朝日小学生新聞
2006年9月8日
保護者の方へ 購読の申込み 今日は何の日? 朝日小学生新聞トップ
   こどもアサヒ TOPページ > 朝日小学生新聞 > 科学コラム「おや子で科学」
  鳥インフルエンザとスペインかぜ

多くの人を死なす「新型かぜ」

 この冬は、インフルエンザで学級閉鎖する学校が続出しています。いまはAソ連型という従来型ウイルスですが、専門家が大変心配しているのは病原性の強い新型の出現です。

 インドネシア、ベトナムを中心に死者が出ている鳥インフルエンザウイルスが、いつ新型になってもおかしくないからです。

 新型がどのくらいこわいかは、今から90年前、突然現れた新型の「スペインかぜ」が示しています。

 1918年3月、アメリカで見つかった新型インフルエンザはアッという間に国内に広がり、4月にはフランスに上陸、5月にはヨーロッパ中に広がっていました。

 従来型のウイルスなら、患者の中で死ぬ人は200人に1人以下ですみますが、新型は50人に1人以上でした。地域によっては五人に一人というところもありました。

 第一次世界大戦のさなか、ヨーロッパ戦線で若い兵士がばたばた死に、いつしか「スペインかぜ」と呼ばれるようになりました。

 日本では同じ年の秋から大流行、2年間で死者38万人に達しました。

 このような新型は、鳥インフルエンザが人やブタに感染を繰り返しているようなところで生まれます。

 メコン川下流のベトナムの農家を訪ねたときのことを思い出します。取材中、わたしの周りの土間や台所、寝床をニワトリが走り回っていました。裏庭にはブタ。何千羽もの水鳥を家の近くの池で飼っている農家もあったし、市場では竹かごの中でニワトリが目をキョロつかせていました。

 「新型の出現を阻止することは、不可能かもしれない」。あの光景を見た者には、そう思えます。

人口動態総覧(率)100年の年次推移(明治32年〜平成10年)
スペインかぜのせいで、1918年は過去100年間で死亡率が最も高い年になった
朝日学生新聞社副社長・内山 幸男
朝日小学生新聞 2008年1月20日付
おや子で科学 バックナンバー
 
強力連載隊
落第忍者乱太郎 まんが日本の歴史 おしえてさかなクン

TOPページ  |  朝小TOP  |  朝中TOP  |  新聞の定期購読  |  お問い合せ  |  著作権  |  広告掲載  |  会社概要
(C)Asahi Gakusei Shinbunsha All Rights Reserved.