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 子どもと海のSDGs「SDGsってなんだろう」出張授業リポート

目黒区立五本木小学校4,5年生130名が授業に参加してくれました。

 2時間目の講師として、海洋研究開発機構地球表層システム研究センター長の原田尚美さんが登場しました。 原田さんは、海底にたまった泥を解析して過去の地球の環境を調べる研究に取り組み、女性初の南極観測隊副隊長も務めました。          


 南極での調査のようすを紹介したあと、原田さんは「海の酸性化」について解説しました。

  「みなさん地球温暖化についてはよく知っていますね。温暖化の原因は?」 原田さんの問いかけに、「二酸化炭素!」という声があがりました。

 「そう。その二酸化炭素が海に溶け込むと、海水が酸性化していきます」

 酸性化の影響を受ける生き物の具体例として原田さんが挙げたのが、炭酸カルシウムの殻をもつプランクトンの一種です。

 このプランクトンは「有孔虫」の仲間です。サイズを拡大し、3Dプリンターで作った立体模型を2種類、子どもたちに手渡しました。

 見かけはよく似た2つですが、一つは重く、もう一つは軽いことに子どもたちは気づきました。

 軽いほうの有孔虫は、酸性化の影響を受けたもので、人間でいえば「骨粗鬆症」という、骨がスカスカになる病気に似た状態です。 炭酸カルシウムの殻をもつ貝の仲間も、酸性化の影響を受けます。

 海の中を泳ぐ「翼足類」という巻貝もその一つです。

 実は、翼足類は、「海の妖精」とも呼ばれるクリオネのエサなのです。酸性化で翼足類がいなくなると、クリオネも生きていくのが難しくなるといいます。

 次に原田さんが映した写真は、桶の中に並んだお寿司です。ホタテガイやアワビ、ウニ、エビなど、どれもおいしそうです。 原田さんは海の酸性化が進むと、将来、貝類や甲殻類などの寿司ダネが減ってしまうかもしれないことを説明しました。

 そして、「海の中の問題はプラスチックごみだけではないということを、今日おうちに帰ったら家族の人たちに教えてあげてください」と子どもたちに呼びかけました。


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