朝日小学生新聞
2006年9月8日
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  壊れた窒素循環

食べ物の輸入増で日本はフンまみれ

農業環境技術研究所・織田健次郎氏の最新論文(印刷中)をもとに作成

 わたしたちの食べ物の61%(カロリー計算)が輸入品です。主要先進国で食料をこれほど外国に頼っている国はありません。

 食料の輸入は、中国冷凍ギョーザに代表されるような安全性確保の難しさや不作などで急に売ってくれなくなるなどの心配があります。

 でも問題はこれだけではありません。

 食べ物には必ず窒素が含まれていますが、この窒素、なかなか消えてなくなってくれません。化学的な形こそ変わるものの、長い間、その地域にとどまる性質があるのです。

 国産品なら、「食べて、出して、作物の肥料に」と循環させることができます。江戸時代から昭和前期まではそうでした。ところがその後、輸入の増加で、大量の窒素分が日本の環境にたまってしまったのです。

 その結果、日本はいま家畜や人間のフン、肥料などから出てくる窒素があふれ、川や湖、海辺や地下水の汚染が広がっています。

 窒素汚染のひどい水を飲むと、血中のヘモグロビンが酸素を運べなくなる貧血症になります。外国では赤ちゃんが死んでいます。日本では牛などに被害が出ています。

 「これは大変」と、環境省は1999年、地下水の窒素の環境基準を1リットル当たり10ミリグラム(汚染窒素量)と決めました。「これでトウモロコシを水耕栽培すれば、肥料はいらない」と専門家がいう濃度です。

 ところが2006年度の調査では、この基準濃度を超えた井戸水が4.3%もありました。環境基準のある26の汚染物質の中で最悪でした。

 食料は、食べれば多くがフンになります。窒素の面からみれば、食料を輸入するのはフンを輸入するのと変わらないことになります。

 畜産の盛んな宮崎県も窒素汚染が問題になっています。

 フンまみれ日本。どげんかせんといかん。

朝日学生新聞社副社長・内山 幸男
朝日小学生新聞 2008年2月24日付
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