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朝日小学生新聞 2020年2月29日付け
イラスト・川島星河
学校が休みになると、家で過ごす時間が長くなりますね。家の中でも、ウイルスに感染しないために気をつけたい点や、子どもだけで留守番をする場合の注意点を、専門家に聞きました。(小勝千尋、中田美和子)
こまめに手洗い/部屋の空気入れかえる
ウイルスは口や鼻、目から体に入ります。ウイルスがついているかもしれない手で、顔をさわらないようにしましょう。
家に帰って1度せっけんで手を洗ったら安心、というわけではありません。自治医科大学附属さいたま医療センター小児科教授の市橋光さんは「家の中でもこまめな手洗いが大切」と話します。
手を洗う前にさわった場所にはウイルスがいる可能性があり、またそこをさわれば、ウイルスが手につきます。家族が帰ってきたら、いっしょにまた手洗いをするのもいいでしょう。
マスクは、長時間つけると耳が痛くなったり、口元がかゆくなったりするので、家でずっとつけるのはむずかしいかもしれません。ただ、家族に熱やせきの症状があれば、周りの人もマスクをつけた方がいいといいます。
「家族に症状が出たら、なるべく別の部屋に1人でいてもらい、近くでの会話はさけましょう」
みんながさわるドアノブやリモコンなどは、アルコールなどで消毒します。
房をつけると、部屋の空気が乾燥します。「乾燥した空気を吸いこむと、体の空気の通り道も乾燥し、ウイルスに感染しやすくなります。加湿器をつけることで、乾燥を防ぐことができます」
部屋の空気を入れかえることも重要です。特に体調の悪い人が家にいる時は、こまめに窓を開けて空気を入れかえた方がいいといいます。
学校に行かないと、体を動かす機会が減ったり、ねる時間や食事の時間が今までと変わったりするかもしれません。生活のリズムが乱れると、病気とたたかう力「免疫力」が落ちてしまいます。
市橋さんは、免疫力はすぐに下がることはないといいますが、「規則正しい生活を送ることが大切」と話します。「十分な睡眠と、バランスのよい食事を取りましょう。庭やベランダなどで体を動かすことも大切です」
イラスト・あきもとまさと
留守番する時
ルールを決めておく/「遊ぼう」 さそいに負けない
一人やきょうだいだけで昼間過ごす場合、何に気をつけたらよいでしょうか。
埼玉大学教育学部教授の吉川はる奈さんは「まずはふだんからのルールの確認を」と言います。
インターフォンや電話が鳴ったら、どうするか。調理は子どもだけでどこまでするか。SNSやゲームの時間はどう決めてあるか。
体調が悪くなるなどこまった時の連絡先は、いくつか用意しておきます。低学年の子は、時間を決めて保護者と電話で話すのも一つの方法です。不安やさみしさを感じたら「好きなことをたっぷりすると気持ちが落ち着く」と言います。
高学年の子には「この状況を自立のきっかけと前向きにとらえては」と吉川さん。やるべきことと時間の割りふりを大まかに決め、自分で時間管理をします。簡単なお手伝いをすると、喜ばれて自信もつきます。
「子どもの危険回避研究所」の所長・横矢真理さんは「不安の棚おろし」をすすめます。気になることを書き出し、どう対応するか、親子で相談します。ねる前だと不安がつのるので、明るい時にしましょう。
食事では電子レンジの出番が増えそうです。熱くなった容器でやけどしたり、ふきこぼれたりといった事故も起きるので、使い方を親子で確認します。火事や地震など「もしも」に備えて、かぎの置き場所、かけ方は覚えておきましょう。
新型肺炎の影響が広がり、大人はピリピリしています。横矢さんは「外では知らない人にどなられたり、暴力をふるわれたりする危険もあるので気をつけて」と言います。
「遊ぼう」というさそいを断ると、「おくびょうだ」と言われるかもしれません。でも「おくびょうな人は事前に準備するから、かえって強くなれる。自信を持ってください」。