電車なみの速さ、まず逃げる
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イラスト・野村タケオ
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地下の岩板が割れて動くのが地震。日本は岩板が割れやすい条件の場所にあるので地震が多い。地震が海でおきて海底が上下に動くと、津波がおきます。
「巻き込まれたら、8〜9割は死ぬ」のが津波。漁に出ていた人が帰ったら、一家が全滅していたことも珍しくありません。「浦島太郎は、津波の悲劇の物語ではないのか」という人もいるといいます。
津波は、水深4千メートルなら時速約700キロ、ジェット機なみの速さで伝わります。浅くなると遅くなりますが、後ろの波が前の波に追いつき重なって、波が高くなります。
そしてついに、高い海の壁が、電車のような速さで陸地に襲いかかるのです。
死者は「水死」とされがちですが、岩や流木にぶつかるので、実際は全身や頭を強く打って亡くなる人がたくさんいます。
2004年12月に起きたインド洋大津波では二十数万人が亡くなりました。
日本でも、1896年に三陸地方を襲った明治三陸地震津波は2万2千人の命を奪っています。ここは、1933年3月3日にも昭和三陸地震津波に襲われ、3千人が亡くなりました。
このとき、1人で雪道をはだしで走り、裏山に逃げて助かった岩手県大船渡市綾里、山下文男さん(84歳)が、最近、『津波てんでんこ』という本を出しました。
津波は速い。2つの地震では、親を、子を助けようとして共倒れになった家族がいっぱいあった。
「助かるには人にかまわず、銘銘(それぞれ)が一時も早く逃げなければならない。非情なようですが、『てんでんこ』は、そうした経験から生まれた哀しい知恵なんです」
日本の周りはすべて海です。海辺に住んでいなくたって、海水浴、潮干狩り、釣りを楽しむことがあるでしょう。あなたも、いつ、どこで津波に襲われるかわかりません。海に親しむだけではなく、警戒心も持つことが大事だと思います。
■日本のおもな津波被害 |
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死者・行方不明 |
1896年6月 |
明治三陸地震津波 |
約2万2000人 |
1923年9月 |
関東大震災 |
14万2807人(津波死者も多数) |
1933年3月 |
昭和三陸地震津波 |
3064人 |
1946年12月 |
南海地震 |
1443人 |
1960年5月 |
チリ地震津波 |
142人 |
1983年5月 |
日本海中部地震 |
104人(韓国でも死者) |
1993年7月 |
北海道南西沖地震 |
230人 |
2004年12月 |
インド洋大津波 |
約22万7千人(参考) |
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