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宇宙から地球へ 紙飛行機にのせる夢
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日本折り紙ヒコーキ協会会長の戸田拓夫さん
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「国際宇宙ステーション(ISS)から地球へ紙飛行機を飛ばそう」。そんな計画があるのを知っていますか? とても難しそうですが、科学的な実験も重ねながら、だんだん実現の日が近づいています。計画にかかわる人たちに話を聞きました。
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| 戸田さんが考えたスペースシャトルの形をした紙飛行機。JAXAと協力して宇宙から飛ばそうと計画しています〓広島県福山市の紙ヒコーキ博物館で |
国際宇宙ステーションから飛ばす計画
「多くの人たちに勇気を」
東大やJAXAが協力し実現へ
広島県福山市にある紙ヒコーキ博物館。「宇宙から飛ばそうと考えているものを飛ばしてみます」と言いながら、日本折り紙ヒコーキ協会会長の戸田拓夫さん(51歳)がスペースシャトルの形をした紙飛行機を投げると、ゆっくりとまっすぐに飛びました。
紙飛行機の室内滞空時間21.75秒の世界記録を持つ戸田さん。これまでに約600種類の紙飛行機を考え、5万機以上を折りました。早稲田大学理工学部の学生だった約30年前、体調をくずし家で寝ているときに折ったのが始まり。宇宙から飛ばす夢を持ち始めたのもそのころです。
「燃えるに決まっている」「そんなことできない」などと言われましたが、今年1月に東京大学柏キャンパスで「大気圏突入」を想定した実験に成功。3月下旬に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が宇宙紙飛行機の計画に協力することも決まりました。
戸田さんは宇宙紙飛行機に、自分の夢だけでなく、「1枚の紙を折った紙飛行機がふわふわと飛び、地球に到着する姿を見て、多くの人に勇気を持ってもらいたい」という思いものせるといいます。
「宇宙から紙飛行機20機を飛ばして無事到着しても、人がいる地域に着陸する可能性があるのは一機だけ」と戸田さん。今後、拾ってくれた人に読んでもらうためのメッセージを子どもたちから募集したいと考えています。
宇宙紙飛行機の折り方は、戸田さんの著書「飛べとべ、紙ヒコーキ」(二見書房)などにのっています。初心者には難しいので、まずはかんたんな紙飛行機から折ってみてほしいといいます。折り方や博物館などについては同協会のウェブサイト(www.oriplane.com/)を見てください。
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| マッハ7での飛行状態を再現した実験施設と鈴木教授〓千葉県柏市の東京大学柏キャンパスで |
「大気圏突入」の実験は成功
一週間ぐらいで到着の計算
戸田さんとともに計画を進めている、東京大学大学院(航空宇宙工学)の鈴木真二教授に聞きました。
戸田さんから「紙飛行機を宇宙から飛ばして地球に帰したい」という夢を聞いたのは9年前。科学的に検討してきました。理屈では「帰ってくる」といえますが、飛行中に紙飛行機が燃えないようにするのが一番の課題です。
宇宙ステーションのある高度400キロあたりはほぼ真空状態で、紙飛行機が飛んでいても空気の抵抗を大きく受けません。ところが、高度100キロあたりまで下がると、一気に空気が濃くなります。このあたりを紙飛行機が飛ぶ速さはマッハ七(音の速さの7倍)と予想され、空気の抵抗を受けて機体は200度ほどの高温になると考えられます。
課題に希望が見え始めたのは2007年のこと。三つのできごとが決め手となりました。@03年にアメリカのスペースシャトル「コロンビア」が高度63キロで空中分解したとき、書類などの紙が地上で見つかった、と聞いたことA特殊な液体を紙にぬる、高熱にたえられる加工法が見つかったことB今年1月の実験でマッハ七の気流にあて、紙飛行機が200度の熱にたえられたこと。
紙飛行機の折り方も考えていて、軽くて表面積の大きい形をめざしています。今のところ、実験で使ったのと同じサトウキビのカスでつくった紙で、20〜30センチの紙飛行機にする予定。ISSから宇宙飛行士が手で紙飛行機を投げると、重力と遠心力がつりあって地球の周りをぐるぐる回ります。初めマッハ20で進み、少しずつ減速します。真空とはいえ、わずかにある空気の抵抗を受けるのです。そこで、高度100キロ以上のところで十分に減速できるよう設計します。
早ければ今年の12月には実現するかもしれません。1週間ぐらいで地球に着く計算です。子どもたちに「夢を持って調べれば不可能と思われていたことも可能になるかもしれない」ということを伝えたいと思って取り組んでいます。
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