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 子どもと海のSDGs「SDGsってなんだろう」出張授業リポート

広島市立中野東小学校の5年生が授業に参加してくれました。

 広島市立中野東小学校では、2時間目の授業を科学ジャーナリストの山本智之さんが担当しました。  

 山本さんは新聞記者として様々な分野の取材を行っていますが、この20年間一貫して取り組んでいるのは「海」です。日本はもちろん南極海やガラパゴス諸島など世界の海に潜り、取材をしています。


  「日本は海に囲まれ、私たちはその恵みをたくさん受けていますが、実は今、海でも克服すべき問題があります」  

 取材で撮影した、沖縄の海のサンゴ礁の写真を映し出しながら紹介してくれました。

  「サンゴは本来、濃い色をしていますが、全体が白くなる、白化現象が起きています」 その原因は海水温の上昇です。サンゴはイソギンチャクの仲間で、体の中にすんでいる褐虫藻という藻類が光合成をし、その栄養をもらって生きています。しかし、水温が上がると褐虫藻がいなくなるため、栄養失調になって死んでいくのです。

 「サンゴ礁は生物多様性の宝庫です。また、天然の防波堤として高波などから島を守っています。白化により、その恩恵が失われつつあるのです」

 日本の海の水温は上昇を続け、この100年間で1・1度上がっています。たった1度じゃないかと思うかもしれませんが、海の生物に対してとても深刻な影響を与えています。

 たとえば「サケ」の回遊についても心配なことがあります。 「サケは冷たい水を好む魚です。海で成長して川に戻り産卵しますが、北の海で冷たい海水のエリアが減り、将来は日本の川に戻れなくなる可能性があると予測されています」

 温暖化がこのまま進むと、将来は、今のようにはサケやイクラを食べられなくなるかもしれません。

 「海の温暖化はサンゴをはじめとする様々な生物に影響を与えるだけでなく、強大な台風が日本の近くを通る頻度が高まるとの予測もあります。私たちの暮らしに大きな影響があることを知り、問題に向き合うことが求められています」


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