CO2 25%減らすには?
環境省が実現に向け「ロードマップ」づくり

 

 鳩山由紀夫首相は去年の9月に国連で、2020年までに1990年に比べて地球温暖化につながる二酸化炭素(CO2)を出す量を25%減らすと国際社会に約束しました。どうすれば達成できるのか、目標を示すロードマップづくりを環境省が進めています。この春にも完成させる予定で、まずはその案が明らかになりました。10年後の日本は、どんな社会になるのでしょうか? ロードマップづくりに専門家として参加している環境エネルギー政策研究所代表の飯田哲也さんに聞きました。

 

作成に参加している専門家
飯田哲也さんに聞きました

 

イラスト・高田ゲンキ

Q(質問) ロードマップ=メモ参照=を見ると、太陽光発電ができる家や電気で走る車をずいぶん増やすんだね。20年まであと10年しかないけど、大丈夫?
A(飯田さんの答え) 10年あれば大きく変化します。携帯電話や液晶テレビはいつの間にか多くの人が持っていますね。太陽光発電やエコカーはこの目標以上に普及するかもしれないのです。

 

鳩山首相「2020年までに」国連で約束
「宿題いっぱい、すぐ始めなくては」

 

 日本は05年の京都議定書で08〜12年の平均で1990年に比べて6%減らす目標をたてたのに、今のところ逆に約9%増えているようだけど……
 今の日本は、宿題をやらずに夏休み最後をむかえた子のような状態です。冬休み(2020年)の宿題も出ているので、すぐに始めなくてはいけません。25%という目標は、世界の科学者らでつくる「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が先進国に求めた最低レベルの目標です。25%どころか、日本は50年には80%減らさなければなりません。

 

一般の家庭では50%減らすのが目標だよ 

 

 一般の家庭ではどのくらい減らすの?
 ロードマップでは、工場などのものづくり部門など、それぞれの減らす目標を出していて、一般の家庭では約50%減らす計画です。みなさんの暮らしでは、エネルギーの姿が大きく変化するでしょう。たとえば電気は、今は大きな発電所が電気をつくっていますが、これからは学校や家庭も太陽光発電などで電気をつくり、余っているところから足りないところに電気を流す(売る)仕組みができそうです。


 日本はどうすればいいの?
 日本はこれまでものづくりを得意としてきましたが、最近はこの分野で必ずしも外国に勝てていません。今後は風力発電の機械をつくる会社など、自然エネルギーに関連する新しい会社が生まれ、近い将来、国の経済の柱に成長することもあるでしょう。またこれまでCO2を多く出してきた自動車産業なども、CO2を出さずに移動できる車をつくるようになればエコ産業に変身できます。


 ロードマップでたてる目標を、実際に進めていくための法律も今、国会で話し合われているみたいだけど、反対意見はないの?

 一部の会社からは売り上げに影響すると反対意見も出ています。でも、太陽光発電の値段が安くなるなど、技術の進歩でこれまでの20年よりも今後の10年の方が急速に変化するとみられ、25%削減は決して無理な数字ではないと思います。北ヨーロッパのスウェーデンは日本よりも国民の一人あたりの国内総生産(GDP)が高いのに一人あたりのCO2の排出量は約半分。CO2排出量を減らしても経済を発展させることができそうだ。過去20年でCO2を22%減らしたドイツなど、すでに成果を上げている国もあるよ。


 わたしたちにできることは?
 みなさんも省エネやエコ活動をしていると思うけど、それをする前になぜその活動が必要か、どうしたら解決できるかを考えてみてください。

 

 

中長期ロードマップ案の主な内容
◆日々の暮らし・住宅
  最大で4世帯に1世帯の住宅(約1300万世帯)に太陽光発電が取り付けられ、新築の家はすべて冬に暖かく夏にすずしい断熱性にすぐれた家に。
◆日々の暮らし・自動車
  売られる車の50%は電気と燃料を両方使って走るハイブリッド自動車に、7%は走行中は全く排ガスを出さない電気自動車(EV)になります。
◆地域づくり
  サイクリングロードが広がり、安心して自転車に乗れるようになり、仕事や学校に行くのに自転車を使う人も増えます。
  日常生活で移動する距離を少なくします。
◆エネルギー
  太陽光や風力、地熱などの再生可能なエネルギーが大幅に取り入れられます。
  IT技術を使って電気を効率よく届ける仕組み作りをします。


朝日小学生新聞 2010年3月11日付

ページの先頭へ