朝日中高生新聞
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民進党の前原新代表、難しいかじ取り

2017年9月17日付

 民進党の代表にまえはらせい衆院議員が選ばれた。民進党は一番大きな野党だが、選挙で連敗して勢いを失っている。前原氏は「党が目指す社会」をみんなで確認して結束を固めたい考えだが、党に嫌気がさして党を出ようとする議員もおり、「野党再編」が起きかねない。

内輪もめによる党の分裂を防げるかが課題

「中福祉・中負担」の考えでまとまるか

 「お金がないから結婚しない、子どもを持たない、という人をなくそう。貯金がなくても安心して老後を暮らせるようにしよう。そんな社会を目指し、行政サービスを充実させる。その分、税金は高くする」
 これが前原氏が掲げる「ちゅう福祉・ちゅう負担」の考え方だ。企業をもうけさせて国民を豊かにしようとするしんぞう首相の経済政策「アベノミクス」とは違う社会の姿を分かりやすく示せば、民進党への期待が高まると前原氏は踏む。
 ただ、民進党は仲間同士で足を引っ張り合うことが多い。前原氏が代表になったのも、民進党が7月の東京都議会選挙で敗れ、代表だったれんほう氏に反発が強まり、辞任に追い込まれたからだ。党の名前が民主党だった2009年に衆院選挙で大勝ちして政権をとったが、その後の内輪もめで党が分裂したこともある。
 前原氏は「中福祉・中負担」の考え方をみんなで一致させれば、党内のゴタゴタは収まるとみる。ただ、ある民進党の議員は「増税を掲げると選挙に負ける」と疑問をいだく。前原氏は憲法改正の議論も積極的に進める考えだが、憲法改正に反対の議員もいる。党内で意見をまとめられるかが前原氏の課題となりそうだ。

共産党との協力関係や小池都知事との距離めぐり波乱含み

離党者続出なら野党再編が起きそう

 民進党の外に目を向けよう。野党の中で選挙の候補者を1人に絞り、みんなで応援した方が与党に勝てる可能性が広がる。民進党は共産、自由、社民の3党とできるだけ協力してきた。
 一方、7月の東京都議選ではいけ都知事が率いる勢力が圧勝。民進党はざんぱいし、共産党よりも少ない議席しかとれなかった。
 共産党と協力することで民進党は立ち位置があいまいになったり、共産党に票を奪われたりしているのでは……。前原氏はこう考え、共産党との協力関係の見直しに取り組む方針だ。
 もっと注目を集めているのは、民進党と小池氏の距離だ。
 小池氏に近い議員は新しい政党をつくる準備を進めている。前原氏は小池氏との連携を否定していないが、党内には「われ先に」と党を離れて新党の流れに乗ろうとする動きがある。「小池新党」ができ、民進党が分裂すれば、今の野党の枠組みが大きく変わる野党再編が起きそうだ。
 10月には、死去した衆院議員の議席を埋める三つの衆院補欠選挙がある。前原氏は早速、離党者の続出を防ぎながら、共産党との関係を見直す難しいかじ取りが迫られている。

民進党の新代表に決まり、「がんばろう」三唱する前原誠司新代表らの写真
民進党の新代表に決まり、「がんばろう」三唱する前原誠司新代表(中央)。左は前代表の蓮舫氏。右は枝野幸男氏=1日、東京都港区

前原新代表、多難な出発のイラスト
どちらも(C)朝日新聞社

斉藤太郎さんの写真
解説者
さいとうろう
朝日新聞政治部記者

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