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朝日小学生新聞 2020年6月6日付け
教えて!「かくれ脱水」委員会の資料をもとに作製イラスト・佐々木恵子
新型コロナウイルスの感染が広がった影響で、今年は春先からずっと、外出することをひかえてきた人も多いでしょう。すると、体が暑さに十分慣れていない中で、まもなく本格的な夏がやって来ます。外出するときや教室の中では今なお欠かせないマスクも、熱中症になる危険性を高めるので、今年はいつも以上に注意が必要です。(八木みどり)
マスクで熱こもり脱水のおそれ
熱中症は、暑さや水分不足などで体温をうまく調節できなくなって起こります。
今年は春から夏へと季節が移り変わるときに、外出をひかえることになったため、暑さに体が十分に慣れないまま夏をむかえることになります。
外出をひかえることで運動量が減ってしまった人は、さらに注意が必要です。体内の水分の多くは、筋肉にたくわえられています。熱中症の予防に取り組む医師や看護師の団体「教えて!『かくれ脱水』委員会」の委員長で小児科医の服部益治さんによると、「筋肉がしぼむことは、水分の『貯蔵庫』が小さくなっているのと同じこと。それだけで脱水症になりやすくなる」と指摘します。
また、マスクをつけていると、体の中に熱がこもりやすくなるほか、のどのかわきを感じにくくなるため、知らない間に脱水が進み、熱中症になるおそれも高まります。
学校が再開されるにあたって文部科学省が出した手引書でも、体育の授業をのぞいては基本的にマスクをつけることが望ましいとされています。服部さんは「暑いときは、教室の中でもマスクをしないですむように、十分につくえの間隔を空けたり、授業時間を短く区切って休憩を多めに取ったりするなどの工夫が必要ではないでしょうか」と話しています。
気温だけでなく「暑さ指数」役立てて
熱中症の予防には、上のイラストのような行動がポイントです。
冷房がない教室もあるので、こまめに換気をして、湿度が高くならないように注意することも大切です。温度や湿度だけでなく、環境省が毎日発表している暑さ指数も役立ちます。
6日の全国の暑さ指数の予測値(5日10時時点) 環境省のサイト(https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php)から
暑さ指数は気温だけでなく、湿度や日差しの強さなども取り入れた指標で、単位は気温と同じように度(℃)で示します。25~28度未満で「警戒」、28~31度未満で「厳重警戒」、31度以上で「危険」などと分けられます。
環境省と気象庁は7月から、関東地方などの9都県で、「熱中症警戒アラート」を発信します。暑さ指数が33度以上をこえると予想される地域を、前日の夕方と当日の朝に発表します。警戒アラートは来年5月からは全国で発信が始まる予定です。