金 賞

一つだけ、ゴミを拾ってみませんか?
愛媛県 西条市立西条東中学校 2年 村上瑠梨

ある日、父がゴミ拾いをしようと誘ってきた。最初は「父が思いつきで行っているだけだ」と思い、散歩気分でついて行った。やっぱりやり始めは、「ちょっと面倒だな」と思いつつ、ゴミを拾っていった。近所をちょっと歩いただけで、ゴミ袋の半分も集まった。それだけ近所には「自分だけなら捨ててもいいよね」「ゴミが落ちているけど、拾うのは面倒だな」と思っている人が多いと感じ自分も落ちているゴミを見て見ぬふりをしていた自分が情けなかった。

父がなぜ急にゴミ拾いを始めたのかが気になり、たずねてみると「生まれてからずっと西条市に住んでいるから、何か西条を良くして、地球温暖化防止にもつなげたいと思い、始めやすく、続けやすいものを探したところ、ゴミ拾いに決めた」そうだ。

西条市には「さいじょうまち美化パートナー制度」というものがある。この制度は道路や川、公園などの環境美化活動をボランティアで行う団体を募り、市と協力して、地域の美しい環境づくりをすることが目的の制度である。

父がこの制度に賛同し、ボランティア団体を作り、加入した。団体の一員である私も定期的にゴミ拾いを始めた。そして、やっていると次第に楽しくなってきた。従弟も楽しそうにゴミ拾いを手伝ってくれた。だって楽しいんだもん!近所もよく見るとゴミが多いけど、何かのメダルや、開けてもいない缶コーヒー、一口も飲んでいない水など、おもしろいゴミもたくさんあった。おもしろいといえば、近所でゴミ拾いをしていた時、乳酸菌飲料の「ピルクル」がちょっと進んだら落ちていて、またちょっと進んだら落ちていてと、合計五つも落ちていて、みんなで大笑いしながら作業をした。あのことは今でも笑ってしまう。

ほかにも、ゴミ拾いをしていたら、仕事に行く途中の叔父や祖父、祖母とすれ違ったりしたこともあった。

また、活動をしている中で気づいた。一人で黙ってやっていても楽しくないし、続かない。しかし、みんなですると自然に会話が生まれ、笑いながらゴミを拾って、楽しくなって、みんなでまたゴミ拾いをする。そのループの中に私やみんなが入っていると思うとなんだかうれしく感じてきた。

あなたの身のまわりにもあるゴミ。そのゴミをただ拾うだけでもいい。暇なときに何人かで拾ってもいい。ただ、ゴミが落ちていたら、見て見ぬふりをしないでほしい。そもそも、ポイ捨てをしないでほしい。そしてその拾ったゴミをきちんとゴミ箱に入れて、「地球に良いことをしたな」と思いながらすると、より爽快な気分になってくる。だからあなたもまずは、ちょっとした気持ちでもいいから一つだけ。ゴミを拾ってみませんか?