活生の内定辞退率を予測して企業に販売するサービスで、予測していた一部の約8千人分について、本人の同意を得ず企業に販売していたとして、サービスを廃止した。

個人情報保護委員会
 個人情報保護法の改正を受け、2016年1月に同法を監督する第三者機関として新たに発足した。各省庁がばらばらに担ってきた個人情報保護法の「監視・監督役」を一手に引き受け、個人情報の不正利用を監視・監督する。

就活生の内定辞退率を予測する仕組みの図
(C)朝日新聞社

26日 新潟 柏崎刈羽、一部廃炉を検討

東電「6、7号機の再稼働前提」

 東京電力ホールディングスはかしわざきかり原子力発電所(新潟県柏崎市、刈羽村)=写真=の1~5号機について、条件付きで廃炉を検討する考えを示した。東電が柏崎刈羽の廃炉に言及したのは初めて。6、7号機の再稼働を前提に、代替となる再生可能エネルギーが十分に導入できる見通しが立つことを条件に加え、廃炉を約束することは避けた。背景には、原発にすがる経営姿勢がある。
 1号機は原則40年の運転期限まであと6年。2~4号機は2007年の新潟県中越沖地震以降は停止中。6、7号機の再稼働を先行させ、残る5基も段階的に動かせば火力発電の燃料費を節約でき、1基あたり年1千億円ほどの利益改善につながるとみている。

柏崎刈羽原子力発電所の地図

柏崎刈羽原子力発電所の写真
(C)朝日新聞社

26日 G7「首脳宣言」初の見送り

簡潔な文書を採択

 フランスで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)が閉幕した。これまでは各国の意見をまとめた「首脳宣言」を出してきたが、今回は初めて見送られ、簡潔に記された1ページの合意文書を採択した。合意の難しさを映し出した。
 会議の後、議長を務めたフランスのマクロン大統領と米国のトランプ大統領が会見。イランが各国と交わした核合意を違反した問題をめぐり、G7はイランに核保有をさせないことで一致しており、マクロン氏は「トランプ氏とイランのロハニ大統領が会談する環境を作ることができた」と述べ、会談の実現に期待感を示した。
 3日間の会議では、サミット直前に国際問題化したアマゾンの森林火災をめぐり、消火活動や森林の持続可能な開発に向け支援することで合意した。

28日 九州北部で記録的な大雨

「線状降水帯」発生 死者も

 九州北部を中心に記録的な大雨が降り、気象庁は福岡、佐賀、長崎の3県に、数十年に一度の重大な災害が予想される場合に出す「大雨特別警報」を発表した。佐賀県たけ市と福岡県市で3人の死亡を確認した(29日現在)。
 気象庁によると、28日朝までの24時間降雨量は長崎県ひら市で434ミリ、佐賀市で390ミリを観測。秋雨前線に南から暖かく湿った空気が流れ込んで「線状降水帯」が発生し、豪雨になったという。

線状降水帯
 長さ50~300キロ、幅20~50キロの帯状にのびる強い雨域。連なった積乱雲が帯状に並び、長時間同じ場所にとどまって豪雨をもたらす。発生の詳しいメカニズムはわかっていない。

大雨を降らせた要因のイメージ図
(C)朝日新聞社

28日 トヨタとスズキが資本提携

次世代技術の開発加速

 トヨタ自動車とスズキは、お互いの株式を持ち合い、協力関係を強める資本提携をすると発表した。両社はこれまで、ハイブリッド車(HV)などの分野で協力してきたが、自動運転など次世代技術の開発も加速するため、関係を一段と深める。

日付は現地時間。記事の一部は朝日新聞社の提供です。

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