金 賞

「みんなでつくる地球」
長崎県 長崎市立山里中学校 3年 黒川海空

ここに一枚の浴衣がある。曾祖母の紫色の藤の花の柄。祖母、母と引き継がれた浴衣。大切に保管されていた。少し古風な浴衣。暑い夏の真っ只中、私は花火大会に麓ていくか否か考えていた。それにしても暑い。今年は熱中症で命を落とすケースも多い。洪水、台風、干ばつ、豪雪など、一年を通して見られる気候変動。いや、これは気候危機だ。

気象庁のデー タを見ると、世界の平均気温は長期的に上昇している。特に日本の年平均気温偏差は近年+0.6℃上回っており、世界の上昇値よりも高い。私は責任を感じずにはいられなかった。地球温暖化の最大の原因は温室効果ガスの二酸化炭素だ。私たちの快適な生活が原因を作っているのだ。更に、家庭からの排出は増加傾向にある。もっと環境に目を向け、自分事として捉え、地球に住むものとして責任感と危機感を持たなければならない。

そこで今年の夏は地球のために「むやみにしない」取り組みを考えた。

@水を使わない
A冷蔵庫を開けない
Bレジ袋を使わない
C食べ残しを出さない
D車に乗らない

の5項目だ。簡単だが、中学生の私にもでき、継続可能な取り組みだ。約二か月続けてみて、手ごたえを感じ取りにくいことに気づいた。CO2は見えない。この取り組みで削減した量なんて測れない。しかし、私の意識は確実に変わった。車を使わないことで、ガソリンの原料である石油の節約になり、資源を守ることになる。CO2を出さない取り組みは、同時に資源を守り、生態系を侵さないことにも繋がる。更に、家庭の経費削減にもなる。目に見えないことでも、環境を守ることに繋がっている。諦めてはいけない。循環型社会という言葉を身近に感じた。CO2の増加は自然に悪影響を与え、負の連鎖を起こす。しかし、環境によいプラスの連鎖も起こせるのではないだろうか。人も同じだ。この地球を祖先から受け継ぎ、私たちがいる。地球を大切にし、次の世代に引き継ごうとする気持ちも循環しているのだ。

「フードドライブ」「手前取り」など、持続可能な未来を見据えた取り組みが浸透している。私が住む長崎には「ながさき環境都市宣言〜人と自然と文化が輝き続けるまち長崎〜」というものがある。きれいな空気と水、豊かな生き物を大切にし、次の世代へ美しい地球を引き継いでいくのは私たちの責任だ。確実に社会は動いている。行動に移すのは私たちだ。環境問題に必要なのは周りを思いやる心ではないだろうか。環境を、生きものを、人を思いやり生きていく。一人ひとりが地球をつくる当事者として、現状を知り、考え、行動する。小さな行動が大きな力を生み出す。

物を捨てるか否か。新しい物を買うか否か。私は曾祖母の浴衣を見ながら、大切にしたいと思う気持ちに誇りを持てた。地球のために優しい選択をしようとする心が私たちの地球をつくる。

(参考文献:気象庁HPより