こどもアサヒ

「総合学習」は週2時間に


 2002年度から小学3年生以上で始まった「総合的な学習の時間」(総合学習)。新しい学習指導要領のもと09年度から、授業時数がいまの週3時間ほどから週2時間に減ります。授業はどのように変わるのか、文部科学省の教科調査官、田村学さんに聞きました。「身の回りのできごとの中から、不思議や疑問を調べるという学習のねらいは変わりません」と、言います。

イラスト・林美香誇

「体験」を「学習」に発展させよう

学ぶねらいは変わらないよ

 総合学習は、教科書がなく、学ぶ内容は国際理解、情報、環境、福祉・健康などのテーマで、学校ごとに決めています。地域の特色や環境を生かし、子ども自身が学びたいことを生かすためです。

 しかしそのために、学校や指導する先生によって授業の質に差が出てしまいました。「ただ体験するだけで、学習に発展させていない」という批判の声もありました。例えば近くの川に行って体験学習する場合、行く前に何が課題かをはっきりさせ、川で情報を集め、帰ってきてから感じたことや情報を出し合って表現する、という流れを行ってこそ学習になるのです。

 05年に発表された文科省の調査では、総合学習を「とても好き」「まあ好き」と答えた小学生が6割でしたが、先生からの評価は高くなく、特に中学校の先生では6割近くが総合学習を「なくした方がよい」と答えています。

 そこで今回の改訂では、先生向けの解説書を、さらにくわしくしました。これまで約20ページでしたが、いま作成中のものは数倍になりました。学ぶ内容の例を増やし、学習の流れも、はっきりと示しています。また、外国語活動の時間が5、6年生にできるため、総合学習で国際理解を学ぶ場合は、英会話などではなく、「外国の生活や文化を体験したり調査したりする」とはっきりと内容を区別しています。評価は、点数ではなく、文章で表現するというこれまでのやり方に大きな変化はありません。

 授業時数はほかの教科を増やすため減りますが、総合学習でめざす力は、吸収した知識を組み立て直して表現し、さらにちがう意見の人とも話し合う力。これは国際的に求められている能力です。さらに環境問題、福祉の問題など、いまの子どもたちに欠かせない内容も多い。これからますます必要になっていく教科だと思います。

町の人に話を聞く大岡小の去年の6年生(左)。社会科や理科ともつながる総合学習です=大岡小提供

他教科と組み合わせる
夏休み使ってやりくり

学校もさまざまな工夫

 神奈川県横浜市の大岡小は、総合学習のことを「大岡」と呼び、クラスごとに独自のテーマをもうけて学んでいます。子どもたちの特徴や興味・関心に合わせるためです。「そうすると子どもたちが自分のこととして、本気になる。それが、体験を学習につなげるために必要なんです」と、菅谷泰尚先生。

 菅谷先生が受け持った去年の6年3組のテーマは「大岡のまち!?探偵団」。地域を歩き人々と話して、祭りや地形、商店街について疑問を探り、「まち自慢」をカルタにしました。

 学習に使う時間は「大岡」だけではありません。地元の神社調べでは鎌倉時代を学ぶので社会科、地形は理科、とほかの教科の時間も組み合わせています。

 「教科書にないことを学べ、地域に愛着を持てる総合学習を、子どもたちは楽しみにしています」と菅谷先生。授業時間が減っても「ほかの教科と組み合わせることで、これまでのように学べると思います」と話します。

 地域を学ぶ「まち学習」に1997年から全学年で取り組んできたのは、愛知県西尾市の西尾小。校区はかつての城下町で、校舎も城跡に立っています。町の歴史を知り、町をよりよくするアイデアづくりのために、1年生から学習を積み重ね、6年生で提案をまとめる流れです。

 授業時数が減っても、先輩たちのこれまでの成果を生かし、夏休みも利用するなどやりくりして、まち学習を続けていく予定です。


朝日小学生新聞 2008年5月6日付


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