こどもアサヒ

総理大臣ってどうすればなれるの?
麻生太郎氏が新総理

 

 総理大臣に自民党の麻生太郎さんが就任しましたね。ところで、総理にはいったいどうすればなれるのでしょう? 求められる資質や能力は何でしょうか? 朝日新聞論説委員・国分高史さんに教えてもらいました。いま、中学生は総理になりたいと思っているのでしょうか? 朝中読者に「総理になりたいか、なりたくないか」とその理由を聞きました。

 

朝日新聞論説委員
国分高史さんに聞きました
 こくぶ・たかし 1964年生まれ。89年、朝日新聞社入社。10年以上にわたり政治部記者として首相官邸、自民党、外務省などを取材。2007年から論説委員。

 

イラスト・たなかさゆり

国会で多数決 衆院の優越も
今は派閥の力より国民的人気が必要
激務に耐える体力と指導力の持ち主

 ――どうすれば総理になれるの?

 「国会議員の中から国会の議決で指名する」と日本国憲法六七条にあるので、国会議員になるのが第一条件。指名は多数決で決めますから、国会を占める多数派の代表者である必要があります。衆院、参院で違う人が選ばれた場合、両院で協議しても一致しなければ、衆院の人がなる「衆院の優越」があります。

 ――どんな経験を積んで総理になるものなの?

 1993年を境に政治の質がやや変わりました。
 55〜93年は自民党が基本的に単独で政権をとってきたので、自民党の総裁になることが総理になることでした。当選を重ねて大臣や党幹部を経験する一方で、党内の派閥(グループ)で力をつけることが重要です。若い議員の選挙資金の面倒を見たりして、自分のグループを大きくしていくわけです。その仲間が総裁選で自分を支持してくれます。総理を目指し30年くらいキャリアを積んだのち、総理になりました。

 ――93年以降は?

 非自民の政権が二代続き、細川護ヒロさん(自民、共産以外の八党派の連立政権)のように、総理になろうと長年訓練してきたタイプと違う人がなりました。
 九四年以降は基本的に自民党が他党と連立して政権を担っていますが、96年からは昔ながらのタイプの総理がいったん復活しました。その状況が大きく変わったのが小泉純一郎さんの時です。地方の自民党員の支持を背景に、昔ながらの派閥の力関係とは違った形で自民党総裁になりました。議員が選挙で戦うとき、誰が党首なら自分にとって有利か、選挙の「顔」になるだけの国民的人気があるかという点から、党首が選ばれるようになってきています。

 

 ――総理にはどんな資質が必要?

 まずリーダーシップがないとダメ。党内はもちろん、国をまとめあげて外国と交渉するわけですから。また、人間的な強さも必要です。総理は結構、孤独。最終的な決断を下すのは自分一人です。そのほか人を引きつける魅力も不可欠です。
 総理は激務。新聞の「首相動静」(誰に会ったかなど一日の行動を分単位で記したもの)を見ればわかるように、とにかく人に会って話を聞いたり指示を与えたりしています。災害があれば、24時間気が抜けません。体力は絶対条件です。
 今後、強く求められるのが、日本の国をどうしていくのかという「構想力」。将来像を示し、反対する人を説得する力が必要ですね。

 

 ――総理や政治家を身近で見てきた感想は?

 総理は良くも悪くも個性的で我が強い。政治家はやはり「すごい人」だと感じます。小選挙区で当選した人は地元の何万人もの人に自分の名前を書いてもらったわけで、人間的魅力がないと投票してもらえません。とかく政治家は悪くいわれがちですが、そういう目だけで見るのは誤りです。
 政治家は大抵「健啖家(ものすごくよく食べる人)」。食べることが体力につながります。人の名前もすぐ覚える。次に会ったとき「いやぁ○○さん」と声をかけられたら、誰だってうれしいでしょうし、それが人の心をつかむ第一歩です。

 ――中学生が総理を目指すとしたらどうすべき?

 リーダーシップを磨くべきですね。部活や学級活動で、みんなをまとめていく力を養うといい。物事をよく考え、他人のことを思いやれることも大事です。
 政治は生活している全員にかかわる大事な仕事。人生をかけるに足る仕事です。一方で政治は政治家だけがやるものではありません。政治家にならなくとも、有権者全員が一票を使って参加するものなのです。

総理のバックグラウンドは?
 国会議員になる前の仕事は、官僚、民間会社の社長や社員、議員秘書、県議会議員などさまざま。ここ10年あまりは、親や祖父などの後をついだ「世襲議員」が総理になる例が目立ってきています。最近では安倍晋三さんは祖父が、福田康夫さんは父が、麻生さんは祖父が総理経験者。世襲議員は地域の後援組織を引き継いだり知名度があったりして選挙に有利ですが、「世の中を広く知らない」「ひよわだ」と批判されます。

どこの出身が多い?
 現憲法下での歴代総理の出身地(選挙区)は、群馬県が4人、山口県が3人、神奈川県と広島県が2人の順。世襲議員は選挙区は地方でも、生まれ育ったのは東京というケースが増えています。     (参考・首相官邸のウェブサイト)
 


朝日中学生ウイークリー9月28
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