あなたも暗号を使いこなそう
「暗号」といえば戦争、スパイ……わたしには関係ないと思いがちですが、インターネット時代の今、自分が気付かないうちに暗号を使っているのです。
たとえば国民の義務である納税。国税庁は4年前から、インターネットによる所得税の申告を受け付けていますが、その説明の中にこんな一文があります。
「当コーナーは、情報保護の面から、SSL技術による暗号化等の必要な措置を講じています」
インターネットで商品を買う、銀行取引をする、そのたびに暗号が行き来します。デジタル写真のデータを圧縮するときも、暗号とそっくりな手法が使われているのです。
現代の暗号には高度の数学と、膨大な数字が使われています。アメリカの情報機関、国家安全保障局(NSA)では「世界中のどんな機関よりも多くの数学者が働いている」(『暗号攻防史』)といいます。
暗号を生活に生かせないか。わたしは暗証番号を暗号化して一覧表にしています。
クレジットカードからパソコンの立ち上げまで、暗証番号は増えるばかり。しかも、住所や誕生日がらみの数字は、「安全度が低い」として受け付けてもらえません。さりとて、意味のない数字は覚えられない。
ならば、他人にわからない形で記録しておくしかありません。たとえば――。
アルファベットは古典的な文字ずらし(a→d、b→e、c→f……)。
数字は暗証番号の数字に、「秘密の数字」を、繰り上がり、繰り下がりなしで足したものを書きます。暗証番号が「7891」、秘密の数字を朝小の電話番号「5222」とすれば、書きこむ数字は「2013」になります。後者は意外に解読しにくいと暗号専門家に聞きました。
世の中には、暗証番号をパソコンの近くに張ってある人もいるとか。それよりはかなりましと、自画自賛しています。
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