中学生の力を被災地へ
希望、元気届けたい

 

「少しでも助けになれば」と被災地を支援するライブを開いた井上苑子さん〓大阪市の心斎橋クラブクアトロで

東日本大震災から1カ月

 

 全国一斉に知事や市町村長、地方議会議員を選ぶ統一地方選挙が4月に行われます。特に注目されているのが、首都東京の知事選(4月10日投開票)。3月24日の告示まで1カ月を切り、誰が出馬するのか話題になっています。
そもそも都知事の仕事とはどんなものか、他の知事とどう違うのか。元東京都副知事で明治大学大学院教授の青山やすし先生に聞きました。

 

シンガー・ソングライター 井上苑子さん(大阪府・中2)

まるで一国の長

 

 大阪府の中学2年で、シンガー・ソングライターの井上苑子さんは3月31日、大阪市の心斎橋クラブクアトロで被災地を応援するワンマンライブを開きました。「歌うことで希望を届けたかった」と井上さん。設置した募金箱に集まったお金と当日販売したCDの売り上げの計約9万円をすべて被災地に送ります。
 神戸市の出身。6434人が犠牲になった1995年の阪神淡路大震災で大きな被害を受けた地域です。


 生まれる前の出来事でしたが、学校で震災について学んだり被災地で治療をした医師の父親から話を聞いたりして、大地震の恐ろしさを知りました。「毎日を大切に生きないといけない」と痛感し、その思いを込めて作った曲を阪神淡路大震災のチャリティーイベントなどでも歌ってきました。


 ボイストレーナーの母親の影響を受け、小学5年の時に音楽活動を始めました。ギターを片手に大阪市内の路上やライブハウスで歌い、去年11月に大阪の有名なライブハウス、心斎橋クラブクアトロでの過去最年少のライブが決定しました。緊張した日々を過ごす中、東日本大震災が起こりました。


 「言葉を失うほどの恐ろしい地震で、多くの人が傷つきました。いまライブをしていいのだろうか」。中止も考えましたが、小学6年まで神戸で育った井上さんには被災地を応援したいという強い気持ちがあり、「歌うことしかできないけど、少しでも手助けになるのなら」と、震災を支援するライブとして開くことを決めました。


 ライブでは19曲を披露。約300人のお客さんに被災地への応援も訴えました。会場では被災地に届ける震災への思いをつづる紙製の花びら形のカードが配られました。


 井上さんは「中学生でも自分にできることをすれば力になれると思います。早く被災地のみなさんが笑顔になってほしいです」と話しています。

 

自宅でドラムをたたく大我。「被災地に元気を届けたい」という思いを強くしています〓京都市で

プロジャズドラマー大我(京都市・中1)

ドラムで励ます義援金集めを計画

 

 

 プロジャズドラマーの大我(鬼束大我君=京都市・中1)は、4月15日に兵庫県芦屋市、16日に京都市で義援金を集めるチャリティーライブを計画しています。「本当ならすぐに飛んで行って、ボランティアとか、音楽を通して元気を取り戻してもらう活動をしたい。でもまずは今、必要な物を買うためのお金が必要ではないか」と考えたからです。


 今回の震災のニュースを特別な思いで見続けています。被災地の一つ、宮城県仙台市は、メジャーCDデビューした2008年に、PR活動のために訪れていました。「お世話になった人の中には、いまだに連絡が取れない方もいます。今は被災されたみなさんの無事を祈るばかりです」


 5歳からジャズドラムを習い始め、6歳でプロデビュー。08年5月にギネスブックに「世界最年少プロドラマー」として認定されました。「世界中にいる貧しくつらい思いをしている人たちに、自分の音楽を聴いて少しでも元気になってもらいたい」という思いで活動を続けてきました。
05年8月に大型ハリケーン・カトリーナの被害を受けた、ジャズ発祥の地として名高い米南部ルイジアナ州のニューオーリンズを小学4年生だった08年7月に訪問。地元のFM局に出演して被災者を励ますメッセージを送りました。元気を取り戻すきっかけの一つが音楽で、日ごろから募金活動が広く行われ、互いに助け合うことの大切さを肌で感じてきました。


 「大好きな日本に元気が戻るように、という思いが被災地に届くようなライブにしたい」と意気込んでいます。

 

 


朝日中学生ウイークリー4月10
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