朝日小学生新聞
2006年9月8日
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  奇跡の恐竜ミイラ

骨のほか皮膚や筋肉も化石に

 アメリカのナショナル・ジオグラフィック協会は2007年末、「ノースダコタ州で見つかった恐竜の化石に、皮膚や筋肉などが残っていた」と発表、世界中を驚かせました。

 この化石は、約6,700万年前の草食恐竜・ハドロサウルスで、00年、当時16歳の少年が発見しました。

 英国の研究者がよく調べたら、皮膚や、筋肉、腱などの一部が残っていて、「自然にできたミイラ」だったというのです。皮膚の模様までわかりました。

 これがいかに珍しいことか。そもそも、化石になるのは大変難しいのです。

 まず死に場所。海辺や川辺が望ましい。骨が残っている間に砂や泥に埋まらなければならないからです。その後、深い地層にもぐり、長い年月の間、強い圧力でぎゅうぎゅう押され、水の中の鉱物が骨の細胞にしみ込み、硬くなって、化石に置きかわっていくのです。
 その間に消えてしまうことも少なくありません。

 埋もれたままではダメ。地殻変動で地層が地上に現れ、掘り出してもらわなければ化石デビューはかないません。

 骨ですらこんなに難しい。まして、筋肉や皮膚は、ふつう砂に埋もれる前に食べられたり、腐ったりしてしまうので、化石として残ることはほとんどないのです。

 残っていた筋肉や腱から、ハドロサウルスが時速45キロで走ることができたこともわかりました。肉食恐竜から逃れるのに脚力が必要だったのでしょう。

 最近は日本でも恐竜化石が次々に見つかっています。化石化の難しさを考えると不思議です。
 これは、数が多かったからだけではなく、白亜紀に滅びるまで1億6千万年も恐竜が地球に君臨していたからでしょう。

 人類が登場してから1千万年もたっていません。わたしたちが恐竜に負けずに地球に化石を残すには、戦争や環境破壊で滅びないで、長く生き続ける必要があります。

朝日学生新聞社副社長・内山 幸男
朝日小学生新聞 2008年3月23日付
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