地球を耕し生ごみも処理する働き者
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ミミズのぬいぐるみをもつ伊藤准教授。左側が頭 |
5日は啓蟄。暖かくなり、土の中の虫も外に出て活動し始めるころだと、昔の人が考えた日です。確かに、関東のミミズはこのころから外にフンをするようになるようです。
『進化論』で有名なダーウィンは、精密な観察や実験で、ミミズが地球の表面をせっせと耕していることを明らかにし、死ぬ前に『ミミズと土』(日本語訳)を書きました。それによると、英国の牧草地では1平方メートル当たり年に約3.6キロもの土を食べ、フンとして地上にもち出しているとか。「日本のミミズもそんなに働き者なのだろうか」
ミミズの分類を研究している横浜国立大の伊藤雅道准教授を訪ねました。先生はミミズの絵入り名刺をさし出し、ミミズのぬいぐるみを持ちながら教えてくれました。「日本でも、3.8キロ(京都)、28.1キロ(仙台)などのデータがありますよ」
生ごみ処理が得意なミミズもいて、「アメリカではミミズを使った堆肥作りが盛ん」といいます。
東北農業研究センターの内田智子研究員は最近、ミミズが雑草のタネも食べている証拠をみつけました。除草の手伝いもしてくれている可能性があります。
さらに、野鳥のエサなどとして生態系を支えているし、人間には解熱作用などのある生薬として重宝されている――ミミズのすごさがわかってきました。
日本のミミズ研究は近年盛んになってきましたが、まだわからないことがいっぱいあるようです。
たとえば、雨上がりなどにミミズが地面にいっぱい出ることがあります。「巣穴が水浸しになるからだという説もありますが、わたしは集団見合い説。ミミズは土の中では孤独なので、雨を合図に地上でデートしているのではないか」と伊藤さん。
「ミミズ好き」にしか思いつかないロマンチックな説に、わたしも1票。
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