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2017年11月5日付
地球温暖化問題について話し合う国際会議が今月6日にドイツで始まる。世界が協力して取り組む温暖化対策の目標などを定めた「パリ協定」ができて2年。2018年中にこの詳しいルールを決めることになっている。議論がどこまで進むのかが、注目されている。
開かれるのは、国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)で、ドイツ・ボンで約2週間にわたってある。
地球温暖化が進み、氷河の融解が進んだり、各地で異常気象が目立ったりするようになってきた。これ以上の悪化を食い止めるため、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを減らさなければならない。
そのために世界が協力してつくり上げたのが、2年前のCOP21でできた「パリ協定」だ。日本も含めて多くの国が参加するための「締結」という国内手続きもすませた。
ただ、パリ協定が定めた仕組みや約束事は大まかなもので、細かいルールは18年中に決めることになった。学校のクラスの目標やスローガンは決めたが、それを進めたり、ずるをする人が出ないようにしたりするルールづくりが、宿題として残っているようなものだ。
「ルールづくりを急ごう」との考えでは、多くの国が一致している。一方で、それぞれの国が減らしたCO2の量をどういう方法で確認するのか、CO2を減らすのが難しい国がほかの国が減らした分を譲ってもらうにはどうするのか、といった課題に対しては、国によって意見の隔たりがある。
日本には、途上国を支援するための技術や資金などによる貢献も期待されている。各国が協力してよりよいルールづくりができるよう、議論を引っ張ることも求められている。
パリ協定をめぐっては今年、心配なことが起きた。6月、米国のトランプ大統領が「経済に悪い影響がある」などとして脱退すると表明した。米国は世界2位のCO2排出国で、パリ協定の誕生には温暖化対策に熱心だったオバマ前大統領が指導力を発揮しただけに、世界が衝撃を受けた。
ただ、ほかの国では今のところ、パリ協定を脱退しようという動きはない。世界1位の排出国の中国や、ヨーロッパなどの国々は、これからもパリ協定を守っていくという姿勢を打ち出した。
米国でも、自治体や企業が温暖化対策に積極的に取り組むという考えを次々と表明し、CO2の排出を減らそうと、風力や太陽光などの再生可能エネルギーを利用したり、省エネを進めたりする動きが広がっている。COP23でもそんな先進的な取り組みをアピールする場になりそうだ。
在日米大使館に向かって、パリ協定離脱の表明に抗議する環境NGOのメンバーら=6月2日、東京都港区
どちらも(C)朝日新聞社
解説者
小坪遊
朝日新聞
科学医療部記者
記事の一部は朝日新聞社の提供です。