先生方へ 授業での活用方法

「新聞作りは学級づくり」

指導40年、鈴木伸男さん

新聞作りを通して、子どもたちに計画力や想像力を身につけ、友だちもたくさんつくってほしい――。そんな思いで、全国新聞教育研究協議会元会長の鈴木伸男さんは、中学校の先生をしていた約40年間、生徒に新聞作りを指導してきました。子どもたちにはどう取り組んでもらいたいのか、話を聞きました。

企画から協力し合い形に

 小学校の学習指導要領(学校で教える内容を定めたもの)が2011年度から新しくなり、教科書に新聞の活用がもりこまれました。ただし、このことで新聞作りが「勉強」になり、子どもにとっていやなものになることを心配しています。新聞作りを楽しんでもらいたいですからね。
 わたしが新聞作りを指導するようになったのも、子どもたちが生き生きと取り組む姿を見たからなんです。1972年4月、最初に赴任した東京都葛飾区の中学校でのことでした。
 1年生の副担任をすることになったのですが、そのときの担任の先生が、新聞作りを取り入れていました。新聞は、きれいに割り付けて(記事や写真を紙面に配置すること)、形になったときの喜びが大きいんでしょうね。ほかのクラスの生徒が「自分たちも作りたい」と言ってくるほど、反響が大きかったんです。そんな姿を見て、自分でもやってみたいと思いました。
 ただ新聞作りについては、まったくの素人でした。わたしは去年『学習新聞のつくり方事典』(PHP研究所)という本を出しましたが、当時はこういった本がないので先輩の先生を見よう見まねで始めました。

このほど出版された『学習新聞のつくり方事典』=東京都町田市で

このほど出版された『学習新聞のつくり方事典』=東京都町田市で

 新聞は「自由に作りなさい」と子どもたちに言っても、難しいと思いますね。先生たちには、新聞にはどんなことを書いたらいいのかや、割り付けの基本を教えてもらいたいです。
新聞作りの流れは、①企画(どんな記事を載せるか考える)②割り付け③取材④記事を書く⑤整理(割り付けに合わせて原稿を直したり、見出しをつけたりすること)⑥清書⑦校正(まちがいがないか確かめる)⑧印刷・発行です。

 いい新聞にするためには、やはり企画に時間をかけることでしょう。実際に載せられる記事が五個ぐらいだとしたら、案を10個は出してください。そこからみんなで話し合い、しぼっていく。どんな記事をだれが書いたらいいのか、というふうに決めましょう。新聞作りはみんなで協力することが大切ですから、全員が何かしらを担当するように割り振ってください。
 記事を書く前に取材をする必要があります。いろいろなところに行くことができるので、楽しいと思いますよ。子どもの新聞作りに喜んで協力する大人は多いですから、取材する場所や人をどんどん探してください。記事は、読むのはだれなのかを想像しながらだと、書きやすいと思います。

 そうやってできた新聞は、刷り上がったらそれで終わりではありません。みんなで見て、いいところはほめ合い、気づいたところは意見し合う。そうすると次はもっといい新聞になります。
 ぜひ新聞を定期的に作ってもらいたいです。新聞作りは学級づくりでもあります。みんなで協力し合うことでクラスがまとまり、友だちが増えると思いますよ。

2012年2月28日付
実際の紙面ではすべての漢字に読みがながついています。


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