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朝日中高生新聞
  • 日曜日発行/20~24ページ
  • 月ぎめ967(税込み)

1面の記事

朝中特派員
ISS船長を務めた若田さんにリーダーの心得を聞きました

2014年8月23日付

目配り・先回り・リラックス♪

 新学期がスタートしました。文化祭や体育祭など、チームで協力する場面が増える時期です。そこで、アジア出身者として初めて国際宇宙ステーション(ISS)の船長を務めた若田光一さん(51)に朝中特派員の古川紗也さん(東京・1年)が、リーダーとしての心得を聞きました。

アメリカ、ロシア、ラトビアと出身が異なるクルーを約2カ月間、船長としてまとめました
JAXA/NASA

サバのみそ煮で話も弾む

船長として仲間のために行動したことはありますか。
ISSでは朝から晩まで実験や機器の修理に追われます。地球から食料などを運ぶ貨物船の到着が遅れるといった予期せぬ出来事が起きると、さらに忙しくなります。寝不足で疲れがたまるとミスが増えます。地上でも同じですよね。そんな時にみんなが無理なく安全に仕事ができるよう、作業のペースを調節しました。そうした目配りも船長の役目です。
狭い空間で、もめごとが起きた時はどう対処しましたか。
もめごとが起きてから対処するより、起きないようにしました。
 宇宙飛行士はみんな、やる気のある人ばかりなので、まずどのように仕事を進めていきたいかに関する意見や、宇宙飛行で実現したい目標などを全員から聞きました。そして、その希望の実現に協力することで、互いに信頼関係を築けました。
 意思疎通を図る相手はISS内だけではありません。実験を安全に進めるためには、日本やアメリカ、ロシア、ドイツにある地上管制局と円滑なコミュニケーションをとるのも欠かせないです。
宇宙という特殊な環境で、リーダーとして心がけたことは。
実験棟で朝から指示された作業を始めると、昼食までクルーの仲間と話す時間がなくなることもあります。そうした環境だからこそ、一緒に過ごせる時間がいっそう大切になります。学校の活動など、グループで一つの目標に向かう場合に共通することではないでしょうか。
 私が特に大切にしたのは食事のとり方。みんなで一緒に食べることで、仕事から離れ、リラックスして話せる時間が確保できるよう努めました。
日本人の船長だからうまくいったことは。
日本人だからというわけではないですが、「宇宙日本食」は人気でしたね。サバのみそ煮やカレーライス、ラーメンなどを仲間に振る舞うと、みんな喜んで食べてくれ、クルーで集まって食事をする時にも話が弾みました。地球から持ち込んで良かったです。

【古川さんの感想】
若田さんがISSの船長という大役を成し遂げられたのは、「チームワーク」と「思いやりの心」を大切にしたからだと感じました。周りをよく見て行動することは、宇宙空間だけでなく地球上でも大切。私も普段から気配りができる人になりたいです。外国の人と生活するのは大変だと思いますが、若田さんのように常に仲間のことを気にかけることができれば、楽しく過ごせそうです。


宇宙滞在4回348日 無重量で筋肉は?

 若田さんは埼玉県出身。5歳の時に米国のアポロ11号による人類初の月面着陸をテレビで見て、宇宙に憧れました。飛行機の技術者を目指し、九州大学工学部で学び、1989年に日本航空に入社。92年に宇宙飛行士の候補に選ばれました。
米国のスペースシャトル初搭乗(96年)に始まり、宇宙滞在は計4回。滞在期間は合計348日と、日本人宇宙飛行士の中で最長です。
昨年11月〜今年5月に及ぶ長期滞在では、ISSの施設の運用や修理を担ったほか、植物の生育や薬の開発につながる実験などを担当。無重量空間での筋肉の変化を確かめるなど、17の医学実験にも参加しました。

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