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行政、進展か混乱か―2市でリコール手続き開始
「市長、議会変えたい」 住民 声あげる リコール(recall)──。今週、鹿児島県阿久根市と名古屋市の2つの自治体でリコール手続きが始まった。リコールには、@製品に欠陥がある時、生産者が公表して製品を回収・修理するA住民が自ら選んだ地方自治体の首長や議員を、その任期内でも不適当であるとして、解職する表決を行う―の2つの意味がある。 @の場合、特に自動車では、生産者が国土交通省に届け出て消費者に製品の回収を伝えることが義務づけられている。トヨタ自動車が去年から今年にかけて、ブレーキペダルの構造問題などを理由に、米国などで大規模なリコールに踏み切ったのは記憶に新しい。 一方、今回の2つの市の場合は、「国民解職」「解職請求」などと呼ばれるAに当たる。住民が直接、政治に参加する権利を保障する仕組みで、第2次世界大戦後、日本の国づくりのために米国から導入された民主主義のルールの一つだ。 阿久根市では、竹原信一市長(51)がリコールを突きつけられた。市長は2008年9月に初当選したが、09年4月に議会の不信任決議を受けて失職。出直し市長選で再選された。 しかし、再選後も議会を開かず、独断で副市長を決めるなどしたため、議会が猛反発。反市長派住民らが中心になって、リコール手続きを始めた。 1カ月以内に有権者の3分の1の署名が集まれば、解職を問う住民投票を実施。そこで過半数が賛成なら、市長は再び失職し、出直し選挙が行われる。 名古屋市では、河村たかし市長(61)が、対立する市議会の解散を求めてリコール手続きを開始。市民税10%減税などの自らの公約に反対する議会を解散し、出直し選挙で市長支持の議員を増やし、公約を実現させるのが狙いだ。 1カ月以内に有権者の5分の1(有権者が40万人を超える場合)の署名が集まれば、解散の是非を問う住民投票を実施。そこで過半数が賛成なら、議会は解散し、改めて市議選が行われる。 総務省によると、03年度〜06年度に全国の自治体でリコールが行われたのは161件。うち、住民投票をしたのは54件、過半数を得て成立したのが42件。 リコールの理由として、当時は市町村合併が進んだため、住民の意思が行政に反映されていないという内容が多かったという。また、一時はスキー場などのリゾート開発や公害による環境破壊に反対する住民運動がリコールにつながる場合が多かった。 今回の2市でのリコールは、市長と住民、議会の3者によるドタバタ劇と見る向きもある。リコールで行政が発展するのか混乱するのか。その結果をすべて受けるのも、また住民なのだ。
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