こどもアサヒ

ちょっと体が重いかな
動物たちのメタボ、運動不足対策

 お父さんやお母さんから、「今度、メタボリックシンドローム(内臓に脂肪がたまる肥満など、略して「メタボ」)を予防するための健康診断を受けなきゃ」なんていう話を聞いたことがありませんか。動物園にいる生き物の中にも、運動量を増やしたり、工夫した食事をとったりしてメタボを防ごうとがんばっている仲間がいますよ。

上野動物園(東京)
ミゼットホースのしのぶ
病気の悪化も防ぐ
左:2007年8月、104.5キロまでやせたしのぶ(上野動物園提供)
右:冬場は厚い毛におおわれ、体重も増えるといいます=東京都台東区の上野動物園で

 大きな体を細い脚で支える馬にとって、太りすぎは命にもかかわる問題です。上野動物園(東京都台東区)にいる馬の仲間、ミゼットホースのしのぶ(メス、19歳)は、2年前から減量に取り組んでいます。2006年4月の体重は117.5キロ。獣医師から100キロをめざすようにといわれています。

 しのぶは冬になると、ひづめの病気「蹄葉炎」になやまされていました。ひづめ内部の血液の流れが悪くなって炎症を起こす病気。激しく痛み、歩くことも大変になります。ひどくなると患部がくさったり、動けなくなって体を横たえ、壊死(組織や細胞が死ぬこと)を引き起こしたりします。体が重くて運動ぎらいなしのぶは、血行が悪く、病気をくり返していたといいます。

 減量方法は、エサの量を減らさないで運動量を増やすこと。飼育係が綱を引いて歩かせたり、走らせたり。体重も毎月はかります。
 07年12月には102.5キロまで減りましたが、4月の体重は115キロ。「冬は毛におおわれ、脂肪をためるなど、季節によって変動があるようです。4月からはエサの種類をカロリーの低い草に変え、ようすを見たい」と担当の橋川真弓さんは話します。


王子動物園(神戸)
ジャイアントパンダのコウコウ
エサを木の上に
左:エサのタケをとるために木によじ登るパンダのコウコウ。運動量が増え、脚もきたえられます
右:飼育の担当者が1日数回、はしごを使って高さ3メートルほどの場所にタケを置きます=どちらも神戸市灘区の王子動物園で

 王子動物園(兵庫県神戸市)では、体重が120キロ以上もあるジャイアントパンダのコウコウ(オス、12歳)が、高さ3メートルほどの木に登っていく姿を見ることができます。木の上の方に置かれたエサのタケを取りにいくのです。

 決まった時間にエサがもらえる動物園のパンダは、野生のパンダと比べると体を動かす時間が短くなります。これまでも、リンゴやニンジンなどを一か所にかためないで、数か所に置くようにしてきました。

 さらに、運動量を増やして脚をきたえられるようにと、2008年1月ごろから主食となるタケを木の上にぶら下げるようにしました。飼育を担当する大山裕二郎さんによると、少しずつですが脚の力が強くなるなど、変化が見られるようになりました。

 大山さんは「体が重くなると、あきらめが早くなったり、動きがにぶくなったりします。そうならないためにも、日ごろから体を動かせる工夫が必要です」。


野毛山動物園(横浜)
ペンギンのテツコ
ダイエットに成功
太っていたころ(写真左、野毛山動物園提供)と減量後のテツコ。おなかの下や首の太さがちがいます=神奈川県横浜市西区の野毛山動物園で

 野毛山動物園(神奈川県横浜市)のフンボルトペンギン、テツコ(メス、11歳)は減量に成功しました。

 2007年秋から、おなかの下がぽっちゃり目立ってきました。標準的な体重は4.5〜5キロですが、テツコは5.35キロ。身長60センチのペンギンとしては太めです。産卵の気配はなく、血液検査で人間の「メタボリック」にあたる数値が出たため、ダイエット作戦が始まりました。

 ほかのペンギンに影響が出るため、エサの量は減らせません。遠い場所にエサを投げたりして体を動かすように工夫した結果、12月末には4.45キロに。今も、ようすを見ながらエサをあたえています。

 「太りすぎもやせすぎもよくないし、病気など影響が出てからではおそい。早く発見し、健康状態を保つことが大切」と飼育係の相浦正弘さんは言います。


天王寺動物園(大阪)
オランウータンのサツキ
野菜中心の食生活へ
左:ホースでできたブランコで遊ぶサツキ。人間なら60歳以上です
右:サツキのエサはハクサイやセロリなど野菜が中心です=どちらも大阪市天王寺区の天王寺動物園で

 野菜中心のエサなどで体重が減ったのは、天王寺動物園(大阪市)にいるオランウータンのサツキ(メス、38歳)です。

 おとずれた人たちがお菓子などをあたえたことから2005年の夏には、標準的な体重よりも10キロほど重い74キロになっていました。このため、バナナやリンゴなど果物のエサの量をできるだけ減らし、ハクサイやトマト、セロリといった野菜を増やしたメニューに変更。

 あわせて、オリの中にじょうぶなホースでブランコをつくるなどして運動させるようにした結果、1年で65キロに減りました。07年の夏にはまた少し増えて70キロぐらいになったため、今も野菜中心の食生活が続きます。

 「サツキが喜ぶと思ってお菓子をやると、病気の原因になってしまいます。お菓子ばかり食べていたらどうなるか、と自分の生活と同じように考えてほしいですね」と獣医師の佐野祐介さん。


朝日小学生新聞 2008年4月30日付

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