朝日小学生新聞
2006年9月8日
保護者の方へ 購読の申込み 今日は何の日? 朝日小学生新聞トップ
   こどもアサヒ TOPページ > 朝日小学生新聞 > 科学コラム「おや子で科学」
  算数を勉強しよう

「何でも計算」で患者の命も救えた

プリンストン大学の経済学者が作った「平均気温や雨量データを使ったワインのできの予測式」は、「よく当たる」と専門家をくやしがらせているという
 世界最大のインターネット書店のアマゾン・コムで本を買うと、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という「おすすめ」が画面に現れます。

 たとえば、わたしが、ダーウィンの『ミミズと土』を買ったときは、『ダーウィンのミミズの研究』『ミミズで生ごみリサイクル』など5冊の本が紹介されました。わたしの知らなかった本ばかりで、参考になりました。

 こうした「おすすめ機能」は、膨大な「お客さま情報」を回帰分析という手法で計算することによって行われています。コンピューターの発達で、膨大な量の計算をすばやく、安くできるようになったからこそできるサービスです。

 アメリカ・エール大法学部のイアン・エアーズ教授は『その数学が戦略を決める』の中で、アメリカでは、このように情報を何でも計算してしまう「絶対計算屋」が社会を動かす時代になっているといいます。
 ワインのできは? どんな教育法が効果的か? 公共工事に不正はないか?

 絶対計算屋の活躍場所は、商取引から犯罪捜査にまでおよんでいるようです。
 小児科医・D・バーウイックさんは、多くの統計を計算処理し、「重症患者が集中治療で死ぬのは感染によることが多い」ということを見つけました。そして、医師の手洗いなど、診療のやり方の見直しを提案、現場の医師たちの抵抗をおしのけ、基本動作を徹底させる運動をアメリカ中で展開しました。
 その結果、2004年から18か月で、なんと「推定12万人が死なずにすんだ」という成果をあげました。この運動は日本の医学会も注目しています。

 「算数は苦手」「何の役にたつのかわからない」という人がよくいます。でも、社会を動かすには計算によるしっかりした根拠が必要な時代になっているのです。その基礎がいまの算数。しっかり勉強しておきたいですね

朝日学生新聞社副社長・内山 幸男
朝日小学生新聞 2008年4月27日付
おや子で科学 バックナンバー
 
強力連載隊
落第忍者乱太郎 まんが日本の歴史 おしえてさかなクン

TOPページ  |  朝小TOP  |  朝中TOP  |  新聞の定期購読  |  お問い合せ  |  著作権  |  広告掲載  |  会社概要
(C)Asahi Gakusei Shinbunsha All Rights Reserved.