朝日小学生新聞
2006年9月8日
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  日本は水輸入大国

世界一の原因は食料の輸入

 取材で中国・タクラマカン砂漠を旅したことがあります。水は1日ひとり2リットル。食事は別として、飲み水、手洗い、歯みがきも含めてこれだけ。手をふいた後、しめったタオルで目の周りをふくのが、朝の洗顔でした。

 日本でも、飲み水だけなら1日2〜3リットル、年1トン(以下、いずれも年間、1人当たり)で十分です。しかし、風呂や炊事・洗濯、トイレなど水は必要です。それらすべてを合わせた水道水の使用量は130トンになっています。

 水がいるのは生活だけではありません。製造業が得意の日本。工業用水に100トン使っています。
 もっとも多いのは農業。田に水を張るお米はもちろん、野菜や果物を育てるのに必要な農業用水は約500トン。
 合わせて、ざっと730トンです。でも、これだけじゃないんです。

 日本は食料の61パーセント(カロリー換算)を輸入しています。東大生産技術研究所の沖大幹教授らが、輸入食料をつくるのに使う水の量を苦労して計算したところ、1人当たり約400トンと出ました。
 「これは大豆やトウモロコシ、牛肉など主な食料だけ。砂糖や果物など全食料となると2倍近くなります。日本は世界一の水の純輸入国です」。砂漠国のエジプトより多い。

 1キロの食料を作るのに使う水の量は、食品によって大きく違います。
 畑でつくる小麦は1トン、日本の米は外国と比べてちょっと多くて3.3トン。トウモロコシなどをエサにしている鶏肉は4.5トン、豚肉は6トン。牛肉は20トン。肉1キロの生産には2万倍の水が必要です。

 「小麦の高騰は、オーストラリアの干ばつがきっかけです。地球温暖化で各地の水不足が心配されています。将来は、気軽に牛肉を食べられない時代になるかもしれませんね」

食料の輸入は、それをつくるのに必要な水を輸入することと同じ。総量は年間427億トン(原図は沖教授による)
朝日学生新聞社副社長・内山 幸男
朝日小学生新聞 2008年4月20日付
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