ジャーナリストの池上彰さんに、新聞の良さや読み方を教わりました
〜 2009年10月14日付朝日小学生新聞の1面記事より 〜
子どものときから読むとどうしていいんですか?
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新聞読むと考える力がつく
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新聞週間
15日から21日まで
池上彰さんに 朝小リポーターが聞く
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朝小の記事を使って新聞について説明する池上彰さん=東京・青山のNHK文化センターで渡辺英明写す
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15日から21日まで「新聞週間」です。「新聞を読むとたくさんいいことがある」と本に書いているジャーナリストの池上彰さんに、朝小リポーターの吉沢さん(埼玉県・6年)が新聞の良さや読み方などを教えてもらいました。学力を向上させるのに必要な文章を読んで理解する「読解力」はもちろん、大人になって役立つ「考える力」が身につくといいます。
分からない内容を自分で考えるようになる
大人になって役立つよ
吉沢さん
子どものときから新聞を読むと、どうしていいのですか?
池上さん
たくさんお得なことがあるんだけどね。
文章を読んで何を言いたいのか、何を聞いているのかが分かるようになる。こうした読解力のほかに、自分で考える力がつきます。新聞を読むと、きっと頭の中に「?マーク」がいっぱい出てくると思うんです。「何それ」「これ、分かんない」とか、自分が分からないことに気づくことが大切なの。それで「なんでこうなるのかな?」と思うことで、気づかないうちに自分の頭で考えています。 テレビだと、「あれ?」と疑問を感じている瞬間に次の映像に移ってしまい、疑問も忘れてしまうよね。だから新聞は、じっくり考える力をつけるのにいい材料なんです。
また、世の中に関心を持つようになって、社会ではどんなことが問題になっているかが分かるようになる。問題を解決するには、どうしたらいいのかなと考えていくと、将来の生き方を決めるときにとても参考になります。
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イラスト・たなかさゆり
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吉沢さん
朝、読めないことがあるのですが、時間がないときはどうしたらいいですか?
池上さん
新聞が届くと、全部読まなくちゃと思うでしょ。でも、全部読もうとしなくていいの。朝小はがんばれば全部読めるかもしれないけど、大人だってだれも新聞を全部読んではいないよ。ぼくも忙しいときは、朝、パッと新聞をめくって、見出しや写真でおもしろそうな記事はないか目を通しておくだけ。それで夜、寝る前におもしろそうな記事を読んで、おもしろければ、その記事があるページをビリビリと切ってとっておくの。
新聞のいいところは、このパッとめくって内容が分かるところ。インターネットだと一つ一つ記事をクリックしていかないといけないよね。それに、新聞は究極の「モバイルメディア」だと思うんだ。モバイルというのは持ち運びできるという意味。折りたたんで持っていけば、ちょっと空いたすき間の時間に読めるでしょ。
吉沢さん
大人の新聞にも挑戦するには?
池上さん
難しいと思うところは読む必要ないんです。読まなくちゃという義務感でやると楽しくないでしょ。パッとめくって、おもしろそうだなと思った記事をちょっと読んでみる。一つおもしろい記事が見つかると、そのニュースはどうなったかなと気になって、新しい記事を読むようになります。
吉沢さん
新聞を切り抜くスクラップは、どうやったらいいの?
池上さん
読んでとっておきたいなと思った記事を切ればいい。気になる記事のあるページを切ってとっておいて、一か月後に改めて読んで大事だなと思う記事だけをスクラップしていきます。スクラップは、将来の進路を考えるときにも役立ちます。自分が集めたスクラップ記事を見ていくと、自分が何に興味や関心があるのか分かります。興味があることの中から、きっと自分のやりたいことが見つかるはずですよ。
【池上彰さんプロフィル】
1950年、長野県生まれ。慶応大学卒業後、NHKに入局。94年4月から11年間務めた「週刊こどもニュース」のお父さん役で人気に。2005年3月にNHKを退社し、いまはフリーのジャーナリストとして活躍。新聞の良さや読むときの工夫などを解説した『小学生から「新聞」を読む子は大きく伸びる!』(すばる舎)をこのほど出版した。
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【吉沢さんの感想】
1面の記事から全部読まなきゃと思っていたのですが、全体に目を通して好きな記事をたくさん読んでいけばいいんだなと分かって少し安心しました。大人の新聞も読んでみたいし、スクラップもやってみたくなりました。気軽に新聞を読んで、自然に知識を深めていきたいです。
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