朝日中高生新聞
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2018年 国際情勢は?

2018年1月7日付

 2018年、北朝鮮はさらに核・ミサイル開発を進めそうだ。米国のトランプ政権は軍事的圧力を高めていて、ぎりぎりの駆け引きが続く。米国が「内向き」な姿勢を見せる中、世界中いたるところで落ち着かない状況が続きそうだ。

核・ミサイル開発急がせる金委員長、圧力強めるトランプ大統領

北朝鮮と米、ぎりぎりの駆け引き続く

 北朝鮮は去年9月に6回目の核実験をした。米国の首都ワシントンまで射程に含める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験も続けた。北朝鮮の指導者であるキムジョンウン朝鮮労働党委員長は、建国70年にあたる今年9月9日の建国記念日までに核ミサイルの配備完成を宣言しようと、開発を急がせているとみられる。
 これに対し、トランプ米大統領は正恩氏を「小さなロケットマン」と挑発。「あらゆる選択肢がある」と話し、原子力空母3隻を朝鮮半島の近海に送るなど強い態度を示すことで、核・ミサイル開発をやめさせようとしている。国連などの制裁も強化され、北朝鮮の経済は苦しくなっている。
 一方で、トランプ氏もじゅんぷうまんぱんというわけではない。11月には上院議員のうちの3分の1、下院議員全員が改選となる中間選挙がある。政権をどれくらい国民が信任しているかが見えてくる。
 またマラー特別検察官が進める「ロシア疑惑」の捜査も、トランプ氏の前に立ちはだかっている。トランプ氏本人の偽証や司法妨害が明らかになれば、辞任に向けただんがい裁判が現実となる可能性も出てくる。

中間選挙が控える米は「内向き」、ロシア・中国が存在感

中東で宗教・宗派間の摩擦が激しく

 米国が「内向き」になる中、存在感を高めているのはロシアと中国だ。
 ロシアのプーチン大統領は、3月の大統領選での勝利が確実視されている。通算4期目、2000年の当選から首相時代を含めると20年以上、権力を握ることになる。
 中国のシーチンピン国家主席は、去年10月の共産党大会で2期目の政権基盤を固めた。シルクロード経済圏構想(一帯一路)とアジアインフラ投資銀行(AIIB)を軸に、中国主導の国際秩序づくりを進めている。
 中東では、スンニ派の大国サウジアラビアとシーア派の大国イランの摩擦が激しくなっている。内戦が双方の代理戦争の場となっているイエメンは「人道危機」に陥っている。
 また過激派組織「イスラム国」(IS)は、勢力圏としてきたシリア、イラクでほぼ一掃されたが、エジプトやリビア、アフガニスタンなどで勢力を保つ。世界各地でテロが起きる危険性は依然消えていない。
 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三つの宗教の聖地であるエルサレムについて、トランプ氏が「イスラエルの首都と正式に認める」と宣言したことで、東エルサレムを将来国ができた時の首都にしようと考えているパレスチナの人々など、イスラム世界に怒りが広がっているのも気がかりだ。

石田博士さんの写真
解説者
いしひろ
朝日新聞
国際報道部デスク

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