朝日小学生新聞 毎日発行 月ぎめ1,720円 ブランケット版(8ページ) 朝日小学生新聞

1面の記事から

  

塾も「ネットで学習」利用者増える

 

 

学力にあった問題/キャラクターが解説

 

 学校でパソコンやインターネットを使った授業が広がっていますが、塾や家でも、こうした技術を使って勉強する人たちが増えています。親しみやすいキャラクターが教えてくれ、自分の学力にあった問題が出題されるなどの特徴があります。学力アップにつながるのでしょうか。 

 

 

ネット教材を活用した塾の風景。先生は「講義」せず、子どもを見て回りながらはげましていました=東京都江戸川区のチェンジ塾で

 

 

 

国語の教材の画面。有名な声優を起用し、子どもの興味を引きつける工夫があります

 

 

先生は励まし役

 

 静かな塾の教室で、小学生たちがパソコンに向かって勉強していました。11月のある夕方、東京都江戸川区のチェンジ塾です。マウスのボタンを押す音まで聞こえてきました。
 ヘッドホンをつけた南将宗くん(6年)は国語の勉強中。羊のようなキャラクターから文章の要約のこつを教わっていました。画面内で、選んだ答えがツボの中に入り、ゆすられるアニメーションがえがかれた後、正解か不正解かがわかります。塾では国語と算数を中心に勉強している南くんは「キャラクターが説明してくれるのが楽しいし、聞こうという気になる。国語では、主語と述語の関係がわかるようになってきました」。
 今年3月まで千葉県の公立小学校で先生をしていた、塾代表の根葉正裕さんは「人間の先生だと子どもとの相性もありますし、先生が代わると一貫した指導ができない問題もあります。キャラクターなら同じ指導を何度でもくり返します。私も教えることはありますが、中心は、やる気が出るようにほめたりはげましたりする役割です」
 チェンジ塾が使っているのは「すらら」というネット教材で、家庭でも同じ教材で勉強できます。「例えば、昨日どれだけ勉強したかもわかるので、『宿題をやってきたけど忘れた』とかごまかすことはできません」
 すららを開発した「すららネット」社長の湯野川孝彦さんは「ゲーム感覚で、自分のペースでできるという声をよく聞きます」と話します。
 教材はネットでつながっているので、問題を解いている子どもの学力を判定し、出題の難易度を自動的に調整する仕組みです。「どんな子にも適度な成功体験を実現できる。学力向上にはそれが大事だと考えています」 。

 

苦手は調べ学習 話し合い


 ネットなどを利用した学習のことを「eラーニング」といいます。矢野経済研究所の調査によると、会社などの法人向けに比べると、個人向けの市場は小さいですが、ここ数年伸び続けています。2013年度は09年度の約1・5倍、133億円と予測しています。ネットに親しむ世代が増えて利用に抵抗がなくなったことや、多くの業者がサービスを展開していることなどが背景です。
 小学生向けには関西の中学受験の実績が高い、浜学園の先生が講師を務める「テレビドラゼミ」(小学館集英社プロダクション)や、専用のタブレット端末を使う「スマイルゼミ」(ジャストシステム)などがあります。個別学習の塾に比べ、先生の人手がいらないため、多くは授業料を安めに設定しています。

 

効率よく学べる

 

 千葉大学教育学部教授の藤川大祐さんは「自分の苦手なところ、課題がどれだけ残っているかなどを把握しながら取り組めるのが強みです。調べ学習や話し合いなど苦手な分野もありますが、一定の内容を教わるのなら、効率よく学べるのでは」と話します。
 ネット教材ならやる気次第で、自宅でいくらでも勉強できます。ただ、やらなければ身につきません。「継続して勉強できるか、という課題がある」(藤川さん)。塾なら行けば授業が始まりますが、家で進んで勉強するか、ということです。各社は、勉強時間をほかの子と競える仕組みにしたり、勉強した量に応じてゲームが遊べたりと、やる気の出る仕かけを組みこんでいます。

 

 

過去の記事↓

塾も「ネットで学習」利用者増える(2013年11月25日)

◆フィリピン台風から2週間(2013年11月21日)

◆キャロライン・ケネディさん、ようこそ日本へ(2013年11月16日)

 

2013年11月25日付

実際の紙面ではすべての漢字に読みがながついています。

pageTOPへ