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| 「アジサイにはさまざまな不思議がかくされている」という藤井清さん=どれも兵庫県神戸市の市立森林植物園で |
梅雨の時期、通学路や野山などで青や紫、ピンク色などにさきほこるアジサイを見かけて、ホッとすることもあるでしょう。育つ環境によって、花の色がちがうなど、アジサイにはさまざまな不思議がかくされています。
自然環境の影響受けやすい
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| テマリエゾアジサイ。雪の重みにもたえられるように、枝はしなやかです |
日本列島に広く分布し、古くから親しまれてきたアジサイ。万葉集(現存する最古の歌集)にも登場する植物です。日本アジサイ協会の副会長で兵庫県神戸市立森林植物園(北区)でボランティア活動をする藤井清さん(80歳)によると、日本で自生するアジサイ科の植物は約20。大きくは、静岡・伊豆や千葉・房総半島の海岸沿いに生息する「ガクアジサイ」、関東よりも西の山の中に生える「ヤマアジサイ」、北陸から東北、北海道南部などの雪が積もる地帯に自生する「エゾアジサイ」の三種に分けられるそうです。
エゾアジサイは積もった雪にもたえられるように、枝がしなやか。ガクアジサイは強い日ざしから水分の蒸発を防ぎ、潮風から身を守るために葉が厚いのが特徴。広い範囲で自生するヤマアジサイは土地の条件にあった変異種を生み出しやすくなっています。「それぞれの自然環境に適した特徴が見られます」と藤井さん。
江戸から明治にかけて、日本や中国のアジサイがヨーロッパにもわたり、改良されて日本にもどってきた「西洋アジサイ」は各地に植えられました。
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| ヤマアジサイの一種のクレナイ。深みのある赤色になります |
水、肥料も関係
土が酸性→青
アルカリ性→赤
花びらのように見えるのは実は「がく」。「がく」が大きくなって青やピンクの色をつけるため「花」のように見えます。
さき始めのころは、葉緑素があるためうすい黄緑色をしています=写真(1)。大きくなるにつれて、葉緑素がぬけてうすくなり=写真(2)、逆に青やピンク、紫といった色がこくなります=写真(3)。
このとき、土の中にふくまれる金属元素の「アルミニウム」が色を決める要素のひとつとなります。「がく」にふくまれる色素はもともと赤ですが、アルミニウムイオンと結びつくと青くなります。
根から吸収するアルミニウムイオンのこさによって色が変わるため、アルミニウムが多く含まれる酸性の土では青い花が、アルカリ性の土では、赤い花がさくとされています。 しかしそれだけではなく藤井さんは「鉄分を多く含む井戸水を使ったり、リン酸が多く含まれた肥料をつかったりすると赤くなるなど、水や肥料などの条件もからんでいます。色には不思議がかくされている」。
アジサイの色を調べる名古屋大学准教授の吉田久美先生らのグループは、同じアジサイのがくの中に、赤・紫・青色の細胞があり、不規則にまざっていることを発見。細胞の中の成分を調べると、青い細胞は赤い細胞に比べてアルミニウムが多くふくまれていました。同じ遺伝子を持ち、同じ環境にあるはずの細胞で、違いがはっきりと出るのはめずらしいそうです。
吉田先生は「アジサイが育っていく中で、どのような条件で色が決まってくるのか、探っていきたい」と話しています。
「育てて観察を」
自分で育てることを、藤井さんはすすめます。「土や肥料などをかえることによって、花の色にどのような変化が出てくるのかを調べるのもいいでしょう」
自然環境の変化がアジサイにあたえる影響を、藤井さんは心配しています。中国からの黄砂が含まれた雨が降ることで、あざやかな色が出なくなることもあるそうです。「アジサイは周りの環境に左右されやすい植物。通学路、山の中にさくアジサイのがくの色などを毎年観察することで、地域の自然の変化を知るきっかけにもなる」
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