朝日小学生新聞
2006年9月8日
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  津波はこわいぞ

電車なみの速さ、まず逃げる

イラスト・野村タケオ

 地下の岩板が割れて動くのが地震。日本は岩板が割れやすい条件の場所にあるので地震が多い。地震が海でおきて海底が上下に動くと、津波がおきます。

 「巻き込まれたら、8〜9割は死ぬ」のが津波。漁に出ていた人が帰ったら、一家が全滅していたことも珍しくありません。「浦島太郎は、津波の悲劇の物語ではないのか」という人もいるといいます。

 津波は、水深4千メートルなら時速約700キロ、ジェット機なみの速さで伝わります。浅くなると遅くなりますが、後ろの波が前の波に追いつき重なって、波が高くなります。

 そしてついに、高い海の壁が、電車のような速さで陸地に襲いかかるのです。

 死者は「水死」とされがちですが、岩や流木にぶつかるので、実際は全身や頭を強く打って亡くなる人がたくさんいます。

 2004年12月に起きたインド洋大津波では二十数万人が亡くなりました。

 日本でも、1896年に三陸地方を襲った明治三陸地震津波は2万2千人の命を奪っています。ここは、1933年3月3日にも昭和三陸地震津波に襲われ、3千人が亡くなりました。

 このとき、1人で雪道をはだしで走り、裏山に逃げて助かった岩手県大船渡市綾里、山下文男さん(84歳)が、最近、『津波てんでんこ』という本を出しました。

 津波は速い。2つの地震では、親を、子を助けようとして共倒れになった家族がいっぱいあった。

 「助かるには人にかまわず、銘銘(それぞれ)が一時も早く逃げなければならない。非情なようですが、『てんでんこ』は、そうした経験から生まれた哀しい知恵なんです」

 日本の周りはすべて海です。海辺に住んでいなくたって、海水浴、潮干狩り、釣りを楽しむことがあるでしょう。あなたも、いつ、どこで津波に襲われるかわかりません。海に親しむだけではなく、警戒心も持つことが大事だと思います。

 ■日本のおもな津波被害
    死者・行方不明
 1896年6月 明治三陸地震津波 約2万2000人
 1923年9月 関東大震災 14万2807人(津波死者も多数)
 1933年3月 昭和三陸地震津波 3064人
 1946年12月 南海地震 1443人
 1960年5月 チリ地震津波 142人
 1983年5月 日本海中部地震 104人(韓国でも死者)
 1993年7月 北海道南西沖地震 230人
 2004年12月 インド洋大津波 約22万7千人(参考)
朝日学生新聞社副社長・内山 幸男
朝日小学生新聞 2008年3月9日付
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